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地方財政ダッシュボード

愛媛県西予市の財政状況(2019年度)

🏠西予市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

財政基盤は脆弱で自主財源が乏しく、類似団体平均を大きく下回っている。市内産業の低迷が続く中、市税収入の横ばいが続く一方で、高齢化の進展により社会保障関係経費が増加しており、平成24年度から5年間同数値(0.24ポイント)で推移していたが、平成30年度に0.01ポイント上昇し、令和元年度も同数値(0.25ポイント)となっている。引き続き厳格な枠予算を徹底し、従来の行政評価等の手法の改善、事業の見直し・整理を行い、行政のスリム化、業務の効率化を図ることで、持続可能な財政基盤の確立に努める。

経常収支比率の分析欄

経常収支比率は昨年度から1.9%増となっており、これは分子を構成する経常経費が増額となり、分母である経常一般財源が普通交付税の横ばい等により前年度と同額程度になったためである。類似団体平均値とほぼ同じ値であるが90%超の比率となっており、財政の硬直化が懸念される。今後も引き続き、職員の計画的な採用等により義務的経費の縮減に努めるとともに、当該年度償還金以上の起債の新規発行を行わないなど、公債費の抑制を図る取組みを行う。また公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設の集約を図り、固定的経費削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額が類似団体平均を上回っているのは、旧5町の合併により514.34?と広範な区域に公共施設を有し、類似団体と比較して職員数が多いためである。前年度は平成30年7月豪雨災害の影響により、時間外勤務手当や災害廃棄物処理等に係る人件費・物件費の経費が大幅に増加したが、令和元年度は災害関係経費が前年度と比べて大幅な減額となった。今後、オフィス改革、窓口改革、小規模多機能自治を推進し、組織のスリム化と業務の効率化を図り、さらなる定員適正化に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度と同等の指数であり、類似団体平均値よりも低い値になっている。今後も人事評価制度の運用により、給与水準の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

西予市定員管理適正化計画を基本に退職者補充調整や事務事業の抜本的な見直しを行い定員適正化を図り、職員数は旧5町合併後の平成17年4月1日の682人から今年度は532人と、150人減少しているが、現在も類似団体と比較して職員数が大幅に上回っている。今後は組織や機構、業務の見直しを行う西予市オフィス改革及び窓口改革を推進し、公民館を地域づくり活動センターに移行することで小規模多機能自治の推進を図り、引き続き人員の適正配置、民間委託の推進、有能な人材の確保等により適切な定員管理に努める。

実質公債費比率の分析欄

前年度から0.9ポイント増加し、類似団体平均を上回った。主な要因は、平成26年度起債事業(朝立会館建設事業、防災行政無線デジタル整備事業、愛媛国体施設整備事業(宇和球場)等)の元金償還開始による元利償還金の増額と、新病院建設費用に伴う平成24年度及び平成25年度病院事業債等の元金償還開始による公営企業繰入金の増額のためである。今後も元利償還額は増加し、実質公債費比率は増加する見込みであるため、引き続き、地方債の発行抑制、基準財政需要額への算入率を重視した起債を選択することで、指標の増加を抑えたい。

将来負担比率の分析欄

前年度から20.3ポイント増となり類似団体平均を上回っている。主な要因は、地方債現在高の大幅な増加(防災行政無線デジタル整備事業、せいよ東学校給食センター建設事業、社会教育複合施設整備事業、明浜支所庁舎建設事業等及び平成30年7月豪雨災害における復旧事業等)と、財政調整基金をはじめ特定目的基金を大幅に取崩したためである。今後も地方債現在高の増加と令和3年度から債務負担行為済額の大幅な増加により、将来負担比率は増加する見込み。引き続き投資的経費の抑制、地方債の計画的管理による残高の抑制を図り、財政の健全化に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

人件費は、合併した5町の職員を引き継いでいるため、職員数が類似団体と比較して多くなっており、人口一人当たり決算額が高い数値となっているが、給与等は類似団体の中では低水準である。職員の計画的な採用により、職員数、職員給与費は着実に減少している。今後はさらにオフィス改革、窓口改革を推進するとともに引き続き計画的に、かつ、最も効率的な配置を考慮した上で、定員適正化に努める。

