経営の健全性・効率性について
当該事業の経営にあたっては、使用料収入料のみでは賄いきれず、一般会計の繰入金より賄っている。収益的収支については、収支率100%を下回る赤字状態であり、H24~H27迄は85%前後のほぼ横ばいで、H28は99.55%と回復している。要因として、これまでの維持修繕やH28より着手してる処理施設の更新工事に伴い、営業費用(修繕費)が減少したためである。今後も更新工事をすすめることにより、修繕費は削減できるものと推測する。施設利用率は、建設当時の計画処理量に対して、その後の定住・観光人口の減少により類似団体と比較しても、かなり低い数値となっている。これについては、現在進めている処理施設の更新工事おいて、現状に見合った処理能力に見直しているため、改善されるが、観光型集落であることから、夏期のピーク時に対して計画しているため、更新完了後の施設利用率も30%程度と分析している。使用料収入については、水洗化率100%、徴収率も100%で滞納もない状況であり、汚水処理原価は類似団体と比較しても過去5年平均約330円と若干抑えられているが、使用料単価はH28実績で約114円と低いため、今後料金改定等により経営健全化を図っていく必要はあると考える。企業債残高対事業規模については、近年、類似団体よりも高い傾向にある。建設当時の借入金償還はH36の完済に向けて減少していくため、現在行っている更新工事による借入分を見込んでも、事業規模率はH33以降減少すると分析している。
老朽化の状況について
H7の供用開始から、約20年経過した中、H26からH27にかけて、集落排水処理施設(排水処理場、中継ポンプ場、管渠)の健全度調査を行い機能保全計画を策定した。排水処理場については、機器等の老朽化が著しいため、H28より更新工事(全体工事見込額182,000千円)に着手している。管渠については、調査の結果、4箇所のマンホール蓋を除き、健全度が保たれているため、現在のところ、改築又は更新計画はない。なお、マンホール蓋更新必要箇所については、2箇所対応済みで、残りついても順次対応していく。
全体総括
経営健全化の手法として、人件費削減、広域化による施設統廃合、水洗化率の改善等があるが、当該事業は、受益戸数が100戸に満たない小規模なもので、人件費は一般会計事務の職員が兼務しており、予算計上されていない。普及率及び水洗化率はともに100%で、使用料の徴収率も100%である。今後の広域化による公共下水道との施設統合は、集落が遠方で孤立しているため不可能である。経営健全化対策としては、現在進めている処理施設の更新工事おいて、処理能力及び処理方式を見直すことにより、更新工事費及び電気料や汚泥引抜料の維持管理費の削減を図っていく。10年後の経営見通しとして、元利償還金の減少、施設更新後の維持管理コストの縮減、料金改定の検討等により、一般会計繰入金(基準内外)を40%程度削減できると推測している。