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地方財政ダッシュボード

茨城県那珂市の財政状況(2019年度)

🏠那珂市

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道 農業集落排水


収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

保育・教育の無償化に伴う社会福祉費の増や、高齢化の進展に伴う高齢者保健福祉費の増、合併特例債の新規発行等による公債費の増のため、基準財政需要額が増加したことから、単年度指数については低下した。他方、市税について、市民税所得割や新築家屋等による固定資産税の増収に伴い、基準財政収入額についても増加したため、三か年平均の指数は前年度と横ばいで推移し、類似団体平均との比較でも、0.13ポイント上回っている状況である。今後は徴収率の向上に努め、自主財源の確保を図るとともに、歳出の見直しにより一層の財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

固定資産税や特別地方交付税の増等により経常一般財源等総額は増加した一方で、扶助費については、保育・教育の無償化による民間保育所等児童入所事業の増や障害福祉サービス給付事業の増により大幅な増加となったため、前年度に比べ2.2ポイント増となる93.1%となった。類似団体平均からも0.3ポイント上回っている状況である。今後は、扶助費について、経常的な増加が見込まれること、会計年度任用職員制度の開始に伴う人件費の増が見込まれることから、引き続き事務事業の見直しを進め、経費の徹底した節減合理化を図り、一層の財政健全化に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費については、職員給の増等から増加し、物件費についても、複合化した公立幼稚園の旧園舎の解体や3か年の継続事業である防災設備整備事業等により増加、維持補修費についても施設の老朽化等に対応するため増加している。一方で、人口は前年度から0.5%減少したため、前年度より、5,524円増となる132,662円となった。類似団体平均からは10,191円下回っているものの、施設の老朽化にともない、付帯設備の計画的な修繕を進めていく必要があるため、増加の見込みである。施設の管理運営方法の見直しや、経費削減の徹底により増加幅の抑制に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数については、類似団体平均を1.1ポイント上回り、対前年度0.5ポイント増となる99.2ポイントとなった。これは、高齢層職員の昇給停止措置を講じていないことに加え、平成24年人事院勧告の高位号給から昇格した際の月額の増加額の縮減について実施を遅らせたこと、影響を受けた職員が国と市との職員構成の違いにより重みづけが増したことによるものである。職員の退職により中長期的には解消されていく見込みであるものの、引き続き人事評価制度の推進を図り、高齢層職員の昇給停止を行うことにより、給与の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

職員数については、前年度同数の444人であるが、人口が276人減少したことから、人口1,000人あたり職員数は前年度と比較して、0.04人増となる8.12人となった。公営企業部門を含む職員総数で設定する、定員管理計画の目標値である483名は平成28年4月1日現在にて達成し、第4次那珂市行財政改革大綱においては令和4年4月1日までは、現在の職員数を維持することとされているところである。しかし、時限的な行政需要が発生することもあり、任期付き職員を有効に活用するとともに、各部門の人員配置を見直すことをとおして、必要最小限の人員増に留めていく。

実質公債費比率の分析欄

公共下水道事業及び農業集落排水事業への繰出金の増により準公債費が増となったこと、臨時財政対策債発行可能額の減により基準財政需要額が増加したことから、前年度から0.1ポイント増加の3.9%となった。類似団体平均からは3.8ポイント下回っている。公営企業については、事業の進展により今後起債償還がピークを迎え、繰出金の増が見込まれる。また、大規模事業により、公債費の増加が想定されるため、引き続き、適正な市債発行や後年度の公債費の推移を考慮した償還条件の設定等をとおして、公債費の適正化に努める。

将来負担比率の分析欄

旧合併特例事業債、緊急防災・減災事業債の起債等により起債額が増加したことに加え、農業集落排水整備事業の進展や下水道事業への繰出金の増により準公債費についても増加したことから、将来負担が増えた一方、臨時財政対策債発行可能額の減により標準財政規模が縮小したことから、前年度から4.1ポイント上昇し、類似団体平均を16.1ポイント下回る6.8%となった。今後は、四中学区コミュニティセンター整備事業等の大規模事業が想定され、公営企業の起債償還のピークに向け繰出金の増が見込まれるため、適正な市債発行をとおして、一層の健全化に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

