経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、主に人口減少等の影響で使用料収入が減少し、年々低下傾向にある。企業債残高については、建設等に係る整備事業が完了し、現在新規の借入を行っていないため、年々減少し、比率も低下している。しかし、各施設ごとに老朽化に伴う機能診断を実施する予定であり、今後予想される更新に向けて適切な数値となるように努める。経費回収率においても使用料収入の減少により低下傾向にある。汚水処理原価については、処理水量が減少しても維持管理費や地方債償還金等の一定の経費は必要であり、更に離島や海岸半島部という地理的要因で小規模となるため高くなっている。施設使用率においては、人口の減少により低下傾向にあり、また、施設利用率を上げるために広域化等による効率化を図ることも考えられるが、離島や海岸半島部に点在しており、隣接する集落が近隣にないため広域化は困難な状況にある。また水洗化率においては、新規の接続世帯は微増となっている。現状では、経費のうち使用料収入で賄えない分について、一般会計からの繰入を行っている状況である。使用料金の改正に関しては現在、他市等に比べて大変高い料金設定を導入しており、利用者に更なる負担を求めるのは当面困難である。
老朽化の状況について
各施設、供用開始から14年から20年が経過している。管渠について、法定耐用年数が経過するまでには期間があり、改修計画の見直しや大規模な修繕改修は予定していない。しかし、魚類運搬大型車の通行も頻繁であり、また、塩害等も予想されるため、適正な点検・維持管理に努める。また、設備・機器については、機能診断・長寿命化事業計画を策定し、適正な更新・改修等を随時実施する。
全体総括
今後も人口減少により、使用料収入の減少や施設利用率の低下が懸念されている。しかし、事業の広域化、管路延伸による区域の拡大は離島や半島に点在しているため、今後も困難な現状である。使用料金については、1月20㎥あたり津島地区が5,400円、遊子地区が4,795円と他市等に比べて大変高い料金設定を導入しており、利用者に更なる負担を求める改定は当面困難である。しかしながら、地区住民にとっては生活環境を維持し快適な市民生活を送るために必要不可欠な施設であり今後も安定的にサービスを提供をする必要がある。そのため平成30年度から順次、長寿命化計画を策定し、その計画に基づき効率的で適正な施設の更新等を行うとともに、人口減少に対応するために地域にあった処理方法等を検討する。また、未接続の世帯に対しても、接続による地域環境の改善に理解を求めるなど普及・啓発活動の推進を行い、使用料の増収に努めるとともに、随時点検等を細かに実施することで費用発生の抑制を図り、今後も引き続き更なる経費削減に努める。