物件費の分析欄

令和元年度決算については、平成30年7月豪雨災害の影響により増額していた前年度より4億5,339万円減額したが、類似団体の平均を1.1ポイント上回っている。職員数の適正化を進める中で、物件費の20%程度を占める事務補助員の賃金が当市の財政を圧迫している。来年度以降の決算については、会計年度任用職員制度の導入により物件費は減額する見込みであるが、正職員削減による臨時職員増加を防止し、職員の業務効率を徹底的に向上させる必要がある。

扶助費の分析欄

類似団体の平均を下回っているが、決算における扶助費の歳出全体に占める割合は、合併当初の7.0%から増加傾向にある。平成30年7月豪雨災害関係の扶助費が増加していたが、今年度については前年度より2億4,262万円減で、構成比率は11.3%となった。今後も高齢化の進展により医療、介護事業等、扶助費の増加が見込まれるため、総合的な対策が必要である。

その他の分析欄

当市は海抜0mの臨海部から海抜1,400mの四国山系までの514.34k㎡に及ぶ広範な区域に、旧5町ごとに目的が重複する施設等があり、維持補修費や各種点検委託料等のランニングコストも大きく、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合を含め全体の見直しを行い、適正な施設運営に努める。また、特別会計及び企業会計への繰出金については、毎年30億円前後を繰出しており、今後は事業の見直しも含め、計画的な繰出となるよう努める。

補助費等の分析欄

類似団体の平均を下回っているが、合併した5町のうち旧三瓶町が、合併前からの常備消防(八幡浜市の一部事務組合)管轄となっており、その負担金が毎年1億5,000万円以上発生していることから大きな負担となっている。当市の財政状況から、今後も同等の補助費を維持することをは難しく、公費負担のあり方について細部に渡り見直しが必要である。

公債費の分析欄

前年度決算と比較して2億34万円増加し、類似団体を上回っている状況である。公債費は令和2年度から40億円を超える償還を見込んでおり、今後も非常に厳しい財政運営となることが予想されることから将来の財政硬直化を避けるためには、償還金以上の起債の新規発行を行わないよう起債の上限枠を設け総額の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外でみると類似団体の平均を下回ってはいるが、人件費の割合は高くなっている。今後は西予市オフィス改革及び窓口改革を推進するとともに職員数の適正管理、臨時職員の必要性・配置について、総務部署と連携を密にし適正化に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体の住民一人当たりのコストと比較して、農林水産業費、消防費、災害復旧費が大きく上回っている。消防費については、防災行政無線のデジタル化に向けて整備を行っており、それに伴って増額となっている。災害復旧事業費については、平成30年7月豪雨災害の発生により大幅な事業費増となり、住民一人当たりの事業費についても大幅な増額となっている。公債費については合併時の「新市建設計画」に基づく大型建設事業の実施により地方債現在高が増加しており、それに伴って増額傾向にある。今後、人口が減少する中で、いずれの公共施設においても老朽化が進んでおり、保全管理に係る費用も増加すると見込まれるため、第2次総合計画、公共施設等総合管理計画に基づき、将来像を見据えより効率的・効果的な保全管理及び整備事業を実施していく。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

類似団体の住民一人当たりのコストと比較して人件費、普通建設事業費、災害復旧事業費、繰出金が大きく上回っている。普通建設事業費については、平成16年に5町が合併して誕生した市であり、類似した施設も多く、これらの公共施設等の約半数が既に完成後30年以上を経過し、老朽化が進展しているため更新の時期を迎えており、人口減少により今後も住民一人当たりのコストが増加する見込みである。このため、公共施設等総合管理計画に基づき、保有施設の総量縮減、統廃合・複合化を推進し、更新整備に要する経費を抑制する必要がある。災害復旧事業費については、平成30年7月豪雨災害の影響により大幅な増額となっている。繰出金については、国の繰出基準に準じて特別会計及び企業会計へ繰出しを行っているが、新病院建設に係る元利償還が平成26年度から本格的に開始されており、公営企業に対する繰出金は今後も増加傾向でまた、繰出基準以外の経費についても繰出しているため、企業会計の経営改善を図る必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

