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地方財政ダッシュボード

愛媛県西予市の財政状況(2022年度)

🏠西予市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

財政基盤は脆弱で自主財源が乏しく、類似団体平均を大きく下回っている。市内産業の低迷が続く中、市税収入の横ばいが続き、今後は人口減少による地方税減が想定される。令和4年度は前年度に引き続き国税収入の増額等によ地方交付税は横ばいとなったが、平成30年7月豪雨災害にかかる復旧経費も依然として最重要課題となっており、引き続き厳格な枠予算を徹底し、従来の行政評価等の手法の改善、事業の見直し・整理を行い、行政のスリム化、業務の効率化を図ることで、持続可能な財政基盤の確立に努める。

経常収支比率の分析欄

経常収支比率は昨年度から5.0ポイント上昇しており、これは電気料・燃料費の価格高騰等による物件費の歳出増加が要因となっている。類似団体と比較して人件費、公債費が多額となっているため類似団体平均値を上回り、また95%超の比率となっており、財政の硬直化が懸念される。今後も引き続き、職員の計画的な採用等により義務的経費の縮減に努めるとともに、起債枠の設定による当該年度償還金以上の新規発行を行わないなど、公債費の抑制を図る取組みを行う。また公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設の集約を図り、固定的経費削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額が類似団体平均を上回っているのは、旧5町の合併により514.34?と広範な区域に公共施設を有し、類似団体と比較して職員数が多いためである。平成30年度は豪雨災害に係る人件費・物件費が大幅に増加し、その後は災害経費の減少によりやや減少したものの、新型コロナウイルス感染症対策に係る物件費の増加もあり、高水準で推移している。今後、本庁集約、オフィス・窓口改革、公民館から地域づくり活動センターへの移行による小規模多機能自治を推進し、組織のスリム化と業務の効率化を図り、さらなる定員適正化に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

令和3年度と同等の指数であり、類似団体平均値よりも低い値になっている。今後も人事評価制度の運用により、給与水準の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員管理計画を基本に退職者補充調整や事務事業の抜本的な見直しを行い定員適正化を図り、一般職員等の職員数は旧5町合併後の平成17年4月1日の682人から今年度は522人と、160人減少しているが、現在も類似団体と比較して職員数が大幅に上回っている。今後は組織や機構、業務の見直しを行う西予市オフィス改革及び窓口改革を推進するとともに、令和5年度から本庁集約型の組織再編及び公民館の地域づくり活動センターへの移行等による小規模多機能自治の推進を実施し、引き続き人員の適正配置、民間委託の推進、有能な人材の確保等により適切な定員管理に努める。

実質公債費比率の分析欄

令和3年度から0.9ポイント上昇し、類似団体平均を上回った。主な要因は、平成30年度起債事業(社会教育複合施設整備事業(まなびあん)、野村学校給食センター建設事業等)の元金償還開始による元利償還金の増加のためである。今後も元利償還額等の増加により、実質公債費比率は増加する見込みであるため、引き続き、基準財政需要額への算入率を重視した地方債を選択するとともに、地方債発行枠の設定による新規発行の抑制により、指標の増加を抑えたい。

将来負担比率の分析欄

令和3年度から9.6ポイント上昇となり、類似団体平均を大きく上回っている。令和元年度以降の大幅な上昇の主な要因は、地方債現在高の大幅な増加(明浜支所庁舎建設事業等の大型事業及び平成30年7月豪雨災害における復旧事業等)と、災害復旧経費や新型コロナウイルス感染症対策経費等に対応するため財政調整基金、特定目的基金を大幅に取崩したためである。令和4年度はPFI事業に係る債務負担行為額、支所庁舎建設事業等の大型事業による地方債現在高の増加により、将来負担比率は増加しており、引き続き投資的経費の抑制、地方債の計画的管理による残高の抑制を図り、財政の健全化に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、類似団体を5.4ポイント上回っている。これは、類似団体と比較し、給与等の水準は低いものの、職員数が多いことが要因となっている。令和5年度から本庁集約型への組織体制へと再編されたことを受け、人事部局と連携し、業務効率の向上や人員配置の見直しによる人件費の抑制に努める。

