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地方財政ダッシュボード

静岡県南伊豆町の財政状況(2021年度)

🏠南伊豆町

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収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

地域デジタル社会推進費や追加交付に伴う臨時経済対策費の新設により、基準財政需要額は273百万円増加したが、一方で基準財政収入額は、分離長期譲渡所得の減少や固定資産の評価替え等により29百万円の減額となったため、令和3年度の財政力指数(単年度)は0.270となり、三カ年平均数値についても0.297と微減となった。財政力指数の向上には、町税収入の増加が不可欠であるが、高齢化に伴う生産年齢人口(15歳から64歳)の減少、主要産業である観光業の低迷等は今後も続くと見込まれることから、今後は一層の徴収率強化に加え、交流人口の増加に繋がる施策(誘客促進、サテライトオフィス、ワーケーション等)の実施や、年間を通じた仕事づくりを推進し、町民所得の向上に努める。また、再生可能エネルギー事業の推進により、償却資産の増加による固定資産の増収も図りたい。

経常収支比率の分析欄

分子である経常経費充当一般財源は、会計年度任用職員の費用弁償、社会保険料を人件費としたことによる増(+43百万円)、平成28同意の過疎対策事業債579.7百万円及び平成29同意の臨時財政対策債145百万円等の償還開始による公債費の増(+67百万円)等により、前年度に比べ120百万円増加した。分母である経常一般財源は、地域デジタル社会推進費や追加交付に伴う臨時経済対策費の新設による普通交付税の増(+303百万円)により、前年度に比べ328百万円増加した。結果、分子の増加を分母の増加が上回ったため、経常収支比率は85.4%となり、前年度に比べ2.0%改善したが、臨時財政対策債全額の発行を見送ったため、類似団体のそれを大幅に上回った。財政の弾力性が図られるよう、今後も一層の経常経費の節減に努めていきたい。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費については、職員数の削減が進んでいないこと及びコロナウイルスワクチン接種の実施やALTの増等により会計年度任用職員報酬が増加したことにより、前年度に比べ71百万円の増となった。今後は、定年延長制度の導入を踏まえた定員管理計画を策定し、職員数の適正化を図るとともに、こども園の1園化などによる施設の統合を含め、会計年度職員数についても削減を図っていく。物件費については、コロナウイルスワクチン接種の一般向け開始に伴う接種委託料の増や誘客促進策として宿泊割引クーポンを発行したため23百万円の増加となった。しかし、根本的には清掃センター包括運転管理業務、給食調理業務、図書館運営業務を外部に委託していることが高値の要因であることから、委託内容、事業量はもとより、直営での運営についても再検討するなど、一層の経費節減に努めたい。

ラスパイレス指数の分析欄

数値が類似団体の平均を上回る要因としては、人材確保の観点から、国の基準より高卒・短大卒の初任給を引き上げていることが挙げられる。また、55歳以上の高齢層職員について、昇給停止を実施していないことも要因の一つである。今後、定年が延長されることも踏まえて制度の見直しを検討していく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

人口は減少しているが、過重労働是正の観点から労働環境の改善に努めているため、職員数の削減が難しく、類似団体平均と比較して高い数値となっている。今後は、定年延長が実施されることから、一時的な職員数の増加が見込まれるが、長期的な採用計画を立て、職員数の増加抑制に努める。

実質公債費比率の分析欄

平成30年度に比べ、町の一般会計及び公営企業会計の元利償還金額が増加したため、分子を構成する公債費は80百万円の大幅増加となったが、地域デジタル社会推進費や臨時経済対策費の新設、過疎対策事業債元利償還金の増に伴う公債費の増により、分母を構成する普通交付税が520百万円増加したため、前年度に比べ0.1%改善した。しかし、令和3末現在において、公債費については、令和4に5億円を突破し、令和5にはピークとなる5.5億円に到達、その後も令和9まで5億円台で推移すると見込まれており、今後、中学校統合も予定していることから更なる増加が懸念される。以上のことから、町債の発行を抑制することが望まれるため、一層の経費削減に努め、償還金の返還が将来の財政運営の足枷とならないよう、財政健全化に努めたい。

