経営の状況について
経営の健全性・効率性については、全般的には概ね良好な数値を示している。平成30年度の収益的収支比率・営業収支比率・EBITDAについては、全国平均と比較すると高い値を示しており、前年度と比較しても概ね同水準を保つことができている。高水準をキープできている主な要因としては、FIT移行と発電施設の更新によるものであるが、安全で安定した電力供給を維持するため、設置業者との密な連携体制を取れていることが実務的な見解である。本村では引き続きこの形態を維持していくこととしている。EBITDAについて、高水準にある主な要因は、前述したものと同様であるが、これは現行の維持体制の成果が経営状況へ十分に反映している証拠であると言える。平成26年度の発電所更新工事により、良好となった発電効率を今後も維持し、指標値の向上に努めていきたい。
経営のリスクについて
経営のリスクについては全般的には概ね良好な数値を示している。平成30年度の施設全体から見る設備利用率については、全国平均と比較すると大幅に高い値を示しているが、修繕費比率については、大幅に低い値を示している。これは平成26年度に発電所施設の更新工事が完了し、修繕費の大幅な減少とFIT移行による収入の増加によるものであり、総合的に本村の電気事業における経営のリスクは最少であると推察する。現行の事業収入内訳としては、FITによる収入割合が100%となっており、適用期間終了(令和17年6月)後の事業のあり方については、現時点で方針は定まっていない。しかし、令和2年度までに経営戦略を策定しなければならないことから、今後、第5次エネルギー基本計画に沿った情勢の変化や、非化石市場の動向等、様々な可能性を模索し、FIT終了による電力料収入の変動リスクも視野に入れた計画を作成していく。企業債残高対料金収入比費率については初期投資に要する経費について企業債を活用せず、村の一般会計から長期借入れを行い、電力料収入で分割して支払っているため、企業債残高対料金収入比率が算出されない。今後も安全で安定した電力供給を進めていく上で、計画的に施設更新を実施するとともに、自然災等における被害の極小化に向けた対応策を検討し、円滑な事業運営に努めていく。
全体総括
平成30年度における全体の各数値については、前年度と同水準で移行しており、全国平均値と比較しても良好な値を示している。また、事業収益及び経営リスクにおいても、損失等に繋がることなく、順調であると言える。しかし、FIT収入のみであることから、適用期間満了後の経営において、同水準以上の良好な状態を維持していくことができる環境を、現段階から組み立てておく必要があると考える。また、熊本地震や大寒波等、異常気象や自然災害が多発している現在において、今後も同様の災害が起こりえる状況が想定される中で、安全で安定した事業運営が維持できる(戦略的)対策を早期に講じる必要があると言える。現状に満足することなく、先を見通した行動を実施し、今後の事業運営をしっかり取り組んでいくためにも、未策定である経営戦略を早期に仕上げ、より効果的な発電事業としていきたい。