職員給の増等により経常経費充当一般財源が28百万円増となったため、前年度に比べ0.3ポイント上昇し、29.9%となった。類似団体との比較では、依然として6.6ポイント上回っているなど、高い比率を維持している状況であり、加えて、会計年度任用職員制度の導入など、上振れの要因を抱えていることから、今後は、給与水準の適正化や、会計年度任用職員の適切な任用をとおして、人件費の上り幅を抑えるよう努めていく。

物件費の分析欄

地域生活支援事業や管理用備品購入事業の減等により経常経費充当一般財源が68百万円減となったため、前年度に比べ0.5ポイント低下し、12.8%となった。類似団体との比較では、2.0ポイント下回っている。今後も各種システムの運用方法や公共施設等の管理運営に係る経費について、委託業務の内容精査や、公共施設適正管理推進事業債の起債など有利な財源の選択等一層の節減・合理化を図っていく。

扶助費の分析欄

児童扶養手当支給事業の増等により経常経費充当一般財源が65百万円増となったため、前年度に比べ0.6ポイント増となる10.6%となった。類似団体との比較では、0.5ポイント下回っている。今後も少子高齢化の進展や子育て支援施策の充実等の要因により、扶助費については、増加が見込まれるため、各制度の適正な執行や健康づくりへの支援等予防施策の充実をとおして、扶助費の上り幅を抑えるよう努めていく。

その他の分析欄

維持補修費については、施設付帯設備の修繕等により経常経費充当一般財源が58百万円増加している。繰出金については、国民健康保険特別会計や下水道事業特別会計への繰出金で、経常経費充当一般財源が125百万円増加したため、前年度より1.7ポイント増、類似団体との比較においても5.0ポイント上回る19.9%となった。公営企業の事業内容の精査とともに、各種保険料収納率の向上をとおして、繰出金の抑制に努める。

補助費等の分析欄

団体の運営費補助については、補助金等審議会を毎年度開催し、補助金の交付内容や補助団体の運営状況等について見直しや精査を実施している。経常経費の区分の見直しに伴い、那珂ひまわりフェスティバル事業や中小企業振興対策事業等の減により経常経費充当一般財源が18百万円減となったため、前年度に比べて0.1ポイント減少し、類似団体と比較しても4.6ポイント下回っている。今後とも適正な執行に努めていく。

公債費の分析欄

元金償還金の範囲内での市債発行を方針としており、起債償還元金、利子共に前年度に比べ減少している。公営住宅債の償還等の特定財源がある起債の償還が進展したことから、公債費に係る経常経費充当一般財源等が21百万円増加し、前年度から0.2ポイント上回る14.0%となった。類似団体と比較すると4.2ポイント下回っている。今後は大規模な事業が想定されるため、後年度公債費の推移を考慮して適正な市債発行に努めていく。

公債費以外の分析欄

前年度より2.0ポイント増、類似団体との比較では4.5ポイント上回る79.1%となった。主な要因としては、繰出金及び維持補修費等の増があげられる。繰出金は、今後も公営企業の起債償還のピークに向け増加が見込まれるため、税等の徴収率の向上により歳入の確保に努めるとともに、事務事業の見直しや計画的な公共施設の維持管理の推進、下水道と農業集落排水の広域化等の検討を進めることにより経常経費の削減を図る。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