物件費の分析欄

物件費に係る経常収支比率は、類似団体平均を0.8ポイント下回っているが、令和3年度と比較し、1.9ポイント上昇している。電気料及び燃料費の価格高騰等に伴い公共施設の維持管理に係る経費が増加したことなどが要因となっている。物件費の内訳を見ると、施設の維持管理に係る委託料が大きな割合を占めていることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合を含めた全体的な見直しを行い、今後も行政コストの省力化に努める。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は、類似団体平均を1.0ポイント下回っているが、全国平均を上回る高齢化率などの影響が懸念される。当市の高齢化率は上昇傾向にあり、今後も医療、介護事業等の増加が見込まれるため、総合的な対策が必要である。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は、類似団体平均を2.1ポイント下回っている。特別会計への繰出金が主なものであり、今後も計画的な繰出しとなるよう努める。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、類似団体平均を3.7ポイント下回っている。概ね横ばい傾向となっているものの、当市の財政状況から、今後も同等の補助費等を維持することは難しく、補助金、負担金等の公費負担の在り方について、細部に渡り見直しが必要である。

公債費の分析欄

公債費に係る経常収支比率は、令和3年度と比較し、1.5ポイント上昇している。これは、平成30年7月豪雨の影響により、平成30年度から令和元年度にかけて地方債の発行を集中的に行ったためで、これらの元金償還が開始されたことが主な要因となっている。近年、公共施設の老朽化等に伴い、大型の整備事業が集中していることから、公債費のピークは令和10年度となると見込まれ、それまでは非常に厳しい財政運営になることが予想される。そのため、予算編成時に地方債の発行上限を設けるなど今後の公債費抑制に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外に係る経常収支比率は、類似団体平均を2.2ポイント下回っているものの、令和3年度と比較し、3.5ポイント上昇している。給与費の改定等による人件費の増加や電気料・燃料費の価格高騰に伴い公共施設の維持管理に係る経費が増加していることが主な要因となっている。今後も高齢化率等の進展により、経常的な社会保障費の増加が懸念されることから、定員の適正化による人件費の削減に努めるほか、その他事務事業の見直し等による経常的な経費の削減に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり961,569円となっている。令和3年度の住民一人当たり903,872円から57,697円増加した。目的別で見た主な増加要因は、農林水産業費、教育費の増によるものである。農林水産業費では、柑橘加工施設整備事業等の増により住民一人当たりのコストは30,491円増加した。教育費では、体育館建設事業等の増により住民一人当たりのコストは16,501円増加した。類似団体との比較では、農林水産業費、消防費、災害復旧費において、類似団体平均を大きく上回っている。農林水産業費では、住民一人当たりのコストは類似団体平均を64,663円上回っている。当市の産業構造上、第1次産業に従事する割合が19.5%と高いことなどが要因となっている。消防費では、住民一人当たりのコストは類似団体平均を18,563円上回っている。合併した5町のうち旧三瓶町の常備消防が八幡浜地区施設事務組合の管轄となっており、その負担金等の影響により高い水準で推移している。災害復旧費では、住民一人当たりのコストは類似団体平均を24,146円上回っている。令和4年度まで平成30年7月豪雨災害からの復旧事業が続いていた影響が大きく、今後は減少の見込みとなっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり961,569円となっている。令和3年度の住民一人当たり903,872円から57,697円増加した。性質別で見た主な増加要因は、普通建設事業費の増によるものである。支所庁舎建設事業や柑橘加工施設整備事業等の大型の建設事業が重なったことで、住民一人当たりのコストは59,850円増加した。一方で、扶助費は、住民税非課税世帯・子育て世帯臨時給付金事業等の減により、住民一人当たりのコストは12,575円減少した。類似団体との比較では、特に、人件費、普通建設事業費、公債費において、類似団体平均を大きく上回っている。人件費では、住民一人当たりのコストは類似団体平均を39,219円上回っている。類似団体と比較し、給与等の水準は低いものの、職員数が多いことが要因となっている。普通建設事業費では、住民一人当たりのコストは類似団体平均を110,532円上回っている。公共施設等の老朽化による更新の時期を迎えていることなどが主な要因となっていることから、保有施設の総量縮減、統廃合・複合化を推進し、更新整備に要する経費を抑制する必要がある。公債費では、住民一人当たりのコストは類似団体平均を47,980円上回っている。近年、大型の整備事業が集中したことに加え、平成30年7月豪雨災害からの復旧事業による元利償還金が膨らんでいることが主な要因となっているから、今後は地方債の借入抑制に努める。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