財政調整基金残高は平成30年7月豪雨災害の影響により、災害復旧等の経費増のため、平成30年度と令和元年度に大幅に取り崩し、減額となっている。財政調整基金の取り崩しにより、実質収支は黒字になっているが、実質単年度収支は赤字となっている。令和元年度は前年度に比べると災害復旧等の経費が減となり、実質収支は前年度と比較して約4億9千万円の増、標準財政規模に占める割合では3.28ポイントの増となり、単年度収支は5億6千万円の増、実質単年度収支も標準財政規模に占める割合では7.96ポイントの増となっている。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

全会計において赤字は発生していないが、公営企業に対しては一般会計から繰出しをしており、中には赤字補てん的な繰出を行っている会計も存在する。公営事業経営については、十分な分析・検討を実施したうえで経費負担の適正化に努める。また、将来にわたる収支見通しを明らかにし、一般会計からの財政援助に安易に依存することのないよう健全運営を徹底しつつ、今後も黒字の維持に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

元利償還金が、平成26年度合併特例事業債及び過疎対策事業債等の元金償還が開始となり、償還完了額に対し元金償還額が大幅な増となったことと、公営企業債の元利償還金に対する繰入金が、新病院建設に伴う平成24年度及び平成25年度病院事業債等の元金償還開始により増額となったため、算定分子の増となった。今後も算定分子は増加する見込みであるため、地方債の発行抑制等で、指標の増加を抑えたい。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

加算要因である将来負担額のうち地方債の現在高について、防災行政無線デジタル整備事業、せいよ東学校給食センター建設事業、社会教育複合施設整備事業、明浜支所庁舎建設事業等及び平成30年7月豪雨災害における復旧事業等に充てた起債により大幅に増加。控除要因である充当可能財源等については、財政調整基金をはじめ特定目的基金を大幅に取崩したことで大幅な減となり、算定分子は大幅な増となった。令和3年度から債務負担行為済額が大幅に増加し、今後も将来負担比率は増加する見込みであるため、引き続き行財政改革を推進し、投資的経費の抑制、地方債の計画管理による残高の抑制を図る。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)平成30年7月豪雨災害への突発的な財政需要等に対応するため、財政調整基金を9.3億円を取り崩したことで前年度末と比較して、-5.1億円の減額(-14.6%の減)となった。また、減債基金については、今後増額傾向である公債費の償還財源として取り崩したことで前年度末と比較して、2億円の減額(-12.3%の減)となった。また、特定目的基金において、災害対策基金については、せいよ東学校給食センター建設事業、社会教育施設(乙亥会館)災害復旧事業の財源として取り崩したことにより-0.8億円の減額(-8.0%の減)となった。また、公共施設整備基金において、明浜支庁舎建設事業の関連経費、三瓶支所空調更新工事の財源として取り崩したことにより、-1.5億円の減額(-14.9%の減)となった。(今後の方針)財政調整基金については、中長期的な財政見通しにおいて、毎年度一定額を取り崩す計画であるため、減少していく見込みである。減債基金については、公債費負担がピークを迎える令和9年度を見据え、今後も毎年度一定額を取り崩す計画であるため、財政規模の圧縮、コスト削減の推進により、積み増しを検討していく。特定目的基金については、地域振興基金、公共施設整備基金、庁舎建築事業基金等において、毎年度一定額を取り崩すことで事業を計画しているため、目的基金全体についても減少していく見込みである。

財政調整基金

(増減理由)財政調整基金の令和元年度末残高は29.6億円であり、前年度末と比較して、-5.1億円の減額(-14.6%の減)となった。この要因として、平成30年7月豪雨災害を受けた、復旧・復興経緯および通常経費にかかる取り崩しを行ったためである。(今後の方針)当市の中長期的な財政見通しにおいて、財政調整基金は毎年度一定額取り崩す計画である。さらに、平成30年7月豪雨災害の復旧・復興予算また新型コロナウイルス感染症対応経費が引き続き見込まれる。このうち、国県支出金・地方債等の特定財源が見込めない部分については、財政調整基金や災害対策基金で対応する必要があることから、基金の積み増しを推進していく必要がある。

減債基金

(増減理由)減債基金の平成30年度末残高は14.2億円であり、前年度末と比較して、-12.3%の減となった。今後増額傾向である公債費の償還財源として、令和元年度は2億円を取り崩したことが要因である。(今後の方針)当市の公債費については、令和9年度に償還のピークを迎える予定であるうえ、平成30年7月豪雨災害にかかる復旧・復興事業、また、今後想定される各種施設整備事業の財源として借入する地方債残高も今後、増加が見込まれることから、今後、一定額を取り崩していく計画である。そのため、財政規模の圧縮、コスト縮減を推進し、基金の積み増しを検討していく必要がある。

