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地方財政ダッシュボード

宮崎県三股町の財政状況(2022年度)

🏠三股町

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数の3カ年平均値は昨年度と同数となった。県の平均を0.07上回ることとなったが、町内には大型事業所が少なく、依然として財政基盤が弱い背景もあり、類似団体平均と比較すると0.21下回っている。社会保障関連の経費増を含め財政需要額は今後も増加傾向が見込まれていることから、税収の徴収率向上対策を中心として歳入確保に努め、自主財源の十分な確保を図り財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

経常収支比率は、昨年度と比較すると1.4%増となり弾力性が弱まる結果になった。昨年度と比較すると、分母の経常一般財源においては、地方税・地方消費税交付金が増額したものの、臨時財政対策債などが減となったことから、分母全体では191,252千円(2.9%)の減となった。一方、分子の経常経費充当一般財源でも、人件費と補助費などは増加したものの、物件費、維持補修費などの減が上回ったことから、分子全体では76,267千円(1.3%)の減となった。分母分子ともに減となったが、分母が分子の減を上回ったことにより、経常収支比率が高くなった。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

今年度は類似団体の平均額を下回った。人件費については、会計年度任用職員の増に加え、人事院勧告に伴って一般職員の給与が増となったことなどから、前年比4.1%の増となった。一方で、物件費については、新型コロナウイルスワクチン接種に伴う各業務委託の減の影響により、前年度比で0.2%の減となった。昨今の多様な行政需要に応えることに加え、物価高騰などの影響により、委託業務などの物件費の増加が見込まれることから、業務の効率化を図り、サービスの質の低下を招かないような工夫が必要になる。

ラスパイレス指数の分析欄

適正な給与水準の維持に努めており、昨年度とほぼ同水準で、類似団体平均と比べて1.1ポイント低い数値となった。引き続き適正な給与制度の運用を継続する。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員適正化計画に基づき新規採用職員については、平成25年度まで退職者一部不補充等を実施していたことから、常に低い数値となっている。本年度は人口1,000人あたり5.81人となり、類似団体平均と比べて0.84人少なく、宮崎県市町村平均と比較しても2.11人少ない結果となった。本町の人口は、減少のフェーズに入っているものの、住民へのサービスの低下を招かないよう今後も適正な人員管理に努める必要がある。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率は、昨年度から0.7ポイント増となったが、類似団体平均は0.6ポイント下回る結果となった。本年度の単年度比率は6.8%である。平成30年度借入の臨時財政対策債(16.9百万円)、町営住宅東原団地整備事業(15百万円)などの元金償還が始まり、分子が増となったことに加え、臨時財政対策債発行可能額の減の影響で分母が減となったことにより、年度比としては増となった。今後は、臨時財政対策債の償還額が減少するものの、投資的事業の借入が増えるため、横ばいで推移するものと見込んでいる。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、昨年度に引き続き該当数値なしとなった。分子の将来負担額については、地方債現在高の減により前年度と比較して4.7ポイント減となった。充当可能財源等については、充当可能特定歳入の減により、前年度と比較して2.2%減となった。分母としては、臨時財政対策債発行可能額の大幅減の影響で標準財政規模が減となったものの、分子の減が分母の減を上回る形となったことが昨年度と比較して減となった要因となる。今後、各施設の老朽化に伴う大規模改修の実施が見込まれることから、基金残高の状況や将来コストを見据えたうえで、普通建設事業等を実施する必要がある。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

人件費については昨年度比1.2ポイント増となり、類似団体との比較においては0.6ポイント低い水準となっている。また、昨年度同様全国及び県との比較においても平均を下回る結果である。会計年度任用職員の人件費が33,640千円増となったことに加え、人事院勧告に伴って一般職員の給与が32,372千円増となったことなどにより、人件費としては66,433千円増となった。これまで職員適正化計画等に基づき特殊勤務手当の見直しや一般職の職員採用抑制等を積極的に行ってきたが、今後も、適正な人事管理に努めながら、行政サービスの低下を招かない工夫が必要となる。