議会費については、令和1は住民一人当たりのコストが前年度より227円増の3,626円となった。類似団体平均を138円上回っている。これは議員選挙により欠員が少なくなったことによるものである。民生費については、令和1は住民一人当たりのコストが前年度より5,886円増の130,564円となった。類似団体内で最低値ではあるが、認定保育園数の増や障害福祉サービス給付事業等経常的経費が依然として増加傾向にあることから、今後も増加していく見込みである。土木費については、令和1は住民一人当たりのコストが前年度より328円減の37,868円となった。類似団体平均からは10,437円下回っている。これは、下宿大木内線の供用開始等により事業費が減少したことによるものである。消防費については、令和1は住民一人当たりのコストが前年度より5,201円増の27,955円となった。類似団体平均からは8,639円上回っている。これは、防災行政無線デジタル化に伴い防災設備整備事業等が増加していることによるものである。教育費については、令和1は住民一人当たりのコストが前年度より10,296円減の49,186円となった。類似団体平均からは4,296円下回っている。これは、ひまわり幼稚園の供用開始に伴う公立幼稚園建設事業の減、国民体育大会準備事業の減によるものである。災害復旧費については、令和元年度台風19号により、農地、農業用施設等に被害があったため、住民一人当たりのコストが2,733円と皆増したものである。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出総額については、防災設備整備事業や教育支援センター整備事業等により前年度比0.6%増となった。加えて住民基本台帳人口の減(-0.5%)により、住民一人当たりのコストとしては、前年度より4,047円増となる367,582円となった。物件費については、公立幼稚園解体事業や財産管理事務費の増により3,115円増加したが、類似団体平均からは11,475円下回っている。維持補修費については、施設の設備等の老朽化に対応した結果、前年度より789円増加し、類似団体平均についても1,719円上回っている。扶助費については、ここ数年伸びが鈍化していたが、障害サービス給付事業や民間保育所等児童入所事業等の増により前年度より5,582円増加した。補助費については、国民体育大会準備事業の減により5,610円減少し、類似団体平均からも28,183円下回っている状況である。普通建設事業費については、民間保育所等整備事業、公立幼稚園建設事業の減から、前年度より5,432円減少し、類似団体平均からも31,190円下回っている。内訳として、新規整備については、防災設備整備事業や小中学校の空調設備整備事業等により前年度より327円増加し、類似団体平均からも12,725円上回っているものの、更新整備については、公立幼稚園の集約化の完了等により前年度から6,871円減少し、類似団体平均からも35,753円下回る類似団体内最小値となっている。災害復旧事業費については、令和元年台風19号の被害により、前年度皆増となる2,733円となった。積立金については、財政調整基金等への積み立てにより、前年度から1,856円増となったが、類似団体平均からは12,488円下回っている。繰出金については、介護保険特別会計(保険事業勘定)への繰出金の増等により前年度から842円増加し、類似団体平均を578円上回っている。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

財政調整基金残高は100百万円を積立てたため前年度より0.85ポイント増加した。実質収支額は、歳入歳出差引額が増となったが、令和元年台風19号による被災対応、小中学校のGIGAスクール推進事業等翌年度に繰越すべき財源が大幅に増加したため、前年度に比べて1.21ポイント減少した。実質単年度収支については、基金積立は行ったものの、前年度に比して繰越額が多いことから0.82ポイント低下した。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

実質赤字比率及び連結実質赤字比率の状況については、いずれの年度も黒字となっている。一般会計以外の各会計における標準財政規模に対する割合については、水道事業会計が、総収益が対前年度比増となった一方で、総費用が対前年度比減となったため、純利益が増加したことから、1.64ポイント上昇した。農業集落排水整備事業特別会計については、令和2年度から法適用化となるため、基金の一部を取り崩したことから、例年に比して黒字額が大きくなったため1.07ポイント上昇したものである。その他の会計については、大きな変化は見られない。今後も、第4次那珂市行財政改革大綱に基づき、健全で効率的な行財政運営の推進に努めていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