その他特定目的基金

(基金の使途)当市においては、災害対策、公共施設の整備など、特定の目的を計画的に達成するため、各種特定目的基金を設置している。主なものとして、市民の連帯の強化又は地域振興に要する経費の財源に充てる地域振興基金、災害の発生に際し、その復旧に要する経費の財源に充てる災害対策基金、公共施設の整備等に要する経費の財源に充てる公共施設整備基金、学校施設整備基金、庁舎建築事業基金等が挙げられる。(増減理由)特定目的基金全体の平成30年度末残高は66.2億円であり、前年度末と比較して、-2.3億円の減額(-3.3%の減)となった。この要因として、①災害対策基金において、せいよ東学校給食センター建設事業、社会教育施設(乙亥会館)災害復旧事業の財源として0.8億円を取り崩したことによる減額、②公共施設整備基金において、明浜支庁舎建設事業の関連経費、三瓶支所空調更新工事の財源として1.4億円を取り崩したことによる減額等が挙げられる。(今後の方針)特定目的基金については、地域振興基金、公共施設整備基金、学校施設整備基金等において、中長期見通しで、継続的に取り崩していく計画であるため、減額見込みである。その他の目的基金についても、それぞれに目的に応じて適切な活用を図る計画であるため、減額見込みである。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

当市は514.34k㎡に及ぶ広範な区域に、旧5町ごとに目的が重複する施設等があり老朽化が著しいため、平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合を検討し、施設の集約化・複合化や除却を進めている。令和元年度は老朽化した施設の除却等により昨年度より有形固定資産減価償却率0.1ポイント改善した。有形固定資産減価償却率は類似団体平均と比較して下回っているが、年々悪化していくことが予想され、今後、個別計画を策定することで適正な施設マネジメントに努める。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体平均を上回っており、主な要因として当市は、収入のうち特に税収が乏しく財政基盤が脆弱である一方で、将来負担額のうち地方債残高が増加している。特に平成30年7月豪雨災害における復興事業経費等のため財政調整基金等を大幅に取り崩し充当可能財源が大幅な減となった。今後も大型事業等の実施により地方債残高はますます増加の見込みで、今後債務償還比率は上昇することが予想される。このため、行財政改革を推進し、地方債を財源とする投資的経費の抑制に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率については、類似団体平均を上回っており、令和元年度は特に大幅に増加している。これは、令和元年度に防災行政無線デジタル整備事業等の大型事業及び平成30年7月豪雨災害における復旧事業等に充てた起債により地方債残高が増加し、将来負担額が大幅に増加した一方で、財政調整基金等の取り崩しにより充当可能財源が大幅に減少したためである。今後も地方債現在高増加のため将来負担比率は上昇していく見込みである。有形固定資産減価償却率について類似団体平均を下回っている主な要因としては、児童館が37.2%、図書館が2.3%、一般廃棄物処理施設が33.2%と類似団体平均を下回っていることが挙げられる。しかしながら福祉施設の有形固定資産減価償却率は86.7%、体育館・プールは78.9%と、老朽化が著しく、これら施設は類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が特に上回っており、公共施設等総合管理計画に基づき、除却・更新など老朽化対策に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は類似団体平均を上回っており、前年度から0.9ポイント悪化している。今後、大型事業等の過疎対策事業債及び合併特例事業債の元金償還開始、また、新病院建設に係る元金償還が本格化するため、公営企業に対する繰出金も増加を見込んでおり、将来負担比率の増加とともに実質公債費比率も大幅に上昇すると予測している。将来負担比率、実質公債費比率は類似団体平均が減少傾向にある一方で、当市は今後増加の一途をたどる見込みであるため、行財政改革を推進し、投資的経費の抑制、地方債の計画管理による残高の抑制を図り、将来持続可能な財政構造の確立に取り組んでいく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が特に高くなっている施設は、公営住宅であり、特に低くなっている施設は、児童館である。公営住宅については、平成27年4月時点で市営住宅が875戸あり、市公営住宅等長寿命化計画の期間内である令和5年までに用途廃止・集約を行い80戸の削減を検討している(令和元年度末で計847戸)。児童館については、2施設のうち1施設(野村児童館)が図書館施設と複合化していることで、有形固定資産減価償却率が抑えられている。保育所については、公立保育園の民営化及び統合を推進し、平成30年度に宇和地域の2施設が民営化により減少、城川地域の2施設を認定こども園しろかわ保育所に統合、宇和地域に事業所内保育を1施設開設し、令和元年度は平成30年7月豪雨災害被災により旧野村保育所を解体、明浜地区の高山保育所が民営化により減少している。当市は広範な区域に集落が点在することから、公民館施設は25施設、分館施設は16施設保有しており、類似団体と比較して一人当たりの面積が非常に高くなっている。いずれにしても旧5町ごとに目的が重複する施設等があるため、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合を含め全体の見直しを行い、適正な施設運営に努める必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、体育館・プール、福祉施設であり、特に低くなっている施設は、図書館、一般廃棄物処理施設、庁舎である。体育館・プールについては、学校再編計画に基づいた統廃合により、廃校となった体育館を社会体育施設として管理しているため、有形固定資産減価償却率及び一人当たり面積ともに類似団体と比較して上回っている。高齢者福祉施設は、機能を他の施設に集約できるものについては統廃合を検討し、既に集会所としての活用が主な利用状況となっている場合は地区への譲渡も含め検討する。