物件費の分析欄

昨年度に比べ、1.2ポイント減となり、類似団体平均を0.4ポイント下回る結果となった。交流拠点施設整備関係の委託料23,660千円の皆増に対し、新型コロナウイルスワクチン接種に係る委託料65,022千円が減となったことで、全体で3,969千円(0.2%)減となったことによるもの。経常的な物件費の支出については、物価高騰や人件費の増加による影響を踏まえ、これまで以上に職員一人ひとりのコスト意識を高める必要がある。また、施設の老朽化に伴う修繕が今後益々増えることが見込まれ、中長期的な計画に基づく効率的かつ適正な経費執行に努めていくことが必要となる。

扶助費の分析欄

昨年度に比べ、0.4ポイント増となった。依然として、類似団体との比較において突出して高い数値となっており、その大きな要因は扶助費全体の6割を占める児童福祉費にある。これは、当町の人口に占める若年層の割合が高く、子ども医療費制度の拡充や保育所運営費等に対する町単独経費など少子化対策事業を重点施策として取組んでいるためである。また、社会福祉費についても、サービス利用者が年々増加し支出額が増加傾向にある。今後も社会保障関連経費の増が予想されることから、長期的な見通しを踏まえた事業効果を適宜見直す必要がある。

その他の分析欄

昨年度に比べ0.2ポイント減となり、類似団体平均値及び県平均を下回る結果となった。全体として3年連続で減少傾向が見られるものの、今後も各施設の老朽化が進むことによる維持補修費の増が見込まれる。引き続き、公共施設等管理計画を基にした個別計画や統廃合を含めた計画的な施設管理・運営に努める。

補助費等の分析欄

原油価格や物価高騰に対する補助金等の増により、昨年度に比べ、0.5ポイント増となったが、類似団体平均を4.4ポイント下回る結果となった。なお、本町では、町単独補助金について、審議会によって適正な補助額の交付決定に努めている。広域行政での社会保障関連費に係る負担金など同級他団体等への補助費等の増が見込まれることから、これからも引き続き補助費等の検証及び適正な執行に努めていく必要がある。

公債費の分析欄

昨年度に比べ、0.7ポイント増となったが、類似団体平均を1.7ポイント下回る結果となった。平成30年度臨時財政対策債16,889千円を始めとする元利償還が始まったことで25,868千円(3.4%)増となったことが主な要因である。また、臨時財政対策債が前年度比231,521千円(71.9%)の減額となった影響もあり、本年度の地方債発行額は前年度に比べ288,821千円(50.4%)の減となり、年度末現在高も472,418千円(6.4%)の減となっている。今後、大規模事業となる交流拠点整備事業等による地方債発行額の増額を見込む一方で、臨時財政対策債の減少を見込んでいるため、公債費の大幅な増加は予想されないが、引き続き、充当可能財源の確保とともに、地方債発行額の抑制を図り、将来負担の抑制に努める必要がある。