財政調整基金残高は平成30年7月豪雨災害復旧経費のため平成30年度に大幅に取り崩し、以降毎年取崩しのため減額となっており、令和2年度までの実質単年度収支は3ヵ年連続赤字となっていた。令和3年度は国税収等の増による地方交付税の歳入増もあり黒字となったが、令和4年度は柑橘加工施設整備事業等の大型事業や新型コロナウイルス感染症対策事業等の実施により、前年度と比較して実質収支は約2億1千万円の減、標準財政規模に占める割合では1.16ポイントの減となり、実質単年度収支は約5億5千万円の赤字(8億2千万の減)となっている。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

全会計において赤字は発生していないが、公営企業に対しては一般会計から繰出しをしており、中には赤字補てん的な繰出を行っている会計も存在する。公営事業経営については、十分な分析・検討を実施したうえで経費負担の適正化に努める。また、将来にわたる収支見通しを明らかにし、一般会計からの財政援助に安易に依存することのないよう健全運営を徹底しつつ、今後も黒字の維持に努める。なお、公共下水道事業会計、簡易水道事業会計については令和2年度に特別会計から公営企業会計に移行したため、令和元年度以前の数値が表記されていない。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

元利償還金について、平成30年度旧合併特例事業及び平成31年度一般単独災害普及事業債等の元金償還が開始となり、償還完了額に対し元金償還額が大幅な増となったこととによる。元金償還額は令和6年度に一時的に減少するものの、今後も高水準で推移し、算定分子は増加する見込みであるため、地方債の新規発行枠設定による抑制等を図り、指標の増加を抑えたい。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

加算要因である債務負担行為に基づく支出予定額については、PFI事業(卯之町はちのじまちづくり整備事業)に係る債務負担行為額が増加となり、控除要因である充当可能基金についても、地方債の償還額等に充当可能な基金(財政調整基金、減債基金、災害対策基金等)の取り崩しが進み減少となった。これらのことから算定分子の増加となった。今後も将来負担比率は増加する見込みであるため、引き続き行財政改革を推進し、投資的経費の抑制、地方債の計画管理による残高の抑制を図る。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興に要する経費、扶助費・公債費の増のほか、新型コロナウイルス感染症対応による収支バランスの調整を図るため財政調整基金の取崩し11.2億円、積立7.8億円、野村支所庁舎建設にかかる庁舎建設事業基金の取崩し0.6億円等により基金全体としては6.7億円の減額となった。(今後の方針)合併算定替えの影響による地方交付税の減少及び近年の大型事業の実施による地方債残高の増加に伴う公債費の増加により、収支の財源不足分を財政調整基金で補填するとともに、公債費の増加分について減債基金を償還財源とする傾向が続く見通しである。災害対応等に備え財政調整基金の確保維持が急務であり、歳入見合いの収支バランスに努めるととともに、長期的な対応となるが公債費の圧縮のため、地方債の枠を設定することで対応を図っていくこととしている。特定目的基金については、令和5年度から開始する地域づくり活動センターに関連する経費として地域振興基金を毎年度一定額を取り崩すこととしており、その他特定目的基金についても減少していく見込みである。中長期的な収支バランスによる財政改革に努めたい。

財政調整基金

(増減理由)財政調整基金の令和4年度末残高は20.7億円であり、前年度末と比較して、3.4億円の減額(14.0%減)となった。この要因として、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興に要する経費、扶助費・公債費の増のほか、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対応による収支バランスの調整を図るため取り崩しを行ったものである。(今後の方針)当市の中長期的な財政見通しにおいて、財政調整基金は毎年度一定額取り崩す計画であるが、平成28年度末残高48.3億円に対して大幅に減額している状況にあり、災害時における柔軟な財政出動に備え、一定程度の確保は必要な状況にある。また、今後も続く公債費の増加が財政を圧迫する状況にあるため歳出予算の全体的な削減に努め、収支バランスの適正化により財政調整基金の取り崩しを圧縮する。