元利償還金については、既発債の元金償還開始等により1.0%増加した。公営企業債の元利償還金に対する繰出金については、公営企業債の償還ピークを迎えつつあることから、前年度比4.7%増加した。算入公債費等については、合併特例債や下水道費等における算入額の増により1.7%増加したものの、公営企業債の元利償還金に対する繰出金の増加幅が大きかったことから、実質公債費比率の分子の額は前年度より4.2%増加することとなった。引き続き事業を厳選した地方債発行に努めることにより、公債費の適正化を図っていく。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高については、旧合併特例事業債や緊急防災・減災事業債等の起債により前年度より2.6%増加した。公営企業債等繰入見込額についても、公営企業の事業進展に伴い、起債償還のピークを迎えつつあることから、前年度より1.6%増加した。他方で、充当可能基金については、財政調整基金残高の増等から前年度より0.8%増加し、基準財政需要額算入見込額についても令和元年度同意等債の算入により前年度より1.0%増加したものの将来負担の増加幅より増加幅は抑えられている。そのため、将来負担比率の分子の額は前年度より144.2%増加することとなった。今後については、適切な地方債の発行と基金の適切な管理にあわせて、行財政改革の取組を推進していくことにより安定した財源の確保を図っていく。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)基金全体としては、令和元年の台風19号による災害対策に充てるために、災害対策基金から20百万円を取り崩したものの、令和元年度に財政調整基金に100百万円を、森林環境譲与基金を新たに創設し、3百万円を積立てたことから、増加傾向にある。(今後の方針)基金については、行財政改革、経費節減等によりねん出した額並びに歳出の不用額については基金に積み立てていくことを想定している。積立先としては、使途目的が明確である特定目的基金への積立を優先的に行う方針である。なお、森林環境譲与基金については、森林管理制度による森林所有者への意向調査等に要する経費等に充てるため積立て、近年中に意向調査を実施する予定である。

財政調整基金

(増減理由)平成30年度に財政調整基金から、令和元年度に行った国民体育大会の開催準備のため増加する需要に対応するため、取り崩したところであったが、国民体育大会の終了により歳出の不用額について100百万円を積立てたことから増加し、平成29年度末時点の水準まで回復している。(今後の方針)普通交付税の合併算定替えによる特例措置の適用期間が令和元年度で最終年となり、令和2年度からは一本算定になる見込みである。扶助費等の社会保障関係経費の増加、公共施設の老朽化による施設付帯設備の更新等、需要の増加要因が引き続き存在し、基金取崩による財源ねん出を行わざるを得ない状況が発生すると想定されることから、財政調整基金は減少していく見込みである。

減債基金

(増減理由)減債基金については、公的資金による補償金免除繰上償還により、過去の利率が高い時代に起債した分を繰上償還したが、平成30年度に国民体育大会準備等による財政需要の増から起債償還の財源を減債基金に求めたことから減少し、以降横ばいの状況である。(今後の方針)減債基金については、行財政改革、経費節減等によるねん出した額並びに歳出の不用額について積立てていく方針である。今後は、四中学区コミュニティセンター等の大規模事業の起債が見込まれること、防災行政無線デジタル化事業並びに公立幼稚園集約化事業等に伴う起債の元金償還が始まることから減少していく見込みである。

その他特定目的基金

(基金の使途)公共施設整備基金:公共施設の計画的かつ円滑な整備を図る目的学校施設整備基金:市内学校の補修、改造、改築等に充てる目的ふるさとづくり基金:自然環境の保全とともに、特産品の開発等活気ある街づくりを推進する目的地域振興基金:地域における福祉活動の促進、快適な生活環境の形成に資する目的市民活動基金:地域及び市民の活動並びに国際交流及び都市交流を推進する目的(増減理由)公共施設整備基金は平成30年度に老朽化した設備等の更新に要した経費に充てるため270百万円を取り崩したことから残高が減少したが、以降及びその他の基金残高については、利子分のみの積み立てでありほぼ横ばいの状況にある。(今後の方針)ふるさとづくり基金については、果実運用型の基金であることから残高は横ばいの見込みである。公共施設整備基金については、公共施設の老朽化が全般的に進んでおり、計画的に設備の更新を行っていくこととしているため、減少していく見込みである。学校施設整備基金についても、学校施設の個別施設計画の策定を進めており、今後計画に沿って学校施設の老朽化への対応を基金取崩による財源ねん出をもって取り組んでいくことが想定され、加えて、学校空調の更新や教育のデジタル化への対応のため、資金需要が増加していく見込みであることから基金残高は減少していくことが見込まれる。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