公債費以外の分析欄

昨年度に比べ、0.7ポイント増となったが、類似団体平均及び全国平均を下回る結果となった。すべての経費について経常経費の抑制に努めてはいるものの、類似団体との比較においても突出している扶助費により、経常充当一般財源が圧迫されている状況である。令和5年9月から保育料の第一子無償化を開始するなど、今後、さらに扶助費の増大が見込まれることから、扶助費については世代間及び年度間における平準化を念頭において事業の精査を行い、扶助費以外の経費についても、これまで同様、経費節減及び抑制の取組を継続することで、適正かつ効率的な行政サービスの提供と、計画的な財政運営を進める必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別における住民一人当たりのコストについては、民生費が昨年度に比べ11,690円減となったものの、突出して類似団体平均を大きく上回っている。これは、民生費が、歳出決算額の3割以上を占める扶助費の約9割を支出していることによるものである。扶助費の中でも児童福祉費の割合が約6割を占めているが、これは若年層人口が多い当町の人口構造の影響や、町独自の子育て支援政策を重点的に行っていることが大きな要因となっている。減額となった理由は、昨年度実施した新型コロナウイルス対策事業(住民税非課税世帯臨時特別給付金)の皆減によるものである。一方、土木費は、昨年度と比べて1,151円増となった。これは、交流拠点施設整備事業に伴う増が最も大きな増要因を占めているほか、台風14号による各公園施設の倒木・折枝撤去業務などにより増となった。また、衛生費については、昨年度と比べて145円減となっており、これは、新型コロナウイルスワクチン接種関連の委託料の減の影響が大きい。商工費については、昨年度に比べ149円の減となっているが、類似団体平均を大きく上回っている。これは、企業立地奨励金の増による影響が大きく、減額となった要因は、新型コロナウイルス感染症対策事業としての補助費等(第3期~第5期時間短縮要請協力金)の減によるものが大きい。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり467,830円となり、昨年度に比べ34,491円減少した。扶助費については、新型コロナウイルス関連の給付事業が減少したことで住民一人当たり152,572円と昨年度より減少したにも関わらずその他の費目と比較して突出して高い数字となっている。これは子ども医療費助成制度の拡充や幼児教育無償化による保育所運営費等にかかる町の独自支援など少子化対策事業を重点施策として取組んでいるためである。令和5年9月には保育料の第1子無償化も開始し、今後も児童福祉費の増加が見込まれているだけでなく、社会福祉費や老人福祉費に関してもサービス利用者の増により扶助費全体で増加していくことが予想される。町独自の施策については、世代間・年代間の均衡化を念頭に、適正かつ効率的な行政サービスの提供と将来を見据えた見直しが必要である。災害復旧事業費については、台風14号の影響により被災した農林施設や公共土木施設の復旧事業により昨年度より4,899円増となり類似団体平均を上回る結果となった。補助費は類似団体を下回っているものの、飼料価格高騰対策支援金や原油価格・物価高騰生活者支援水道基本料金免除補助金といった原油価格や物価高騰に対する補助金の増の影響等により昨年度に比べ増となった。積立金はふるさと納税の増加に伴ってふるさと未来基金へ積立てた一方で、昨年度普通建設事業の財源を見込み公共施設等整備基金を積立てた反動減により全体として減額となった。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

財政調整基金残高は、大規模事業実施に備え平成21年度以降基金の積増しを行っている。本年度においては、今後の健全な財政運営を見据えて74百万円を積み増したため、現在高が1,756百万円となった。実質収支額は、翌年度に繰り越すべき財源が129百万円増の239百万円、歳入歳出差引額が126百万円増の724百万円となったことから、昨年度とほぼ同水準となった。実質単年度収支については、昨年度から0.52ポイント減という結果になった。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

本年度も、すべての会計で黒字となった。標準財政規模額は、6,340百万円となり、前年度比82百万円(1.3%)減となった。水道事業会計は、昨年度に引き続き安定して黒字経営を維持している。国民健康保険特別会計の標準財政規模比は昨年度比で0.28%減となった。保険給付費が前年度比77百万円減となったことが影響し、県支出金が26百万円減となり、実質収支額総額では20百万円の減となった。今後もさらに進む高齢化に対する備えと、急激な療養費等の高騰にも耐え得る適正な保険税額の設定及び準備基金残高の確保が必要である。介護保険特別会計については、実質収支額が前年度比28百万円(23.9%)増となり、標準財政規模比も前年度から0.46%の増となった。今後も高齢化が進み、多様な生活支援サービスの提供に伴い地域支援事業が増え、要介護認定者も増加すると推計されるため、引き続き給付費の適正化に努める必要がある。公共下水道事業特別会計については、料金収入が昨年度と比べ3百万円増となったものの、施設建設に係る費用が今後も続くことから一般会計からの繰入が増えると見込んでいる。公営企業会計の適正化を高めるために、引き続き下水道接続率の向上に努める必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

