経営の状況について
経常収支比率及び営業収支比率については、ともに100%を超えており、料金収入以外の収入に依存することなく黒字経営を維持できている。【経常収支比率7.3%増】【営業収支比率6.7%増】令和2年度は前年度に比べて、経常利益、営業利益ともに改善した。天候条件などにより発電実績が良好化し電力料金収入が増加したことに加え、前年度まで積み増ししていた特別修繕引当金の繰入終了に伴い修繕費などの費用が減少したためである。依然全国平均と同程度の比率は維持しており、健全な状態と考えている。短期的な支払能力については、流動比率が100%を超え、全国平均を上回っている。なお、本県の発電所は比較的新しいものが多く、流動負債に計上される企業債の償還額が大きいことから償還とともに、引き続き改善していくものと考えている。【流動比率87.3%減】令和2年度は前年度に比べて、流動負債に計上される未払金が増加したため、比率は減となっている。供給原価については、全国平均と比較して高コストとなっている。【供給原価1,412.5円減】令和2年度は前年度に比べて、年間発電電力量の増加に加え、経常費用が減少したため、コストが低下した。EBITDA(減価償却前営業利益)については、平成29年度から年々減少傾向にあったが、令和2年度は上昇に転じている。【EBITDA131,689千円増】令和2年度は前年度に比べて、純利益が増加したため、EBITDAも増加した。純利益の増減は天候条件によるところが大きく、施設自体の収益性はこれまでと同程度と考えている。
経営のリスクについて
水力発電については、降水量の増加等により、例年と比べると設備利用率が増加した。太陽光発電については全国平均と同程度となっている。【設備利用率3.7%増(施設全体)】修繕費比率については、若干の経年増減はあるものの、全国平均を上回っている。定期的なオーバーホール等の大規模修繕については特別修繕引当金により費用の平準化を図っているところであるが、さらなる節減を検討する。なお、太陽光発電については施設も比較的新しいため、例年最低限の修繕を行っているが、平成29年度は監視制御装置について4年に1度の細密点検を行ったため上昇したものである。【修繕費比率2.2%増(施設全体)】企業債残高対料金収入比率については、水力発電では比較的新しい施設が多いものの、新たな借入は行っていないため減少傾向にあり、当面は改善していくものと考えている。太陽光発電については、施設設置当初の借入以降新たな借入は行っておらず、また新規の設置も計画していないことから、引き続き減少していくものと考えている。【企業債残高対料金収入比率20.2%減(施設全体)】有形固定資産減価償却率については、水力・太陽光ともに上昇傾向にあり、全国平均と同程度となっている。今後も計画的な整備により、安定供給の確保に努める。【有形固定資産減価償却率1.6%増(施設全体)】FIT収入割合については、他団体と比較して高い状況にあり、買取期間終了による収入の減少を考慮し、既存施設の発電効率を高めるための改良工事を計画的に実施していく。なお、太陽光については、100%となっており、買取期間終了後の処遇について検討する必要がある。【FIT収入割合2.4%増(施設全体)】
全体総括
営業開始以来、常に経営の合理化を図るとともに、適正な料金の確保、設備の効率的な運用等に努め、安定した経営を継続している。また、現状分析や将来見通しを踏まえた経営戦略を平成31年1月に策定した。電気事業を取り巻く環境の変化に対応しながら、引き続き安定した経営が可能となるよう努めてまいりたい。