経営の健全性・効率性について
(1)健全性について経常収支比率及び経費回収率が100%未満であり、累積欠損金も発生しているため、単体で見ると健全とは言えない状況が続いています。また、経費回収率は50.24%であるのに対し、経常収支比率が92.84%と一般会計に依存していることがわかります。一方で、流動比率は200%を超える水準であり、短期的な返済能力を有していると考えられます。このように、個別排水処理事業は単体では経営効率が低くなっていますが、公平な市民生活を確保するために政策的に個別排水の下水道使用料を公共下水道と同じ水準にしています。そのため、公共下水道と一体的に管理し、設備維持、運営体制を定期的に検証していく必要があります。なお、下水道事業全体としては経費回収率及び経常収支ともに100%を超えています。(2)効率性について統計上の浄化槽処理能力を定め、H27決算統計から算定を開始しました。施設利用率は全国平均及び類似団体平均を下回っており、さらに利用を推進したいところではありますが、少人数世帯化や節水型設備の普及などが反映されているものと想定されます。今後については、より一層、将来を見据えた適正規模の浄化槽整備に心がける必要があるものと考えます。
老朽化の状況について
平成10年度から事業を開始、現在314基の稼働となっており、機械設備の標準耐用年数15年を経過する施設としては146基(全体の47%)です。通年実施している保守点検結果により、必要に応じて部分修繕をしておりますが、経過年数が長い施設は陳腐化により主要機器自体の更新が必要となるケースも生じています。今後も先を見据えて将来的な修繕内容・規模を把握の上、適切に予算確保及び執行を行い、公共下水道計画区域外(農村部)における生活環境及び水環境を保全します。
全体総括
公共下水道を補完する形で整備が進められる個別排水処理施設は、下水道事業会計全体に与える影響は小さいものの、経営の健全性及び効率性に課題を残しているため、市民が納得できるような形での維持・改善を図りたいと考えます。また、個別排水処理施設整備事業についても公共下水道事業と合わせて現在策定中の「恵庭市下水道ビジョン・経営戦略」の内容を踏まえ、健全な事業運営を図る必要があります。