経営の健全性・効率性について
令和2年度から下水道事業に地方公営企業法を適用し、経営指標に変化が生じたため、令和2年度のみの表示となっている。特定環境保全公共下水道事業は概成している。令和2年度は、①経常収支比率は100%を超えたものの、⑤経費回収率は100%を下回った。使用料収入のみでは費用を賄えず、一般会計繰入金に依存している経営状況となっている。本事業の処理区域は、市内でも特に人口減少が進んでいる地区であり、⑧水洗化率は人口減少に伴う使用人数減により僅かながら減少した。また、⑦施設利用率は低水準であり、今後においても施設利用率が低水準のまま推移することが危惧される。一方では水洗化人口の増加に伴う汚水処理費(動力費、薬品費等)の増加も見込まれる。健全経営を図るためには汚水処理費用の縮減が必要であることから、令和2年度の地方公営企業法適用を機に、維持管理手法の見直しなど、安定経営を継続していくための方策を検討しており、方策の一部は令和3年度から実施している。令和4年度には財政シミュレーションを行いながら、適正水準による使用料収入の確保も併せて検討する。また、経営戦略(改訂版)を策定し、早期の実行に努める。
老朽化の状況について
令和2年度の地方公営企業法適用に伴い、①有形固定資産減価償却率及び②管渠老化率が示されるようになった。①は法適用直後であるため少ない率となっているが、法定耐用年数に近い資産もある。本事業は供用開始から14年が経過しており、現在においては管きょの更新が必要な段階ではない。③管きょ改善率はまだ0%となっている。しかし、機械及び装置の中には法定耐用年数が到来している物もあり、近年では修繕が発生してきている。修繕費は今後において更に増加することが見込まれる。処理場の機械及び装置や、やがて更新時期を迎える管きょ等の修繕への備えとして、令和3年度よりアセットマネジメント(施設更新計画)の策定準備を進めている。今後においては、施設の状況を勘案しながら、効率的な更新による更新費用の平準化・削減を進めていく必要がある。
全体総括
④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値よりも大幅に高い水準にある。これは、事業規模と比較して企業債残高が多いことを示している。本事業は概成していることから、企業債残高は年々減少し続けているが、企業債残高の動向については注視していく必要がある。また、1及び2より、使用料収入の低さが事業経営に影響を及ぼしており、厳しい経営状況である。地方公営企業法適用に伴い財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を作成したことにより、経営状況の厳しさが明確に表れている。安定経営と事業推進のバランスが求められることから、従来の管理手法等の見直しのほか、適正な使用料及び一般会計繰入金のあり方に関する検討を行う。今後においては、1及び2で示した内容について着実に進めていく。