元利償還金については、平成18年度借入の総合文化施設周辺整備事業(8.3百万円)、平成13年度借入の臨時財政対策債(8.2百万円)などの償還が完了し、30百万円減となったが、平成30年度借入の臨時財政対策債(16.9百万円)、町営住宅東原団地整備事業(15百万円)などの元金償還が始まり、元利償還金全体で前年度比26百万円(3.4%)増となった。今後は、臨時財政対策債の償還額が減少するものの、投資的事業の借入が増えるため、横ばいで推移するものと見込んでいる。公営企業債の元利償還金に対する繰入金のうち、農業集落排水事業特別会計の公債費については、新たな借入れは発生しておらず、毎年元利償還をしているため起債残額は減少しており、地方債の償還に充てる繰入金も減少している。一方、公共下水道事業特別会計については、中央浄化センター増築事業に伴う償還額が増額したことにより繰入金が増額となった。結果として、全体で31百万円(21.7%)増となっている。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高は、昨年度比で472百万円の減(6.4%)となった。昨年度に償還が終了した額より本年度の償還開始となった額が26百万円増となったことによるものである。退職手当負担見込額は、本年度退職者の人数及び勤続年数の差異により昨年度から53百万円減(4.4%減)となった。充当可能基金については、財政調整基金において、子ども医療費や施設型給付費等社会保障関連経費の増に要する財源として170百万円を取崩したものの、積立については昨年度実質収支額に伴い243百万円を積立てた。前年度と比較して充当可能基金額全体で40百万円増(0.7%増)となった。今後とも長期的な視点から将来の財政負担の適正化を図り、引き続き健全な財政運営を行っていく。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)基金全体では昨年度に比べ概ね同額となった。今後の健全な財政運営を見据えて財政調整基金を74百万円、ふるさと納税の増加によりふるさと未来金を40百万円積増した一方で、第5地区防災拠点施設整備やその他公共施設の維持補修のための財源として、公共施設等整備基金を126百万円取崩したことなどにより全体としては2百万円の減となった。(今後の方針)毎年度の各種事業への取崩しにより、各基金ともに残高の減少を見込んでいる。現在の社会保障関連経費及び公共施設の老朽化への対応を考慮すると、財政調整基金、公共施設等整備基金の残高が底をつく恐れもあり、今後、本町独自施策についても、長期的視点に立った事業効果の適宜評価を行うとともに、各種公共施設等について、公共施設等総合管理計画に基づく実行計画の早期策定など、将来コスト削減に向けた取組を行い、基金の有効活用と適正管理に努めていく。

財政調整基金

(増減理由)今後、社会保障関連経費の増が予想されるほか、近年多発している災害への備えなど、今後の健全な財政運営を見据えて74百万円を積増したことによる。(今後の方針)決算状況を踏まえ、長期的視点から適正な管理運用を行っていく。

