経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100%を上回っており、経常費用を経常経費で賄えている健全な経営が行われている状況といえます。②累積欠損金比率累積欠損金が生じていないため0.0%となっています。③流動比率100%を上回っており、短期債務に対する十分な支払能力があることを示しています。④企業債残高対給水収益比率給水収益(水道料金)に対する企業債(借金)残高の割合を示します。この指標が550.15%ということは、給水収益の約5.5年分の企業債残高があることを示しています。⑤料金回収率水道水を供給するための費用がどの程度水道料金で賄われているかを示します。100%を下回っていると、水道料金以外の収入で経費が賄われている状態にあります。当企業団は100%を上回っており、適切な料金水準にあるといえます。⑥給水原価水道水を1㎥供給するためにどれだけの費用がかかっているかを示す指標です。当企業団は、給水区域内面積に対して、給水人口が少なく、管路延長が長いため、減価償却費等の経費が嵩み、全国平均値よりも高い水準にあります。⑦施設利用率施設能力に対する平均配水量の割合であり、施設の利用状況を示す指標です。この指標が低すぎる場合は、施設整備が水需要に対して過剰であり、高すぎる場合は水道供給に余裕がない状態といえます。当企業団は67.51%であり、適正水準にあるといえます。⑧有収率浄水場でつくられた水道水がどれくらい収益につながっているかを示す指標で、100%に近いほど効率的な配水ができているといえます。当企業団は81.15%で全国平均値よりも低い水準にあり、低い有収率の原因である漏水の解消が急務となっています。
老朽化の状況について
①有形固定資産対減価償却率償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標で、資産の老朽化度を示します。数値が100%に近いほど、保有している資産が法定耐用年数に近づいていることを示し、将来の施設更新が必要となります。当企業団は全国平均をやや下回っているものの、高度経済成長期に整備した水道施設が今後更新時期を迎えることから、適切なサイクルでの施設更新を継続する必要があります。②管路経年化率法定耐用年数を超えた水道管の割合を表す指標で、数値が高いほど老朽化が進行していることを示します。当企業団は計画的な管路更新に取り組んでいるため、全国平均値よりも低い水準にありますが、有収率が全国平均値よりも下回っているため、漏水多発路線の優先的な更新が必要となります。③管路更新率平成26年度に更新した水道管の割合を示す指標で、管路の更新ペースを表します。当企業団は全国平均値を上回っていますが、水道管の法定耐用年数は40年であるのに対し、管路更新率が1.19%であるということは更新サイクルが84年ということを意味しています。
全体総括
経常収支比率及び料金回収率が100%を超え、適切な料金水準の下で健全な事業経営が行われているといえます。現在、施設更新と併せて耐震化を進めているため、大規模地震時の断水リスクは低減するものの、減価償却費が逓増し経常収支を悪化させる要因となります。当地域においても人口減少や節水型社会の到来により使用水量と給水収益の減少が見込まれていることから、水道事業の垂直・水平統合のメリットを活かした効率的な事業運営をさらに進める必要があります。全国平均値を下回っている有収率については、漏水多発路線の優先的な管路更新、配水ブロックの再構築、ブロックごとの流量測定及び漏水調査により、漏水の早期解消に努めていきます。有収率を向上させることにより、取水から配水に至るまでに使用される動力費や薬品費を削減でき、環境負荷の低減にもつながります。また、漏水量が減少することに伴い配水量が減少するため、施設更新時に施設のダウンサイジングが可能となります。将来世代の水道利用者のみなさんにも安全な水を安定的に供給するため、水需要の減少を見据えた施設運営と水道施設の計画的な更新、ファイナンス(資金調達・運用)の効率化による持続可能な事業経営を進めてまいります。