経営の状況について
収益的収支比率は100%を超えたものの、営業収支比率はわずかに100%を下回った。平年より風況が悪かったことに加え、機器の老朽化による故障から稼動時間が小さくなったこが要因である。修繕費比率はここ5年で最大となったが、これは避雷によるブレード修繕が原因であるが保険金でカバーできるため、経営に大きな影響は及ぼさないと考えている。しかし、保険料は年々増加の傾向にあることからも落雷が予想される天候の前には、運転を止めるか、出力制御運転などで被害低減に努めたい。風車経営については、風況に大きく左右するため、単年度の指標をもって経営判断は難しいが、起債の償還も終了しており、基金も十分にあるため、固定価格買取制度による売電期間内で経営困難になることはないと考えている。
経営のリスクについて
起債の償還が終わったことで企業債残高対料金収入比率が今後0になっていくことは経営リスクが低下するが、設備利用率、修繕費比率については風況や落雷状況に大きく影響することから、今後も保険の加入を継続することでリスクを低減していく。故障により風力発電機設備が止まってしまった場合の早急な対応、細かなメンテナンス、早めの部品交換によりなるべく故障リスクを下げることに努めている。また、経年劣化に対応する経営についても細心の注意を払って運営したい。一番の経営リスクは、冬季の落雷による風力発電機の故障である。落雷発生時もしくは、天気予報などで事前に落雷が予想されるときには、予め運転を一時休止して、落雷の影響を低減する運営に心がけていく。なお、FITの期限が終了するまでは100%FITによる売電を継続していくが、平成34年度には固定価格買取制度の適用が終了する。今後継続して運営するか、撤去するか、リニューアルするかなどの選択肢を決定していく必要がある。
全体総括
起債の償還が平成28年度で終了したことは経営にとって喜ばしいことだが、経年劣化による修繕も増えてきている。いかに設備利用率を向上させるかが今後の課題となっていく。なお、当該事業は、1基の風車の売電収入がほぼ全ての収入であり、いかにO&M費用を抑えるかだけの単純な経営であるが、経営戦略は早急に策定したい。