将来負担比率の分析欄

町債の新規発行抑制による地方債現在高の減、水道事業会計及び公共下水道事業特別会計の償還進行による公営企業債等繰入見込額の減、調整額支給対象者がいなかったことによる退職手当負担見込額の減、財政調整基金、公共施設整備基金及びふるさと応援基金への新規積立による充当可能基金の増及び追加交付などによる普通交付税の増により前年度に比べ18.5%改善した。ここ数年は、町施工の大型事業は以前ほどないため、公営企業会計を含む町の地方債残高は減少していくと見込んでいるが、一方で、旧共立湊病院棟等の解体や1市3町による広域ごみ処理施設の整備など、一部事務組合施工の大型事業が近々予定されており、組合負担等見込額の大幅な増加は避けられそうにない。行政コストの活用によりロスを排除し、行政活動を抑制することによって歳出を減らすという考え方への転換が重要だ。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

会計年度任用職員費用弁償(通勤手当相当)と社会保険料について、物件費を改め人件費として取り扱うこととしたこと及び、英語事業の一環として外国語指導助手(ALT)を4人採用したことにより前年度に比べ71百万円増加したが、地方交付税等の増により経常一般財源が328百万円増加したため、数値は0.3%の減となったものの、依然として高値で推移している。今後は、策定される定員管理計画に基づき職員数の適正化を図っていくとともに、こども園の1園化などによる施設の統合を進め、会計年度任用職員についても削減を行い、数値の改善を図っていく。

物件費の分析欄

総額は23百万円増加したが、数値は0.3%の減少となった。これは、経常一般財源が増加したことが大きな要因である。しかし、清掃センター包括運転管理業務、給食調理業務、図書館運営業務、観光宣伝業務、町営温泉施設や観光交流館施設の管理業務等を外部に委託しているため、類似団体の平均値に比べると依然高い状況にある。現在、これらの経費は毎年ほぼ一定で、急激な数値の改善は見込めないが、公共施設の在り方(存続か廃止か等)、委託内容、事業量はもとより、直営での運営についても再検討するなど、一層の経費節減に努め、数値の改善に繋げたい。

扶助費の分析欄

扶助費総額については、前年度に比べ205百万円増加したが、これは、子育て世帯への臨時特別給付金や住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金支給事業による一過性のものであり、これを除いた扶助費額は、前年度に比べ3百万円の減で、ここ近年は、年度によるばらつきは殆ど見られない。また、数値については3.8%となり、前年度に比べ0.3%の減となったが、これは地方交付税等の増により経常一般財源が328百万円増加したことによるものである。当町の高齢化率は、令和3末現在で49.2%で、県内で3番目と高く、今後も暫くは上昇すると見込まれることから、現行の扶助費の内容、対象要件を分析し、効果、必要性についての検討を続けたい。

その他の分析欄

繰出金のうち経常的なものについては、前年度に比べ41百万円の減少となり、また、経常一般財源も大幅に増加したため数値も0.8%減少したが、依然高い数値となっている。公共下水道事業特別会計への繰出金(公債費等繰出)が多額となっていることが一つの要因だと思われることから、ストックマネジメント計画の策定により施設の在り方(ダウンサイジング等)について検討を重ね、国庫補助金を活用することで新規町債の発行を抑制したり、経営戦略の策定により料金改定についても検討し、料金収入の確保に努めるなど、財政の見える化及び健全化を推進し、一般会計からの繰り入れに極力頼らない会計運営にシフトしていきたい。

補助費等の分析欄

総額については、前年度に比べ676百万円の減となったが、これは特別定額給付金事業の終了によるものであり、これを除いた補助費等額は、前年度に比べ132百万円の増額となった。これは、リモートワーク環境の整備を目指したサテライトオフィス開設事業費補助金の交付(68百万円)、コロナ禍により売上が減少している町内事業者への経済対策としてプレミアム付商品券事業を実施(+100百万円)したことが主因である。これらは、コロナ禍による一過性のものだと思われるが、そもそも補助費等が類似団体平均よりも高いのは、一部事務組合への負担金が多額なためであることから、他の構成団体と連携し、当町及び組合の財政状況を鑑み、負担金の縮減について検討要請を行う。

公債費の分析欄

公債費であるが、先にも述べた経常一般財源が328百万円増加したにも関わらず、数値は前年度に比べ1.2%も増加した。これは、平成28同意の過疎対策事業債579.7百万円や平成29同意の臨時財政対策債145百万円の元金償還が開始されたため、公債費の総額が67百万円増加したためである。今後は、公債費が令和9年度まで5億円オーバーで推移すること、今後は、広域によるごみ処理施設の整備、旧病院棟の解体、中学校統合事業等の大型事業が予定されていることから、更なる数値の悪化が見込まれる。大型事業が行われない年度においては、一層の経常経費の削減に努め、発行額<償還額を基本方針とし、財政の健全化を図りたい。

