経営の健全性・効率性について
【経年比較】経年比較をすると、⑦施設利用率の変動が大きい。施設利用率は処理場施設が一日に対応可能な処理能力に対する一日平均処理水量の割合である。当市の漁業集落排水処理施設は下水道整備を終了しており、人口減少に伴って処理水量も年々減少傾向にある。処理場施設・処理水量も小規模であることから、経年比較差が大きい指標となっている。【類似団体比較】類似団体との比較では、⑤経費回収率の類似団体平均値との差が大きい。これは事業規模が小規模であるうえ、処理場施設が半島の奥部に位置している地理的な要因から汚水処理経費が多大にかかっているほか、使用料単価が類似団体と比べても安価であり使用料収入が不足していること等が要因であると考える。【下水道事業の現状】当市の漁業集落排水処理施設は下水道整備を終了している。人口減少に歯止めがかからず、有収水量も減少傾向にあることから、今後は下水道接続をPRし水洗化率の向上に努め使用料収入を維持していく必要がある。
老朽化の状況について
当市の漁業集落排水処理施設は、平成12年度に供用開始しているが、供用開始からの年数が浅く管渠・施設等の老朽化による更新は行っていない。しかしながら、将来の更新を見据え、適切な資産管理・資金計画を行う必要があるため、ストックマネジメント計画を策定し、計画的な管渠・施設の更新を行うよう努める。
全体総括
各指標を改善するためには、有収水量を確保し使用料収入増収を図ると共に汚水処理費に係るコスト削減に努める必要がある。平成29年から31年にかけて使用料改定を行い、類似団体と比較して安価な設定となっている使用料単価を改定し、使用料増収により経営基盤の強化を図る。しかしながら、漁業集落排水処理施設という特性上、事業規模が小さく経営健全化を図りにくいという背景はあるものの、上記使用料改定による増収は一時的なもので抜本的な解決には至らず、現状の経営状況を打開するほどの施策を講じることは難しいことから、将来的に事業継続を含めた検討を要すると思われる。