経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については、処理区域内人口が200人弱と事業規模が非常に小さく、各年度の維持補修費等の増減により数値が大きく変動してしまう。特に平成24年度は約2,500万円の村債の繰上償還を行ったため、30%台まで低下しているが、平成25年度から平成27年度の3か年をかけて段階的に使用料の改定を実施したことや、平成27年度から委託業務の見直しを行ったことなどにより、80%台まで改善された。④企業債残高対事業規模比率については、委託業務の見直し等による維持管理費の削減により、一般会計からの負担が減少したことが影響し、平成27年度については増加している。⑤経費回収率については、使用料の改定や委託業務の見直し等により改善が見られるものの、他団体の平均値より下回っている。⑥汚水処理原価についても、平成24年度の村債の繰上償還により500円台まで上昇したが、平成27年度には300円台まで低下した。しかしながら、他団体と比較すると高い状態が続いている。⑦施設利用率については、処理区域において民宿・アパートの建築割合が高いため、平均値と比較し低くなると考えられる。⑧水洗化率については、処理区域内の人口が増えていることが影響し増加している。
老朽化の状況について
父島の下水道処理については、行政区域内の大部分をコミュニティプラントにより処理を行っているが、父島の第二集落として位置づけられている扇浦・小曲地域については、コミュニティプラント区域外として、個人設置の浄化槽により処理を行ってきた。個人設置の浄化槽については適切な管理が行われていない事例が多かったことから、市町村設置型の浄化槽事業として、平成16年に小笠原村浄化槽条例を施行し、平成17年5月に供用を開始した。個人設置の浄化槽については順次村に移管を進め、平成22年度には、浄化槽の移管についてはほぼ終了した。事業開始後に新設した浄化槽の更新は、当分の間発生しないが、移管を受けた浄化槽については、計画的に更新を実施していく。
全体総括
小笠原村では「汚水の適正処理、環境保全」を目標に生活排水処理施設整備を推進しており、世界自然遺産である小笠原諸島の公共水域保全に大きく貢献している。しかしながら、特定地域生活排水処理事業については、処理区域内人口が200人に満たず、年間の使用料収入は400万円程度という非常に小さい事業規模のため、汚水処理費用を使用料収入のみで賄うことは現実的ではなく、一般会計からの繰入に頼らざるを得ない経営環境となっている。このような状況のなか、平成25年度から平成27年度の3か年をかけて段階的に使用料の改定を実施するとともに、委託業務の見直しによる維持管理費の削減を行うなど、経営の健全化に努めている。