公債費以外の分析欄

地域デジタル社会推進費や追加交付に伴う臨時経済対策費の新設による普通交付税の増(+303百万円)により、経常一般財源が前年度に比べ328百万円増加したため、数値は3.2%改善したが、類似団体の平均値と比べると5%近く高くなっている。少子高齢化が進み、合わせて生産年齢人口の減少も進む中、町税(とりわけ町民税)の減額が見込まれることから、徴収率の改善、再生可能エネルギーの推進による償却資産増による町税の確保、応能応益の原則に基づく使用料及び利用料の見直し、ふるさと寄附制度のPRと返礼品の開発等による寄附金の増加など、一層の自主財源の確保に努めるとともに、更なる経常経費の削減を図っていきたい。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

住民一人当たりのコスト(目的別)では、商工費、土木費、消防費を除いて類似団体内平均値を下回っている。商工費は、誘客促進策として「伊勢えびまつり」及び「みなみの桜と菜の花まつり」期間中に使用できる宿泊割引クーポン等の発行で14百万円、コロナ禍により売上が減少している町内事業者への経済対策としてプレミアム付商品券事業を2回実施したことで100百万円事業費が増加したため、多かった昨年度に比べ更に増となった。土木費は、町道伊浜線道路改良工事(モルタル吹付が剥離したことによる補修)を実施(30百万円)したことや、昨年度の事業費に比べ、町道石井区内7号線道路改良工事(拡幅・歩道新設)で14百万円、橋梁点検の結果を受けて実施する橋梁長寿命化修繕事業で67百万円、護岸未整備等による災害を未然防止するため2河川で実施した災害防除工事で27百万円増加したことにより、住民一人当たりのコストが大幅に上昇した。また、消防費については、昨年度に比べ、通信指令施設情報系設備更新事業に係る起債の元金償還開始に伴う下田地区消防組合負担金が9百万円、団員定数削減に伴い退団者が増加したことによる消防団員退職報償金が12百万円増加した一方、再送信子局整備箇所の減によるデジタル同報系防災行政無線整備工事が26百万円減となったことにより、全体では14百万円の減額となり、住民一人当たりのコストは下がったが、それでも類似団体内平均値を大幅に上回っている状況となっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

住民一人当たりのコスト(性質別)では、補助費等、普通建設事業費(うち更新整備)、投資及び出資金を除いては類似団体内平均値を下回っている。補助費等は、昨年度に比べ大幅に減額となったが、依然として類似団体内平均値を上回っているのは、リモートワーク環境の整備を目指しサテライトオフィス開設事業費補助金(68百万円)を交付、コロナ禍により売上が減少している町内事業者への経済対策として、プレミアム付商品券事業(247百万円)等を実施したためであり、これはコロナ禍における一過性の施策であるため、今後は減少していくものと思われる。しかし、加入している一部事務組合数が多く、その負担金が多額なため、補助費等の大幅な数値改善は見込めない一方、今後は、ごみ処理事業について新たに一部事務組合を設立し、広域での処理を検討していることから、将来的には大幅な増額が見込まれる状況である。普通建設事業(うち更新整備)が類似団体内平均値を上回っているのは、庁舎非常用自家発電整備更新工事(40百万円)、漁業集落排水施設の廃止に向け、既接続世帯を合併浄化槽に切り替える事業(89百万円)、護岸未整備等による災害を未然に防止するための災害防除工事(45百万円)、デジタル同報系防災行政無線整備工事(156百万円)など、インフラ施設の長寿命化に伴う事業を実施したためである。自主財源の乏しい当町にとっては、事業費の増加は町債の発行増加に繋がり、強いては財政の硬直化と後年度の負担増を招くことから、国県支出金を始めとする財源の確保に努めることはもとより、事業の選択や手法の検討、費用の平準化等、財政健全化を意識しながら事業を実施したい。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