減債基金

(増減理由)町債の償還分として4.7百万円を取崩したことにより減となった。(今後の方針)今後も国の補正予算等に関連して行われた大規模建設事業の償還が見込まれるほか、交流拠点施設や衛生センターの整備事業や脱炭素化推進事業等が控えるなど、地方債発行が見込まれるため、基金積立を計画的に行い、将来負担の抑制に努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)公共施設等整備基金・・・公用または公共の用に資する施設の整備及び充実を図る。交流拠点施設整備基金・・・五本松団地跡地に交流拠点施設を建設する経費に充てる。衛生センター施設整備基金・・・老朽化した衛生センター施設の整備を図る。すこやか福祉基金・・・社会福祉法人、個人等の民間事業者が実施する高齢者保健福祉事業を支援する経費に充てる。ふるさと未来基金・・・ふるさと納税の寄付目的に沿った事業に充てる。(増減理由)公共施設等整備基金は昨年度に比べ113百万円減となった。これは、第5地区防災拠点施設整備やその他公共施設の維持補修のための財源として、公共施設等整備基金を取崩したことなどによる。ふるさと未来基金はふるさと納税額の増により40百万円の増となっている。(今後の方針)公共施設等整備基金については、施設の老朽化による町営住宅住戸改修事業や各小中学校改修などが近い将来集中して発生する恐れがあるため、平成28年度に整備した公共施設等総合管理計画に基づき、長期的視点から施設の集約化や長寿命化を図り、予算の平準化を予測しながら基金の活用を行っていく。交流拠点施設整備基金については、令和6年度以降に事業予定であるため、現在積立てている基金を充当し、事業完了後は廃止する予定である。衛生センター基金については、令和5年度以降に改築計画があるため、事業完了後は廃止する予定である。すこやか福祉基金については、高齢者保健福祉事業への充当を今後も行っていくが、現状の充当事業を鑑みると基金の積増しは当分の間行わない予定である。ふるさと振興基金は、都城市との連携事業の財源に充てることとなっているため、都城圏域定住自立圏の医療体制構築の一環として整備する都城市郡医師会病院の心臓・脳血管センター整備に係る負担金として令和5年度以降に取崩しを予定している。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本町では平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の維持更新費用を今後30年間で24%削減するという目標を掲げ、老朽化した施設の集約化・複合化や除却を進めている。有形固定資産減価償却率は、前年度比1.5%上昇しており、類似団体より高い水準にある。今後も公共施設等総合管理計画及び個別計画に基づき、施設の点検や診断、計画的な予防保全による長寿命化を進めていくとともに、計画の達成度を鑑みながら目標値の再設定を行う必要がある。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は、全国平均よりも287.4%低い状態にあり、比較的債務償還能力は高いと言えるが、今後発生する大型の普通建設事業や老朽化が進んだ公共施設・インフラ等の更新により町債がさらに増額すれば、それに伴い数値も悪化することが見込まれる。健全な財政運営のために、計画的に施設の更新・改修等を行い、歳出の平準化を図る必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

有形固定資産減価償却率は、類似団体と比べて非常に高い状況にある。今後、老朽化対策により将来負担が増える可能性が高いため、財政健全化と公共施設マネジメントを両輪で取り組み、個別計画に基づく施設の更新・改修及び施設の統廃合を検討することで、将来負担比率の上昇を抑えながら、有形固定資産減価償却率の数値改善に努める。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率及び将来負担比率は、類似団体と比較して低い水準となっている。これは、地方債新規発行額をその年の公債費元金償還額以内に抑制することで将来負担額が増えるのを抑えているほか、将来の大型の普通建設事業に備えた基金の積立をするなどし、充当可能財源を増やすことで、将来負担比率を下げてきた成果といえる。しかしながら、今後も老朽化した施設の更新・改修が見込まれるほか、大型普通建設事業が計画されていることもあり、元利償還金は増加することが見込まれる。普通建設事業等は、補助金や計画的な基金造成など財源の確保に努めるとともに、費用対効果や必要性、内容等について十分な検討を行ったうえで実施するなど、地方債の発行を極力抑えていく取組みが必要である。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

