経営の状況について
○収益的収支比率当該指標が100%未満である平成29年度から令和元年度まで、3年連続で収支が赤字となっていたが、令和2年度以降は100%を超え回復の兆しが見受けられた。しかし、施設の老朽化や修繕対応が必要となることから引き続き老朽化対策及び故障対応の迅速化により発電効率の向上を図る必要がある。なお、不足する財源は剰余金を充当しており、一般会計からの繰入金はない。○営業収支比率当該指標は継続して100%以上となっているが、全国平均と比較すると低い数値で推移しており、経営改善に向けた取り組みが必要である。○供給原価収支が赤字となった平成29年度から令和元年度にかけては、全国平均と比較して発電コストも高くなっていたが、令和2年度以降は地方債償還の終了もあってか平均を下回る回復結果となった。今後も効率的な運転とコスト削減に向けた取り組みが必要である。○EBITDA平成30年度、令和2,3年度と収益性が大きく低下しているため、収益の回復に努めていく必要がある。
経営のリスクについて
○設備利用率平成27年度以降、目標とする設備利用率20%を下回り推移している。故障停止期間が直接設備利用率に影響しており、これまで以上に故障対応の迅速化が求められる。○修繕費比率設備の老朽化に伴う部品の故障が多く、その大部分がメーカー対応となり、特に平成29年度以降は高い数値で推移している。修繕に係る交換部品等は年々入手が困難になってきており、海外調達が必要な部品も多く、部品確保が課題である。○企業債残高対料金収入比率地方債償還の終了に伴い、0である。○FIT収入割合全収入がFITで占められている。FIT適用期間終了(R7)後の売電単価は現状よりも大きく低下することが考えられ、事業存続については廃止も含めて検討する必要がある。
全体総括
平成29年度から3年連続で赤字が続いていたが、令和元年度の地方債償還終了に伴い、令和2年度以降は黒字化となった。伊方町風力発電所はFIT期間が終了する令和7年6月末で運転開始から20年3カ月となり、一般的に大型の風力発電設備の設計寿命年数と言われる20年が経過する。FIT期間終了後の売電単価は現状よりも大きく低下することが考えられ、加えて耐用年数経過に伴う更新費を考慮すると収益確保は難しい状況となることが予想される。このような状況から、FIT期間終了後の事業存続については廃止も含めて検討する必要があるが、解体撤去などの事業実施に備え、計画期間中は安定した施設運営により計画的な財源確保に努める。