財政調整基金残高は、H30にふるさと納税制度の改正(返礼率の変更、返礼品の見直し)によりふるさと寄附金が大幅に減収となったため225百万円の取り崩しを行った。その後、余剰金の範囲内において、新規積立を行ってきたが、令和3年度末の残高は1,203百万円で、取り崩す前の水準には至っていない。実質収支額は、コロナ禍による歳出経費の支出控えや新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用による財源変更、普通交付税の追加交付等により、前年度に比べ62百万円増加した。実質単年度収支については、単年度収支は前年度に比べ48百万円の減額となったが、財政調整基金積立金が119百万円増加したため、大幅な増加となった。今後も、更なる財源の確保や経費の節減に努め、財政調整基金の取り崩しをせず安定的な繰越金が確保できるよう、適切な財政運営を行っていきたい。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

前年同様、全ての会計において黒字となり、赤字額は発生しなかった。一般会計においては、地方交付税の追加交付等により、前年度に比べ黒字幅が拡大(+62百万円)した。しかし、公共下水道事業特別会計及び子浦漁業集落排水事業特別会計においては、一般会計からの繰入金によって収支の均衡(赤字額なし)が保たれているのが現状である。中でも、公共下水道事業は、H28に工事が概成したものの、接続率は令和3末で55.8%と低い。既存の合併浄化槽が故障しないため、接続を迫られる状況にないこと、定年退職後に子どもがUターンするケースが少ないため、高齢者のみの世帯が増え、新たな設備投資に踏み切れないこと等が主な要因で、近年では、既接続者の死亡や転出に伴う収入(下水道使用料)の減額も相まって、経営は厳しい。今後、公営企業法の適用を受ける中で、ストックマネジメント計画や経営戦略を策定することとなるが、この機会に施設の在り方(ダウンサイジング等)について検討を重ね、国庫補助金を活用することで新規町債の発行を抑制したり、料金改定についても検討し、料金収入の確保に努めるなど、財政の見える化及び健全化を推進し、一般会計からの繰入れに極力頼らない会計運営にシフトしていきたい。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等、債務負担行為に基づく支出金については、前年度に比べて大きな変化はないが、一般会計債の元利償還金は67百万円、公営企業債の元利償還金に対する繰入金は12百万円増加した。前者は、H28同意の過疎対策事業債579.7百万円やH29同意の臨時財政対策債145百万円の元金償還が開始されたため、後者は、簡易水道9地区の量水器交換等に伴う補助金の増加や、H26同意の下水道事業債24百万円の元金償還が始まったためである。また、近年は、過疎対策事業債や緊急防災・減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債など、交付税参入率の高い起債を優先して借り入れているため、算入公債費等についても増加傾向となっている。財政力が乏しく、大型事業の実施にあたっては起債に頼らざるを得ない当町では、今後も一般会計債に係る元利償還金等は、暫くの間増加する見込みであることから、それと並行して算入公債費等も高い水準を保てるよう、起債を取り巻く制度の動向には注視していく。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

令和3年度は、南伊豆認定こども園子育て支援センター棟新築などの大型事業の終了により、新規町債発行額<元金償還額に転じたため、僅かではあるが一般会計等に係る地方債の現在高が減少した。また、公営企業債等繰入見込額も水道事業会計及び公共下水道事業特別会計の償還進行により減、退職手当負担見込額も調整額支給対象者がいなかったことにより減となったことから、将来負担額は155百万円の減となった。一方、充当可能財源等は、財政調整基金、公共施設整備基金及びふるさと応援基金への新規積立による充当可能基金の増、交付税措置率の高い起債に絞って借入れを行っているため、基準財政需要額算入見込額の増により、328百万円の大幅増となった。よって、将来負担比率の分子は481百万円の減となり、合わせて普通交付税の増により標準財政規模も増となったことから、将来負担比率は大幅に改善された。今後、町では中学校統合事業や一部事務組合による広域ごみ処理施設の整備を予定しているが、その実施は早くても数年先と見込まれている。暫くは大型事業もないため、新規町債発行額<元金償還金の状況が続くことから、任意繰上償還による地方債現在高の更なる縮減、ふるさと寄附金制度のPRや返礼品の開発による一層の自主財源の確保及び歳出経常経費の削減に努め、基金残高を増やすなど、財政健全化を図っていきたい。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)令和3年度の基金残高は2,178百万円で、前年度に比べ263.8百万円の増加となった。財政調整基金で133.4百万円、ふるさと応援基金で93.3百万円、公共施設整備基金で50百万円、庁舎建設基金で20百万円積立を行った一方で、竹麻地区の遊休化した水田を畑地化する土地改良事業の負担金の財源として「ふるさと水と土基金」を2.2百万円、詩人石垣りんの生誕100周年事業の財源として「石垣りん文学記念基金」を2百万円、弓ヶ浜温泉供給継続事業への補助金や町営テニスコート改修工事等の財源として「ふるさと応援基金」を29.8百万円取り崩したことが主な要因である。(今後の方針)ふるさと応援基金は、その年度のふるさと寄附金総額から返礼品代や広告料等の必要経費を差し引いた金額を後年度に自動的に積み立てているため、他の基金とは性質が異なる。よって、余剰金を基金に積み立てる際の方針であるが、財政調整基金(積立目標額:令和5末で13億円に到達するまで)、庁舎建設基金(積立目標額:6億円)、公共施設整備基金への積立を最優先とし、コロナ禍による財政出動などの不測の事態への対応に加え、今後予定している中学校統合事業等の公共施設整備事業の財源とするため、適正な基金の管理と使途の説明に努め、単なる肥大化とならないよう注視していく。

