経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率が減少に転じている要因として、設置から10年経過した市設置型浄化槽を使用者に無償で譲渡しているため、使用料収入が減少していることが挙げられる。令和4年度から令和7年度にかけて浄化槽を使用者に順次無償譲渡を行っていくため、使用料収入の減少が見込まれる。このような中、地方債償還金や維持管理費等の義務的経費については、一般会計からの繰出金で賄う必要がある。④企業債残高対事業規模比率は0%であるが、これは地方債償還元金を一般会計繰入金で賄っていることが要因として挙げられる。⑤経費回収率は,平均値を下回っているとともに、100%を下回っている。その大きな要因としては、使用料収入が減少する一方、支出における維持管理費等の増加が挙げられる。⑥汚水処理原価は、平均値を上回っている。その大きな要因としては、支出における人件費の増加や設置から年数が経過した浄化槽の修繕費用の増加が挙げられる。⑦施設利用率は、平均値とほぼ同じである。季節による処理水量の大きな変動は見受けられず、年間を通じて効率的に利用されているものと思われる。⑧水洗化率は、平均値を上回っているとともに、当市としては100%である。これは住民からの設置希望を受けた上で、市において設置していることによるものである。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、0%である。当事業は、平成20年度から開始されている事業であり、開始後12年を経過しているところである。このような中、近い将来には消耗機器の交換等、修繕費用の増加も見込まれることから、今後の点検等の結果を踏まえつつ、計画的かつ効率的な維持管理に取り組む必要がある。
全体総括
当事業は、浄化槽を市の負担にて個人の敷地に設置し、さらにその後の保守点検・清掃・法定検査等についても市の負担で行うなど、日頃から適正な維持管理に努めているところである。しかし、今後、維持管理費用の増加が懸念されていることから、令和7年度までに市で設置した浄化槽を全て使用者に無償で譲渡し、浄化槽事業を廃止する。譲渡後の浄化槽の維持管理は使用者が行うことになるため、使用者への理解や議会等の説明をしっかり行っていくことが重要である。また、浄化槽事業廃止に併せて企業債の未償還分についても、借入先と協議を行い繰上償還を行っていく。