減債基金

(増減理由)減債基金の令和4年度末残高は11.2億円であり、前年度末と比較して1.5億円の減額(11.8%減)となった。公債費の増加による償還財源として2.5億円を取り崩しており、交付税措置等による積立が1.0億円であったことから減額となったものである。(今後の方針)当市の公債費については、近年の大型建設事業の実施により、令和10年度に償還のピークを迎える予定となっており、地方債残高の増加による公債費の増加が財政を圧迫する見通しである。今後も毎年度3億円程度を取り崩す計画としている。

その他特定目的基金

(基金の使途)当市においては、災害対策、公共施設の整備など、特定の目的を計画的に達成するため、各種特定目的基金を設置している。主なものとして、市民の連帯の強化又は地域振興に要する経費の財源に充てる地域振興基金、災害の発生に際し、その復旧に要する経費の財源に充てる災害対策基金、公共施設の整備等に要する経費の財源に充てる公共施設整備基金、学校施設整備基金、庁舎建築事業基金等が挙げられる。(増減理由)特定目的基金全体の令和4年度末残高は62.7億円であり、前年度末と比較して1.8億円の減額となった。地域振興基金0.6億円、災害対策基金が0.8億円の減となっている。(今後の方針)特定目的基金のうち地域振興基金については、令和5年度から開始する地域づくり活動センターに関連する経費として今後継続的に取り崩す予定としているとともに、消防庁舎の大型建設事業等に関連し、公共施設整備基金・消防関連基金の取り崩しを計画しており、取り崩しが続くものと見込まれる。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市は514.34?に及ぶ広範な区域に、旧5町ごとに目的が重複する施設等があり老朽化が著しいため、平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合を検討し、施設の集約化・複合化や除却を進めている。令和4年度も老朽化した施設の除却等に努めたが、有形固定資産減価償却率は昨年度より0.6ポイント悪化した。有形固定資産減価償却率は類似団体平均と比較して下回っているが、年々悪化していくことが予想されることから、令和4年度に策定した個別施設計画に基づき適正な施設マネジメントに努める。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体平均を上回っており、主な要因として本市は、収入のうち特に税収が乏しく財政基盤が脆弱である一方で、将来負担額のうち地方債残高は高い状況が続いている。特に平成30年7月豪雨災害の復興経費や新型コロナウイルス感染症対策等の経費のため財政調整基金等を取り崩し、充当可能財源が減少している。令和4年度は地方債残高の増加等により悪化傾向となっており、今後、充当可能財源が減少する見込みで、債務償還比率は上昇することが予想される。このため、行財政改革を推進し、地方債を財源とする投資的経費の抑制に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率については、類似団体平均を上回っており、令和3年度から9.6ポイント悪化している。これは、令和4年度において、PFI事業(卯之町はちのじまちづくり事業)に係る債務負担行為に基づく支出予定額及び地方債現在高が令和3年度と比べ増加したためである。今後、充当可能な特定歳入である基金が減少し、将来負担比率は上昇する見込みである。有形固定資産減価償却率について類似団体平均を下回っている主な要因としては、認定こども園・幼稚園・保育所39.7%、図書館が14.3%、庁舎が30.8%と類似団体平均を下回っていることが挙げられる。しかしながら福祉施設の有形固定資産減価償却率は97.2%、体育館・プールは73.3%と、老朽化が著しく、これら施設は類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が特に上回っており、公共施設等総合管理計画に基づき、除却・更新など老朽化対策に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は類似団体平均を上回っており、令和3年度から0.9ポイント悪化している。今後も、大型事業等の過疎対策事業債及び合併特例事業債の元金償還金、債務負担行為に基づく支出予定額の増加を見込んでおり、将来負担比率の増加とともに実質公債費比率も上昇すると予測している。将来負担比率、実質公債費比率は類似団体平均が減少傾向にある一方で、本市は今後増加の一途をたどる見込みであるため、行財政改革を推進し、投資的経費の抑制、地方債の計画管理による残高の抑制を図り、将来持続可能な財政構造の確立に取り組んでいく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が特に高くなっている施設は学校施設であり、特に低くなっている施設は認定こども園・幼稚園・保育所、令和3年度と比較して低くなった施設は公民館である。学校施設については、小学校施設で12施設、中学校施設で5施設を保有しており、経過年数により有形固定資産減価償却率は増加傾向となっている。保育所については、公立保育園の民営化及び統合を推進し、令和元年度に明浜地域の1施設を民営化、令和2年度は平成30年7月豪雨災害により被災した旧野村保育所の建替等を行っているが、経過年数により有形固定資産減価償却率は増加となっている。また、公民館については、公民館施設で25施設、分館施設で16施設保有しており、経過年数により有形固定資産減価償却率は増加傾向であることや、本市は広範な区域に集落が点在することから、類似団体と比較して一人当たりの面積が非常に高い状況となっているが、令和5年度からの地域づくり活動センターへの移行に伴い、分館施設を普通財産へ変更したため減少となっている。いずれにしても旧5町ごとに目的が重複する施設等があるため、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合を含め全体の見直しを行い、適正な施設運営に努める必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、体育館・プール、福祉施設であり、特に低くなっている施設は、図書館、一般廃棄物処理施設、庁舎である。体育館・プールについては、学校再編計画に基づいた統廃合により、廃校となった体育館を社会体育施設として管理しているため、有形固定資産減価償却率及び一人当たり面積ともに類似団体と比較して上回っている。