財政調整基金

(増減理由)令和3年度は、基金運用益の積立に加え、余剰金の一部を積み立てることができたため、前年度に比べ133.4百万円の増加となった。(今後の方針)平成30年度にふるさと納税制度の改正により、返礼品の見直しや返礼率が3割以下に改正されたことを受け、ふるさと寄附金額が前年度寄附金額を大幅に下回り、予算においても大幅な歳入欠陥となったことから、財政調整基金を225百万円取り崩し、翌年度繰越金を確保した。基金残高も1,261百万円から1,042百万円に大幅に減少したため、令和元年度以降、当時の水準に戻すべく積立を続け、令和3年度末で残高が1,202百万円まで回復した。当町は、財政力指数が0.30と類似団体内平均値と比べてもかなり低く、人口も年に150人程度のペースで減少し、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少に伴い、町税とりわけ町民税の大幅な増額は見込めない。更に、依存財源の割合が7割程度と高く、中でも地方交付税が歳入決算額の40%程度を占めているが、現在の水準でいつまで交付されるのかは不透明な状況である。よって、今後も安定的な財政運営を行い、自立可能なまちづくりを推進するため、令和5年度末残高13億円を目標に積み増しを行っていきたい。

減債基金

(増減理由)なし。(今後の方針)ここ数十年、基金残高は3千円であり、増減していない。今後も積立の予定はない。

その他特定目的基金

(基金の使途)ふるさと応援基金は、魅力あるまちづくり事業の財源として積み立てており、令和3年度は、弓ヶ浜温泉供給継続事業の補助金や町営テニスコート改修工事等の財源として活用した。公共施設整備基金は、公共施設の機能保全を図り、施設の長寿命化に資するための整備及び改修の財源として、庁舎建設基金は、庁舎建設時の財源不足を補うため、ふるさと創生基金は、国際交流・親善の推進とふるさとの伝承・文化・芸能の開発・継承を図るため、交通安全対策推進基金は、交通安全対策の推進に関する事業に充当することを目的としている。(増減理由)左に掲載した基金のうち大幅に増減したのは、ふるさと応援基金、公共施設整備基金及び庁舎建設基金である。理由であるが、ふるさと応援基金は、弓ヶ浜温泉供給継続事業の補助金や町営テニスコート改修工事等の財源として29.8百万円の取り崩しを行ったが、ふるさと寄附金総額から返礼品や広告料等の必要経費を差し引いた93.3百万円を積み立てたため、差し引きで63.5百万円増加し、後の2つについては、基金運用益に加えて、余剰金の一部をそれぞれ50百万円、20百万円積み立てたためである。(今後の方針)生徒数の減少や施設の老朽化に伴い、令和9年度頃の開校を目途に中学校の統廃合(2校から1校へ)を検討している。建設に当たっては、国庫補助金や町債(義務教育施設等整備事業債、過疎対策事業債)を財源として見込んでいるが、過疎対策事業債は県の交付枠があり、要望額どおりに借り入れることが難しく、財源のやり繰りに苦慮させられる。そのような状況に対応し、過度な一般財源の持ち出し等による財政圧迫を避け、施設の計画的な更新を進めるためには、安定した財源の確保は極めて重要であることから、公共施設整備基金への積立を最優先とし、その他の目的基金については、今後の需要を見極めたうえで適切な管理・運営に努めていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値に比べ高く、上昇傾向にあるが、道路の数値が当数値を押し上げる要因となっている。建物について、人口減少や少子化もあり、人口に見合った施設を保有することが望ましいと考えている中、令和4年度に認定こども園の統合(2園から1園)を行った。現在、町内に2校ある中学校の統合、一般廃棄物処理施設の1市3町による広域化を検討しており、施設の更新が行われる見込みであるから、有形固定資産減価償却率は低下するとみられる。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率について、類似団体内平均値と比べて高い数値となっている。これは、地方債残高が多額であることによる。令和3年度は、地方債残高の減少等による将来負担額の減少、基金の新規積立による充当可能財源の増加に加え、普通交付税が増額となったことから、債務償還比率は前年度に比べ低くなった。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