一般廃棄物処理施設については、平成28年度に施設を統合新設したことにより有形固定資産減価償却率が大幅に減少している。昨年度と比較して、図書館及び庁舎の有形固定資産減価償却率が特に減少した要因は、令和元年度に西予市民図書館を解体し西予市図書交流館として移転新築、また明浜支所の旧施設を解体し移転新築を行ったためである。支所は、消防出張所、金融機関の入った複合施設として市民の利便性を向上させた。本庁舎は平成23年に建築され比較的新しい施設であるが、本庁舎以外の4支所のうち、野村支所についても老朽化が著しく、今後、支所機能以外も兼ね備えた複合施設として改築を計画している。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から826百万円の増加(+0.8%)となった。金額の変動が大きいものは事業用資産と基金であり、流動資産の基金が710百万円減少した一方で、事業用資産は1,679百万円増加した。基金は平成30年7月豪雨災害の災害復旧経費等に対応するため平成30年度及び令和元年度に大幅な取崩を行った。資産総額のうち有形固定資産の割合が85.6%を占めており、これらの資産は将来の維持管理等の支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設等の適正管理に努める必要がある。また、一般会計等における負債総額は前年度末から1,417百万円の増加(+3.2%)となった。金額の変動が大きいものは固定負債の地方債1,123百万円の増加である。水道事業会計、病院事業会計等を加えた全体では、資産総額は前年度末から344百万円増加(+0.3%)し、負債総額は前年度末から1,133百万円増加(+2.1%)した。第三セクター、一部事務組合を含む連結では、資産総額は前年度末から501百万円増加(+0.4%)し、負債総額は前年度末から1,283百万円増加(+2.3%)した。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は22,510百万円となり、前年度比647百万円の減少(△2.8%)となった。移転費用のうち補助金等が平成30年7月豪雨災害関係の増で前年度比252百万円の増加(+4.2%)となった一方で、業務費用の物件費が災害廃棄物処理事業等の減少により前年度比375百万円の減少(▲8.1%)、移転費用の社会保障給付が災害関連の扶助費の減少により前年度比257百万円の減少(△15.6%)となった。純経常行政コストは前年度比690百万円の減少(△3.1%)となったが、臨時損失が災害復旧事業費の増加により前年度比1,266百万円の増加(+70.5%)となり、純行政コストは前年度比571百万円の増加(+2.4%)となった。業務費用の方が移転費用よりも多く、公共施設等の適正管理を図り経費の縮減に努める。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が4,529百万円多くなっている一方で、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用のうち補助金等が10,299百万円多くなり、純行政コストは一般会計と比べて10,051百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が7,332百万円多くなっている一方で、補助金等が16,149百万円増加など、経常費用が23,485百万円増加し、一般会計と比べて純行政コストは16,156百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(23,886百万円)が純行政コスト(24,495百万円)を下回ったことから、本年度差額は△609百万円(前年度比△153百万円)となり、純資産残高は57,230百万円(前年度比△591百万円)となった。財源のうち国県等補助金については平成30年7月豪雨災害の補助金等増加により前年度と比べ1,033百万円増加した一方で、税収等は前年度に比べ615百万円減少した。平成30年7月豪雨災害の影響で純行政コストは平成30年度から急増しており、今後も復興経費を優先しつつ経費の抑制に努める必要がある。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が3,545百万円多くなっているが、財源(33,744千円)が純行政コスト(34,546百万円)を下回ったことから本年度差額は△802百万円となり、純資産残高は71,143百万円(前年度比△788百万円)となった。連結では、後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が15,995百万円多くなっているが、財源(39,882千円)が純行政コスト(40,651百万円)を下回ったことから本年度差額は△770百万円となり、純資産残高は72,747百万円(前年度比△782百万円)となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は1,515百万円であったが、投資活動収支については、投資活動収入が投資活動支出を下回り△2,832百万円となっていある。財務活動収支については、地方債の発行額が地方債償還支出を上回ったことから、1,566百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から249百万円増加し、1,831百万円となった。来年度以降も大型事業で起債した元金償還が始まることから、今後、事業の見直しを行うとともに地方債等の発行を抑制する必要がある。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料があることなどから、業務活動収支は一般会計等より749百万円多い2,264百万円となっており、投資活動収支では、△3,154百万円となっている。財務活動収支は1,208百万円となり、本年度末資金残高は前年度から318百万円増加し、4,263百万円となった。連結では、業務活動収支は一般会計等より706百万円多い2,221百万円となっており、投資活動収支では、△3,094百万円となっている。また、財務活動収支は1,103百万円となり、本年度末資金残高は5,238百万円となった。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