福祉施設は、機能を他の施設に集約できるものについては統廃合を検討し、既に集会所としての活用が主な利用状況となっている場合は地区への譲渡も含め検討する。一般廃棄物処理施設については、平成28年度に施設を統合新設したことにより有形固定資産減価償却率が低くなっている。令和元年度より有形固定資産減価償却率が大幅に減少した図書館・庁舎については、令和元年度に西予市民図書館を解体し西予市図書交流館として移転新築によるもの、明浜支所の旧施設を解体し移転新築を行い消防出張所、金融機関の入った複合施設として市民の利便性を向上させた。また、本庁舎は平成23年に建築され比較的新しい施設であるが、令和4年度に老朽化した野村支所について、支所機能以外も兼ね備えた複合施設として改築を行ったことから低くなっている。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から2,103百万円の増加(+2.1%)となった。金額の変動が大きいものは事業用資産となるが、事業用資産は野村支所庁舎、土居地区地域づくり活動センター等の完成により3,301百万円が増加した。資産総額のうち有形固定資産の割合が87.5%を占めており、これらの資産は将来の維持管理等の支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設等の適正管理に努める必要がある。また、一般会計等における負債総額は前年度末から201百万円の増加(+0.5%)となった。金額の変動が大きいものは固定負債の地方債395百万円の増加である。水道事業会計、公共下水道事業会計、病院事業会計等を加えた全体では、資産総額は前年度末から1,205百万円増加(+0.9%)し、負債総額は前年度末から637百万円減少(△1.0%)した。第三セクター、一部事務組合を含む連結では、資産総額は前年度末から1,285百万円増加(+0.9%)し、負債総額は前年度末から668百万円減少(△1.0%)した。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は23,909百万円となり、前年度比105百万円の増加(+0.4%)となった。業務費用のうち物件費が可燃ごみ処理委託料等の増により前年度比292百万円の増加(+7.8%)となった一方で、移転費用のうち他会計への繰出金が公共下水道・簡易水道事業に関する支出科目変更による減で371百万円の減少(△16.6%)となった。純経常行政コストは前年度比108百万円の増加(+0.5%)となったが、臨時損失が三瓶保育園の譲渡に伴う滅失で資産除売却損が増となり前年度比196百万円の増加(+16.3%)、純行政コストは前年度比246百万円の増加(+1.0%)となった。今後も公共施設等の適正管理を図り経費の縮減に努める。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が4,150百万円多くなっている一方で、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用のうち補助金等が9,538百万円多くなり、純行政コストは一般会計と比べて10,175百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が6,509百万円多くなっている一方で、補助金等が15,204百万円経常費用が22,690百万円多いことから、一般会計と比べて純行政コストは16,084百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(25,825百万円)が純行政コスト(24,124百万円)を上回ったことから、本年度差額は1,701百万円(前年度比△165百万円)となり、純資産残高は60,576百万円(前年度比+1,902百万円)となった。財源のうち税収等はふるさと応援寄付金の増により前年度と比べ、93百万円増加したが、国県等補助金については新型コロナウイルス感染症対策に係る子育て世帯等臨時特別支援事業費国庫補助金等の減少により、前年度と比べ11百万円減少した。平成30年7月豪雨災害及び新型コロナウイルス感染症対策等の影響で純行政コストは平成30年度から急増し高止まりとなったままであり、今後も復興経費を優先しつつ経費の抑制に努める必要がある。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が3,758百万円多くなっているが、財源(35,818千円)が純行政コスト(34,299百万円)を上回ったことから本年度差額は1,519百万円となり、純資産残高は76,710百万円(前年度比+1,843百万円)となった。連結では、後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が16,065百万円多くなっているが、財源(41,890千円)が純行政コスト(40,208百万円)を上回ったことから本年度差額は1,682百万円となり、純資産残高は78,709百万円(前年度比+1,953百万円)となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は4,181百万円であったが、投資活動収支については、投資活動収入が投資活動支出を下回り△4,612百万円となっている。財務活動収支については、地方債の発行額が地方債償還支出を上回ったことから、+308百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から123百万円減少し、1,739百万円となった。来年度以降も大型事業で起債した元金償還が始まることから、今後、事業の見直しを行うとともに地方債等の発行を抑制する必要がある。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料があることなどから、業務活動収支は一般会計等より551百万円多い4,732百万円となっており、投資活動収支では、△4,677百万円となっている。財務活動収支は△327百万円となり、本年度末資金残高は前年度から272百万円減少し、4,675百万円となった。連結では、業務活動収支は一般会計等より810百万円多い4,991百万円となっており、投資活動収支では、△4,784百万円となっている。また、財務活動収支は△367百万円となり、本年度末資金残高は6,235百万円となった。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

