経営の健全性・効率性について
本市下水道事業は,令和2年度から公営企業会計に移行したため,各項目の数値については令和2年度分のみとなっている。経常収支比率は100%を上回っているが,使用料収入以外の一般会計からの繰入金で賄っている状況がある。累積欠損金比率は類似団体平均を上回っており,使用料収入の確保や維持管理費のコスト縮減などにより改善を図っていく必要がある。流動比率は,事業開始から間がないため企業債の元金償還が据え置かれており,今後償還額の増加により比率の低下が見込まれる。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均を上回っている。これは本市が平成26年度に供用を開始,現在は整備面積を拡大している状況にあり,使用料収入に比べ企業債残高の規模が大きくなっている。汚水処理原価は類似団体平均を下回っているが,今後の人口減少や管渠・施設等の老朽化による修繕や更新に備え,接続率の向上による有収水量の増加,使用料の適正化及び経費削減の取組を行う必要がある。汚水処理に係る経費回収率は,類似団体平均を上回っているものの100%には達していない。汚水処理に係る費用に対し,一部使用料以外の収入で賄われていることから,適正な使用料収入の確保と汚水処理費の削減に取り組む必要がある。水洗化率は,類似団体平均を上回っているものの,料金収入の確保を図るため,さらなる有収水量の向上に努める必要がある。
老朽化の状況について
法適用に伴い,令和2年度から資産の減価償却を開始したため,経理上の減価償却累計額が少なく,有形固定資産減価償却率は類似団体及び全国平均と比較して低い値となっている。本市は平成25年度に事業着手し,平成26年度から供用開始を行っている。そのため,管渠や施設・設備などにおいて耐用年数を経過した資産が無い状況であるものの,適切な修繕による施設・設備の長寿命化に取り組むとともに,計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に努める。
全体総括
平成26年度から供用開始し,下水道整備区域の拡大を図っている。さらなる水洗化率向上による有収水量の増加と,使用料収入の確保,維持管理費用の縮減に取り組む必要がある。さらに,企業債残高対事業規模比率が類似団体平均を上回っているが,供用開始から間もなく整備区域拡大に取り組んでいることや地理的要因等により建設費の増加により企業債残高の増となっているため,さらなる建設コストの縮減に取り組む必要がある。下水道事業の整備計画を見直したことから,事業進捗の適正化を図るとともに,令和2年度からの法適用開始により経営状況が今まで以上に明確になったことも踏まえ,より一層の経費削減や使用料の適正化など経営の健全化に努める。