経営の状況について
経常収支比率及び営業収支比率については、ともに100%を超えており、料金収入以外の収入に依存することなく黒字経営を維持できている。【経常収支比率4.3%減】【営業収支比率4.9%減】平成30年度は前年度に比べて、収益、費用ともに減少したが、収益の減少率の方が大きくなった。収益の減少理由は平成30年7月の西日本豪雨に伴う発電所の一時停止等や、降水量の少ない月が多かったことにより、電力料金収入が減少したためである。しかしながら、依然全国平均と同程度の比率は維持しており、健全な状態と考えている。短期的な支払い能力については、流動比率が100%を超えているものの、全国平均を下回っているが、これは比較的新しい発電所が多く、流動負債に計上される企業債の償還額が大きいことが要因と考えられ、今後改善していくものと考えている。【流動比率70.0%増】平成30年度は前年度に比べて、流動資産に計上される現金預金が増加したため、前年度から引き続き改善している。供給原価については、全国平均と比較して高コストとなっている。【供給原価1,820.0円増】平成30年度は前年度に比べて、経常費用は減少したものの、降水量の低下により年間発電電力量が減少し、後者の減少率の方が大きくなったため、高コストとなっている。EBITDA(減価償却前営業利益)については、年々上昇傾向にあったが、平成29年度から減少に転じ、平成30年度も減少している。【EBITDA149,974千円減】平成30年度は前年度に比べて、純利益が減少したため、EBITDAも減少した。純利益の減少は降水量の低下によるものであり、施設自体の収益性が低下しているものとは考えていない。
経営のリスクについて
水力発電については、降水量の減少と西日本豪雨に伴う発電所の一時停止等により、例年と比べると設備利用率が大きく減少した。太陽光発電については全国平均と同程度となっている。【設備利用率8.2%減(施設全体)】修繕費比率については、若干の経年増減はあるものの、概ね全国平均水準にあり、定期的なオーバーホール等の大規模修繕については特別修繕引当金により費用の平準化を図っている。なお、太陽光発電については施設も比較的新しく、これまで最低限の修繕費しか要していなかったが、平成29年度は4年に1回の監視制御装置の細密点検を行ったため、上昇している。平成30年度でも最低限の修繕に加え、太陽光パネルの修繕工事を行った。【修繕費比率0.4%減(施設全体)】企業債残高対料金収入比率については、水力発電では比較的新しい施設が多く、全国平均を上回っているものの新たな借入は行っておらず、減少傾向にあり、当面は改善していくものと考えている。太陽光発電については施設設置当初の借入以降新たな借入は行っておらず、また新規の設置も計画していないことから、引き続き減少していくものと考えている。【企業債残高対料金収入比率6.3%減(施設全体)】有形固定資産減価償却率については、水力・太陽光ともに年々上昇し、全国平均と同程度となっている。今後も計画的な整備により、安定供給の確保に努める。【有形固定資産減価償却率1.9%増(施設全体)】FIT収入割合については、他団体と比較して高い状況にあり、買取期間終了による収入の減少を考慮し、既存施設の発電効率を高めるための改良工事を計画的に実施していく。なお、太陽光については、100%となっており、買取期間終了後の処遇について検討する必要がある。【FIT収入割合1.9%減(施設全体)】
全体総括
営業開始以来、常に経営の合理化を図るとともに、適正な料金の確保、設備の効率的な運用等に努め、安定した経営を継続している。平成30年度には現状分析や将来見通しを踏まえた経営戦略を策定(平成31年1月策定)し、電気事業を取り巻く環境の変化に対応しながら、引き続き安定した経営が可能となるよう努めてまいりたい。