経営の状況について
本村の風力発電はその収入の主を売電によるもので賄っており他会計からの繰入金はほとんどない為、過去5年間を通じて収益的収支比率・営業収支比率とも黒字となっており、安定した経営といえる。しかしながら、H24・H25・H27はともに黒字経営ではあるが、災害によって発電できない時期や老朽化による大規模な修繕があり経常収支比率・営業収支比率ともに下がっている。供給原価をみると、H25・H27の数値が突出しているが、これらは前記した大規模な改修があったためである。だが、平均値との比較では、H25を除きおおよそ平均か、それ以下であるため、比較的良好と考える。しかしながら、減価償却前営業利益をみると、継続的な成長とは言いがたい状況である。平均値と比べても大きな乖離が見て取れる。これは産山村の風力発電施設が他と比べて規模を拡大していないことに要因があると考えられるが、5年を通して大きな変動が無いということはそれだけ安定したものであるということが考えられる。
経営のリスクについて
・設備利用率をみると、全体的な傾向として大きな変動はないものの、平均値を上回る年がないことがわかる。H27は災害及び大規模な修繕により発電できない期間があったため、設備利用率が落ち込んでいるが、H28からは上昇傾向にある。・修繕費比率がH25~H28にかけて平均を上回っているがこれは、災害や老朽化による修繕が主であり、H28年からは平均値を下回っている。・売電収入の全てが固定価格買取制度(FIT収入)によるものである。固定価格買取制度の終了がH33であり、今の経営状況よりも悪化する見込みである。・企業債残高対料金収入比率0%である理由は、現在借入額がない為である。
全体総括
現状として、産山村の風力発電による経営は、概ね安定しているが、前記したように、固定価格買取制度の終了が近づいてきており、現状のままの経営では赤字に転じる可能性もある。今後策定を予定している経営戦略の中で、黒字経営をいかにして維持していくか、また民間売却等も視野に入れつつ事業の存続や経営方法について今後総合的に判断していく。