例年類似団体平均を下回っており、令和01は1.2ポイント下回っている。昭和40~50年代に建設した公共施設等の老朽化が進み、修繕や更新の費用増大が見込まれている。限られた財源の中で対応していくために、平成27年に「公共施設等マネジメント計画」を、平成29年に「舗装維持修繕計画」を策定し、長期的な視点に立ち、更新や修繕、統廃合を計画的に進めてきている。予防保全型の施設管理に転換を図り、施設の長寿命化を推進し、維持管理コストの縮減を図っていく。

債務償還比率の分析欄

地方債残高は、新規の起債により増加している。繰出金についても公共下水道及び農業集落排水事業の起債により増加している。経常一般財源等は税収の増等により増収となったが、扶助費の大幅な増から経常経費充当財源等が大きく増加したため、債務償還比率は前年度から57.5ポイント増の697.0%となった。全国平均並びに県平均からもそれぞれ54.2ポイント、5.7ポイント上回っている。今後とも、公営企業も含め適正な市債発行、行財政改革の推進により安定した財源の確保に努め、将来負担の縮減を図っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担率については、地方債現在高の増及び公営企業債等繰入見込額の増から、前年度より4.1ポイント増の6.8%となったが、類似団体平均からは16.1ポイント下回っている。有形固定資産減価償却率についても、減価償却が進んでいる状況であるものの、消防防災無線デジタル化や幼稚園の集約化等により伸びは鈍化したことで、類似団体平均から1.2ポイント下回っている。大規模な新規資産の取得が予定されていないことから今後とも有形固定資産減価償却率は伸びていく見込みであるが、策定済みの公共施設等マネジメント計画に基づき、施設の長寿命化につながる修繕等を計画的に進めることを通して、施設の維持管理コストの低減や将来負担額の抑制を図っていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

