経営の健全性・効率性について
令和2年度から下水道事業に地方公営企業法を適用し、経営指標に変化が生じたため、令和2年度のみの表示となっている。特定地域生活排水事業については、市内全域において毎年整備を進めている。事業着手から16年が経過し、法定耐用年数(28年)の半分を経過したものもある。令和2年度は、①経常収支比率は100%を超えたものの、⑤経費回収率は100%を下回った。戸別浄化槽の普及に伴い使用料収入は増加し続けているものの、使用料収入のみでは費用を賄えず、一般会計繰入金に依存している経営状況となっている。また、⑥汚水処理原価が増加している。今後も施設整備に伴う水洗化人口の増加は見込めるものの、一方では普及に伴う汚水処理費(薬品費、委託料)が増加しており、今後においては老朽化等に伴う修繕費の発生も見込まれる。健全経営を図るためには汚水処理費の縮減が必要な状況であることから、令和2年度の地方公営企業法適用を機に、維持管理手法の見直しなど、安定経営を継続していくための方策を検討している。令和4年度には財政シミュレーションを行いながら、適正水準による使用料収入の確保も併せて検討する。また、経営戦略(改訂版)を策定し、早期の実行に努める。
老朽化の状況について
令和2年度の地方公営企業法適用に伴い、①有形固定資産減価償却率及び②管渠老朽化率が示されるようになった。①は法適用直後であるため少ない率となっているが、1で示したとおり、供用開始から法定耐用年数の半分を経過した戸別浄化槽もある。近年では、老朽化に伴う修繕費が発生しており、今後においても修繕費の増加が見込まれるため、管理手法の見直し等を検討する必要がある。
全体総括
④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値よりも大幅に高い水準にある。これは、事業規模と比較して企業債残高が多いことを示している。本事業は現在も整備を継続していることから、企業債残高の動向については注視していく必要がある。地方公営企業法適用に伴い財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を作成したことにより、経営状況の厳しさが明確に表れている。安定経営と事業推進のバランスが求められることから、従来の管理手法等の見直しのほか、適正な使用料及び一般会計繰入金のあり方に関する検討を行う。戸別浄化槽については、汚水処理費の縮減が他事業と比較して困難となることが予想されるが、今後においては、1及び2で示した内容について着実に進めていく。