合併後514.34kmに及ぶ広範な区域に旧5町ごとの公共施設があり、保有する施設数が多く老朽化も著しいため、施設の集約化・複合化や除却を進めており、住民一人当たり資産額は、類似団体と比較して平均を上回り、歳入額対資産比率及び有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して平均を下回る結果となった。しかし、社会体育施設、福祉施設については類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高い状況である。今後の人口減少、少子高齢化などにより、将来的に厳しい財政状況が見込まれる中、健全な財政運営のためにも、平成27年度に策定した公共施設等総合管理計画(令和3年度改定予定)及び令和4年度に策定を予定している個別計画に基づき、公共施設等の統廃合を含め全体の見直しを行い、適正な施設運営に努める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均を下回っている一方で、将来世代負担比率は類似団体平均を上回っている。その要因としては、近年の大型事業の実施に伴い、地方債現在高が年々増加していることにある。一方で、今後普通交付税は横ばい傾向となり財政調整基金等の財源対策用基金残高については減少していくと予想されるため、将来負担比率は増加していくと考えられ、新規に発行する地方債の抑制を行い、将来世代の負担の減少に努める必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っており、昨年度に比べても増加している。前年度に大幅に増加しているのは平成30年7月豪雨災害による純行政コストの増加が要因であり、今後も災害復旧事業費により高水準で推移する見込みである。また、経常費用のうち物件費等が約34.9%を占め、人件費についても約20.5%を占めているため、類似団体と比べて住民一人当たり行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。公共施設等の適正管理を図り経費の縮減に努めるとともに、行財政改革の取組を通じて人件費の削減に努める必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

負債額は前年度から増加しており、住民一人当たり負債額も類似団体平均を大きく上回っている。近年の大型事業の実施に伴い、地方債現在高が年々増加していることが要因となっている。このため、新規に発行する地方債の抑制を行い、地方債残高の縮小に努める必要がある。基礎的財政収支では、業務活動収支が黒字となっている一方で、投資活動収支においては赤字となり、基礎的財政収支は△2,075百万円となっている。投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して社会教育複合施設整備事業及び防災行政無線デジタル整備事業等を実施したことなどによる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、前年度は類似団体平均を下回っていたが、今年度は前年度と比べて経常費用が647百万円減少(△2.8%)し、経常収益が43百万円増加(+4.2%)したため、前年度から増加し、類似団体平均を上回っている状況にある。これは、前年度は平成30年7月豪雨災害にかかる人件費、物件費等の増により経常費用が著しく増加したためである。税負担の公平性・公正性や透明性の確保に努めるため、公共施設等の使用料の見直し等を行うとともに、行財政改革により、経費の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,