合併後514.34kmに及ぶ広範な区域に旧5町ごとの公共施設があり、保有する施設数が多く老朽化も著しいため、施設の集約化・複合化や除却を進めており、住民一人当たり資産額は、類似団体と比較して平均を上回り、歳入額対資産比率及び有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して平均を下回る結果となった。しかし、社会体育施設、福祉施設、市民会館等については類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高い状況である。今後の人口減少、少子高齢化などにより、将来的に厳しい財政状況が見込まれる中、健全な財政運営のためにも、平成27年度に策定した公共施設等総合管理計画(令和3年度改定)及び令和4年度に策定した個別計画に基づき、公共施設等の統廃合を含め全体の見直しを行い、適正な施設運営に努める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均を下回っている一方で、将来世代負担比率は類似団体平均を上回っている。その要因としては、近年の大型事業の実施に伴い、地方債現在高が年々増加していることにある。一方で、令和3年度、令和4年度において普通交付税の国の補正予算に伴う再算定追加交付等による増加があったものの、今後は横ばい傾向となり財政調整基金等の財源対策用基金残高については減少していくと予想されるため、将来負担比率は増加していくと考えられ、新規に発行する地方債の抑制を行い、将来世代の負担の減少に努める必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っているが、昨年度に比べて増加している。純行政コストは平成30年7月豪雨災害及び新型コロナウイルス感染症対策等により令和2年度まで大幅に増加し、令和3年度で減少していたが、本年度においては、物件費の可燃ごみ処理委託料等の増もあり増加している。また、経常費用のうち物件費等が約31.9%を占め、人件費についても約19.9%を占めているため、類似団体と比べて住民一人当たり行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。公共施設等の適正管理を図り経費の縮減に努めるとともに、行財政改革の取組を通じて人件費の削減に努める必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

負債額は前年度から増加しており、住民一人当たり負債額は類似団体平均を大きく上回っている。令和4年度は地方債発行額が地方債償還支出を上回ったことから増加となったが、近年の大型事業の実施に伴い、地方債現在高は年々増加傾向となっているためである。今後も新規に発行する地方債の抑制を行い、地方債残高の縮小に努める必要がある。基礎的財政収支では、業務活動収支が黒字となっている一方で、投資活動収支においては赤字となっているが、基礎的財政収支は△998百万円となっている。投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して野村支所庁舎、土居地区地域づくり活動センター整備事業等を実施したことなどによる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、令和2年度に類似団体を下回っていたが、令和3年度より上回っている。令和4年度は前年度と比べて経常費用が105百万円増加(+0.4%)し、経常収益が3百万円減少(△0.3%)しているが、前年度と同率となっている。経常費用が増加したのは、物件費の可燃ごみ処理委託料等の増によるものである。税負担の公平性・公正性や透明性の確保に努めるため、公共施設等の使用料の見直し等を行うとともに、行財政改革により、経費の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,