公営住宅については、建替えや老朽化した住宅の廃止などを年次的に行ってきたことで、有形固定資産減価償却率は類似団体よりも低くなっている。一方で、その他の道路等インフラや保育所、学校施設、児童館、公民館については、類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高い状況が続いている。特に児童館と保育所はそのほとんどの施設が、昭和40年・50年代に建てられたもので、老朽化が進んでいるため、施設の状態や利用状況を踏まえ、長寿命化のための改修や統廃合等の対応が急務である。また、インフラをはじめ公営住宅、児童館、公民館施設の一人当たりの面積が平均値と比較して高くなっていることから、住環境が進む一方で、維持管理費用の増額も見込まれるため、将来の人口減少の推移も考慮しながら、施設保有量の適正化に向けて施設の統廃合について検討していく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館と、市民会館に分類している町立総合文化会館は、平成13年度に建設された比較的新しい施設であることから、類似団体と比べて有形固定資産減価償却率は低いが、庁舎や消防施設は、昭和40年・50年代に建てられたものが多いため、平均よりも高い状況である。消防施設については、施設の安全性を維持することはもちろん、今後予想される南海トラフ大地震や大型台風等の災害時に機能を維持できるよう、計画的な更新や長寿命化に向けた改修が求められる。また、一人当たりの面積については、福祉施設が類似団体平均と比べて高いが、他の施設については、類似団体平均と同程度である。施設保有量について、住民のニーズや費用対効果を見ながら、施設の統廃合を行い適正化を図る必要がある。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から862百万円減額(△2.5%)となった。資産総額の金額の変動の要因としては、有形固定資産の減価償却累計額が前年度比1,422百万円増額したことで資産が減少したことが大きい。有形固定資産は将来の(維持管理・更新等の)支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化を進めるなど公共施設等の適正管理に努める。負債総額は前年度末から435百万円減少(△5.0%)となった。地方債(固定負債)の金額の変動が大きく、平成30年度借入れの臨時財政対策債、令和2年度借入れのインフラ対策事業の地方債の償還が始まったことなどから地方債償還額が発行額を上回り、475百万円減少した。特別会計を加えた全体では、資産総額は前年度末から809百万円減少(△1.8%)し、負債総額も前年度末から567百万円減少(△4.3%)した。資産総額は、上下水道のインフラ資産を計上していることにより、一般会計等に比べて11,110百万円多くなるが、負債総額も特に下水道の処理施設増設工事に地方債発を発行していることもあり、4,217百万円多くなっている。一部事務組合等を加えた連結では、資産総額は前年度末から903百万円減少(△1.9%)し、負債総額も前年度末から620百万円減少(△4.7%)した。資産総額は、一部事務組合等の資産を負担割合に応じて計上していることにより、一般会計等に比べて11,661百万円多くなるが、負債額も一部事務組合で退職手引当金等があることから4,287百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は11,836百万円となり、前年度比352百万円の減少(△2.9%)となった。そのうち人件費や物件費等の業務費用は5,797百万円、補助金等や社会保障給付の移転費用は6,039百万円であり、移転費用のほうが業務費用よりも多い。移転費用については、前年度比△469百万円であるが、純行政コストの52.4%を占めている。今後も高齢化の進展や、子育て世代への支援により移転費用が純行政コストの半数以上を占める傾向が続くことが見込まれるため、事業の見直しによる経費の抑制に努める必要がある。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が562百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が3,847百万円多くなり、純行政コストは4,363百万円多くなっている。連結では、一般会計に比べて、一部事務組合等の事業収益を計上しているため、経常収益が572百万円多くなっている一方、移転費用が6,490百万円多くなっているなど、経常費用が7,705百万円多くなり、純行政コストは7,131百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(11,081百万円)が純行政コスト(11,515百万円)を下回ったことから、本年度差額は△434百万円となり、純資産残高は昨年度から427百万円の減少となった。引き続き地方税の徴収業務の強化やふるさと納税制度の活用、補助金の確保等により財源の増加に努める。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて、財源が4,548百万円多くなっているが、一般会計等の本年度差額の減少が影響し、本年度差額は△249百万円となり、純資産残高は昨年度から243百万円の減少となった。