類似団体内平均値と比べると、有形固定資産減価償却率及び将来負担比率も高い数値となっているが、これは保有施設の老朽化の度合いが高いこと、地方債等の負債が多額であることが主な要因である。将来負担比率について、町債の新規発行抑制により、地方債現在高の減少したことに加え、基金への新規積立による充当可能基金が増加となったことにより、前年度と比較して18.5%の大幅減となった。有形固定資産減価償却率については、今後見込まれる中学校統合、一般廃棄物処理施設の広域化による施設更新により、低下することが予想されるが、将来負担比率については、施設更新に伴い発行する地方債により増加することが見込まれる。今後の将来負担比率の増加を見据え、他の保有資産の更新の方針について、早期に決定する必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率の3カ年平均は7.4%で、前年度と比較し、0.1%改善となった。交付税の増額があったことにより、実質公債費比率は改善となったが、地方債の元利償還金の額等の将来負担額については、昨年度と比較し、増加となったため、類似団体内平均値と比較し、大きな改善とはなっていない。また、今後予定している中学校統合、一般廃棄物処理施設の広域化による施設更新により、地方債を発行することで実質公債費比率の上昇が見込まれ、それに伴い将来負担比率も上昇することが想定される。当町においては、実質公債費比率に比べ、将来負担比率の数値が高いことから、将来負担比率の悪化の要因は、地方債以外のものによるものが大きい。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路について、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値に比べ高い数値であるが、これは固定資産台帳への登録時点において、道路資産の減価償却累計額を高く設定せざるをえなかったことによる。平成30年度以降は、順次適正な資産登録を行っており、徐々に適正値に近づいていくと想定している。また、当町は人口密度が低いため、全国平均と比べ一人当たり延長の数値が高くなっている。橋りょう・トンネルについて、長寿命化計画に基づく修繕を行ったため、有形固定資産減価償却率は低下した。また、当町は人口密度が低いため、全国平均と比べ一人当たり有形固定資産(償却資産)額の数値が高くなっている。公営住宅について、令和元年度に長寿命化計画に基づく修繕を行い、有形固定資産減価償却率は低くなったが、類似団体内平均値に比べ高い数値であり、老朽化の度合いは高い。また、全国平均と比べても1人当たり面積の数値が低いが、供給不足の状況ではない。認定こども園について、有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値に比べ低いが、一人当たり面積は高い数値となっている。令和4年度に認定こども園の統合(2園から1園)があるため、人口に見合った資産の保有状況に近づくと考えられる。学校施設について、今後、人口減少、少子化等により、一人当たり面積が過大となっていくことが想定されるが、今後施設統合(2校から1校)を検討しており、人口に見合った資産の保有状況となることが想定される。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館について、有形固定資産減価償却率は高い数値であり、老朽化が進んでいるため施設の更新方法・時期を検討する必要がある。体育館・プールについて有形固定資産減価償却率は高い数値であるが、今後、学校施設を統合することを検討しているため、体育館・プールの施設の更新も併せて検討していく。一般廃棄物処理施設について、有形固定資産減価償却率、一人当たり有形固定資産(償却資産)額共に高いが、近隣1市3町にて広域の施設を建設する予定であるため、この数値は改善される見込みである。保健センター・保健所について、保健センターを平成30年に竣工したことから、有形固定資産減価償却率は低い数値となっている。庁舎について、庁舎を平成23年に竣工したことから、有形固定資産減価償却率は低い数値となっており、次回の更新に備え基金への積立を行っている。消防施設について、新しい施設の建設がないため、有形固定資産減価償却率は上昇傾向である。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計においては、資産総額が前年度末から318百万円の増加となった。金額の変動が大きいものは、インフラ資産と投資その他の資産である。インフラ資産については、橋梁長寿命化事業、道路改良事業等による資産の取得額が、減価償却による資産の減少を上回ったことから増加している。また、ふるさと応援基金、公共施設整備基金、財政調整基金への新規積立を264百万円行ったため、投資その他の資産及び流動資産も増加している。負債総額については、新規地方債の発行額が、1年内償還予定地方債の額を下回ったことからは前年度末から81百万円減少している。今後も、地方債残高を計画的に管理し、負債の増加の抑制に努めつつ、資産の維持を行う。