涌谷町：涌谷町国民健康保険病院

地域において担っている役割

町立の病院として、一次・二次医療（急性期の一般患者（内科疾患）や在宅療養患者の受入、医療依存度の高い患者の在宅復帰支援、急性期病院からの受入）の提供、救急告示病院として２４時間体制で可能な限り患者の受入を行ってきた。また、併設する老人保健施設や訪問看護ステーションとの連携を図り、切れ目のない支援を提供し、地域医療の中心的な役割を担っている。

経営の健全性・効率性について

平成30年度は、収支状況を改善すべく、入院については高い病床稼働率の維持、外来については患者数の確保を目指し、それぞれ目標数値を立てて経営改善に取り組んだ。しかし、経常収支比率及び医業収支比率において、全国平均及び類似団体と比較して大きくマイナスとなった。要因としては、年度途中の医師の退職が挙げられる。特に整形外科医師の退職は入院患者の受け入れが不可能となり、病床稼働率の減少へと繋がり収益も減少した。同じく外来収益にも影響を及ぼしたため、非常勤医師で対応したが、診療日数が減ったため患者数も減少した。それに伴い入院と外来の収益はそれぞれ減少となり、多大な赤字を計上したことで、累積欠損金比率も膨らんだと考える。また、入院患者１人１日当たり収益は、未だ類似団体と比較しても低い状態が続いているが、外来患者１人１日当たり収益は長期投与などの影響もあり、高い数値を維持している。職員給与費対医業収益比率については、医業収益の減少が影響し、65％と高い数値となっている。今後は制度改正などの影響も考えられるため、適正な人員配置をしながら給与費の抑制に努める。材料費対医業収益比率については、各部署の在庫管理や購入額の削減、長期投与の見直しに努めたが、こちらも収益の減少が影響したこともあり、類似団体と比較し依然高い数値となった。

老朽化の状況について

昨年度同様に有形固定資産減価償却率が全国平均及び類似団体と比べ高い状況が続いているが、財源確保が非常に厳しく、施設の大規模改修工事計画の策定や工事実施も着手出来ない現状である。その為、設備等の不具合が発生する頻度も多くなり、その都度修繕で対応しているのが現状である。今後も施設の老朽化が進行し、修繕箇所・修繕費の増加が見込まれる中、施設更新の財源確保が必要である。また、器械設備減価償却率も高い状況が続く中、保守点検計画を策定し医療機器の安全使用に努めているが、耐用年数を超過してもなお使用している機器も数多く存在する。今後も医療安全の観点からも緊急性・必要性の高い医療機器については更新が必要なため、計画的な予算措置が必要となる。

全体総括

30年度の決算においては、経費の削減等により費用は全体的に減少したものの、収益も大きく減少した。町の財政非常事態宣言で注目を浴びる中で、病院事業において中期経営計画に基づき、これまで以上に経営の健全化と町民の信頼回復に全力で取り組んでいかなければならない。医師確保や患者数の確保、職員の意識改革など課題は多くあるが、どれも迅速な対応と改善が求められる。また、前年度から課題としていた施設の老朽化に伴う対策も、今の収益をもって計画的な大規模な改修や医療機器の更新は難しいため、当面の間は修繕で維持していく。