連結でも、一部事務組合等の歳入が按分のうえ含まれることから、一般会計等と比べて財源が7,276百万円多くなっているが、本年度差額は△290百万円となり、純資産残高は昨年度から283百万円の減少となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等において業務活動収支は723百万円、前年度比764百万円の減少であり、国庫等補助金収入の765百万円の減収が大きく影響している。投資活動収支は、単独普通建設事業費の財源として基金の取崩し額を前年度より増額したことにより、前年度より1,046百万円増加し、△123百万円となった。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから△473百万円となった。本年度末資金残高は前年度から126百万円増加し、724百万円となった。しかし、行政活動に必要な資金を基金の取崩しと地方債の発行収入によって確保している状況であるため、行財政改革をさらに推進する必要がある。全体では、保険税等の収入が特別会計の収入に含まれる一方、特別会計としての支出も含まれることから、業務活動収支は一般会計等より381百万円多い1,104百万円となった。投資活動収支では、下水道の処理施設増設工事を実施しているため、△417百万円となった。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△580百万円となり、本年度末資金残高は前年度から107百万円増加し、1,495百万円となった。連結では、一部事務組合の収入の一部が業務収入に含まれる一方、人件費や物件費等も按分して含まれることから、業務活動収支は一般会計等より339百万円多い1,062百万円となった。投資活動収支では、組合としての基金を積立てているため△429百万円となっている。本年度末資金残高は前年度から54百万円増加し、1,744百万円となった。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、類似団体平均を下回っており、前年度から2.7万円の減額となった。有形固定資産減価償却率については、高度経済成長期に整備された資産が多く、徐々に更新時期を迎えつつあることから、類似団体より高い水準にあり、前年度より1.5%上昇している。また、歳入額対資産比率は、類似団体平均を下回っており、比較的歳入が資産形成につながらない支出(施設の運営や維持管理費など)が多いと言える。施設の利活用や受益者負担割合の見直し、あるいは、公共施設等総合管理計画及び個別計画に基づき、老朽化した施設の点検や診断、計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、前年度比0.7%増となり、類似団体平均よりも若干高い比率となっているが、純行政コストが税収等の財源を上回ったことから純資産が減少し、昨年度から427百万円(△1.6%)減少している。また、地方債の発行額を償還額以内に抑制していることにより、地方債残高は減少しているが、今後は公共施設の長寿命化事業や大型施設の建設などが計画されているため、負債が増額し、純資産の減少が懸念される。純資産の減少は、現世代が将来世代にとっても利用可能であった資源を消費して便益を享受する一方で、将来世代に負担が先送りされたことを意味するため、行政コストの削減や基金や地方債に頼らない財源の確保にも引き続き努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っているが、昨年度に比べてると0.6万円の微減となった。経常費用のうち社会保障給付や補助金等が含まれる移転費用が52.4%と大きな割合を占めており、住民一人当たり行政コストを高めている要因のひとつである。また、物価高騰により物件費にかかるコストも上昇しているため、使用料の見直し検討も必要である。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は、類似団体平均を下回っている。地方債において償還額が発行額を上回っていたため、令和4年度末残高は前年度より減少し、負債額も前年度比43,495万円減額となった。引き続き計画的な起債及び償還によって、地方債残高の縮小に努める。基礎的財政収支は、投資活動収支の赤字分が基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた業務活動収支の黒字分を下回ったため、類似団体平均を下回り、633百万円となっている。投資活動支出を多く占める公共施設等整備費は、今後も老朽化が進む施設の維持管理に必要な支出となるため、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設の集約化・複合化や長寿命化を行うことにより、経常費用の削減に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率については、類似団体平均値を下回り3.5%となり、前年度より0.6%減少となった。経常費用は、前年度より352百万円減額しているが、人件費や物件費等の業務費用は物価高騰の影響もあり、前年度比117百万円増額となっている。今後も老朽化した施設の維持補修費の増加は考えられることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化や長寿命化を行い、経常費用の削減に努める。また、物件費の物価上昇に合わせて、公共施設等の利用料及び使用料の見直し検討も必要となってくる。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,