全体においては、一般会計を控除した資産が11百万円の増、負債については69百万円の減となり、連結においては、一般会計を控除した資産が198百万円の増、負債については149百万円の減となった。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計においては、経常費用は5,197百万円となり、前年度比443百万円の減少となった。その主な要因は、前年度行った定額給付金の給付事業を令和3年度に行わなかったことにより、移転費用のうち補助金等が前年度比433百万円の減少となったことによる。経常収益は231百万円となり、前年度比33百万円の減少となった。その主な要因は、前年度はプレミアム付商品券の発行事業を直営で行い、プレミアム付商品券の発行収入によるその他収益があったが、令和3年度は直営で行わなかったため、その他収益が減少したことによるものである。今後は、DXの推進等により行政サービス提供の効率化を図り、経常費用を抑制したい。全体においては、一般会計を控除した純行政コストが99百万円の減となり、連結においては、一般会計を控除した純行政コストが125百万円の減となった。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、純資産本年度差額は398百万円となり、純資産残高は399百万円の増加となった。純行政コストは、前年度行った定額給付金支給事業を令和3年度は行わなかったことにより412百万円減少したのに対し、財源については153百万円の減少であったため、本年度差額は前年度比259百万円増の398百万円となった。全体においては、一般会計を控除した純資産残高が80百万円の増となり、連結においては、一般会計を控除した純資産残高が347百万円の増となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計において、業務活動収支は899百万円となり、前年度と比較し177百万円の増となった。これは前年度と比較し普通交付税が大幅に増額となったことによる。投資活動収支は△879百万円となり、前年度と比較し135百万円の減となった。これは基金積立金支出が前年度比170百万円の増となったこと、基金取崩収入が前年度比48百万円の減となったことによるものである。財務活動収支は△23百万円となり、前年度比213百万円の減となった。これは、前年度と比較し地方債新規発行額が大幅に減となったことによる。全体においては、一般会計を控除した業務活動収支が45百万円の増、投資活動収支が29百万円の減、財務活動収支が16百万円の増となった。連結においては、一般会計を控除した業務活動収支が14百万円の減、投資活動収支が8百万円の減、財務活動収支が59百万円の増となった。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額について、昨年度と比較し、9万円の増となった。これは人口が減少傾向であることに加え、橋梁長寿命化事業、道路改良事業等により資産が昨年度と比較し増加したためである。類似団体平均値を大きく下回っているが、道路の有形固定資産減価償却率が大きく、資産から減価償却累計額を控除した資産価値が低いことが大きな要因である。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

類似団体平均値に比べ、純資産比率が低い。これは、負債である地方債残高が大きいためである。将来世代負担比率については、類似団体平均値に比べ高いが、令和3年度発行の地方債は全て交付税措置のあるものである。今後も、交付税措置のある地方債を活用しながら、地方債残高を計画的に管理していく必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストについて、前年度と比較し3.8万円の減となった。これは、前年度行った定額給付金支給事業を、令和3年度は実施しなかったことにより、移転費用のうち補助金等が減少したことによる。類似団体平均値と比較すると、低い数値であるが、今後は、人口減や社会保障給付費の増加に伴い、行政コストの増加が見込まれるため、経常費用の抑制を図る必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額について、前年度比0.8万円の増となった。これは、人口減少の影響が大きかったことが要因であり、負債の額としては、新規地方債の発行額が前年度と比較し低かったことにより、減少している。今後も、地方債の発行を計画的に行い、後年度の負担の増加を抑制していく。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率について、前年度は類似団体平均値と同数値であったが、令和3年度は、下回る数値となった。前年度はプレミアム付商品券の発行収入により経常収益が例年と比較し大きかったが、今年度は発行収入がなかったため、受益者負担比率が減少した。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,