防災行政無線デジタル化や幼稚園の集約化に伴い起債残高が増加したこと、建設局面にある公共下水道及び農業集落排水等の公営企業への繰出金の増により実質公債費比率、将来負担比率共に前年度より増加している。類似団体平均からは大きく下回るものの、多くの公共施設において、老朽化による設備の修繕等が必要になってきていることから、施設の維持管理に係る経費の増加が見込まれる。今後は、公共施設マネジメント計画に基づき、計画的な修繕、改修等を実施することにより、施設の長寿命化を進めると共に、公営企業も含めた適正な市債発行をとおして、将来負担比率及び実質公債費比率の伸びを抑えるよう財政運営に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、学校施設、公営住宅、公民館である。認定こども園・幼稚園・保育所については、令和元年度から幼稚園を1園に集約化したことから前年度比11.2ポイント低下し、類似団体平均からも下回っている。学校施設については、全普通教室に空調設備を新設したため、前年度より2.2ポイント低下している。耐震補強に関する大規模改修は実施したものの、設備等の老朽化が進んでいるため、令和2年度に個別施設計画の策定を行い、設備等も含め計画的な予防保全により長寿命化を進めていく。市内1施設のみである公民館については、築30年以上を経過し老朽化が進んでいることから、類似団体平均より18.1ポイント上回っている。今後は長期保全計画に基づき、計画的な修繕等を進めていく。また公営住宅については、築40年を経過した住宅が3割を占めており、類似団体平均を16.1ポイント上回っている。耐用年数を過ぎた住宅については、廃止の方向とするとともに、長寿命化計画に基づき計画的に既存住宅の長寿命化を図っていく。一人当たりの資産量については、橋梁・トンネルの数値が類似団体平均から大きく下回っているが、これは平たん地の多い当市の地理的要因に起因するものである。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、一般廃棄物処理施設及び本庁舎である。一般廃棄物処理施設については、常陸大宮市と当市とで構成する一部事務組合が保有する施設であり、平成28年度から連結したため数値が計上されたものである。計画的に修繕等を行っているものの、類似団体平均を17.8ポイント上回っている。今後の施設更新を見据えながら、施設の長寿命化又は計画的な更新を組合に対して働きかけていく。本庁舎については、建設から30年以上経過し老朽化が進んでいることから、類似団体からは13.7ポイント上回っている。類似団体の有形固定資産減価償却率を押し下げている要因として、全国的に旧耐震基準で建てられた庁舎の更新が相次いでいること考えられるが、本市においては新耐震基準で建てられているため、今後とも長期保全計画に基づき計画的に予防保全に努めていくことで、現在の施設を引き続き利用していく。消防施設については、防災行政無線デジタル化等による新規資産取得により、有形固定資産減価償却率が前年度から15.5ポイント低下しているところであるが、引き続き設備も含め適切に修繕、更新を行っていく。保健センター・保健所については、空調設備の更新修繕によりほぼ同水準を維持している。図書館については、平成18年度に開館した新しい施設であるため、類似団体平均と比べて減価償却率が大きく下回っている。多目的室や会議室も備えた市の生涯学習拠点施設として、1人当たり面積も類似団体平均より大きく上回っているものである。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等では、資産総額が前年度末から477百万円減少(-0.66%)した。前年度末から変動額の大きなものは、事業用資産の建物、インフラ資産の工作物である。事業用資産の建物については、教育支援センター整備、小中学校の空調設備による増(302百万円)であり、インフラ資産の工作物については、菅谷市毛線の供用開始による新規取得があったものの減価償却分がそれを上回ったことによる減(-553百万円)である。負債については、防災行政無線デジタル化の財源として地方債を発行したことにより発行額が償還額を上回ったため278百万円増加(+1.31%)した。全体会計では、資産総額については、下水道管路等のインフラ資産を計上していることにより一般会計等に比べ41,720百万円多くなり、対前年度比ではインフラ資産(工作物)の新規取得等により930百万円増加(+0.83%)している。負債については、水道事業会計、下水道事業会計、農業集落排水整備事業会計の地方債を計上していることによ一般会計等に比べ19,204百万円多くなり、対前年度については、水道事業における浄水場更新等に地方債(固定負債)を充当したことから1,014百万円増加(+2.56%)している。連結会計では、資産については、大宮地方環境整備組合が保有する建物等を計上していること等により一般会計等に比べ43,507百万円多くなり、負債については、大宮地方環境整備組合における地方債、那珂市社会福祉協議会における退職手当引当金等があることから19,691百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等については、国民体育大会実行委員会への補助金の減により補助金等は減少(-468百万円)したものの、設備等の老朽化に伴う機器修繕等に費用を要したことから維持補修費が202百万円増加した。また、社会保障給付についても156百万円増加し、純経常行政コストは159百万円増加した。また、資産売却益が減少(-68百万円)し、令和元年台風19号被害により災害復旧事業費に163百万円を要したことから臨時収支が259百万円増加し、純行政コストは418百万円増加した。全体会計では、一般会計等に比べ下水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が1,643百万円多くなる一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が8,340百万円多くなることから純経常行政コストが9,591百万円多くなっている。さらに、令和元年台風19号被害により農業集落排水整備事業会計においても被害を受けたことから臨時損失が38百万円増加し、純行政コストは9,630百万円多くなっている。連結会計では、一般会計等に比べて連結団体の事業収益等を計上したことで経常収益が1,917百万円多くなる一方で、連結団体の経常費用についても計上することから17,303百万円増加し、純行政コストは15,423百万円増加している。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等では税収等の財源(17,307百万円)が純行政コスト(18,058百万円)を下回っており、本年度差額は▲751百万円となった。対前年度では税収等は固定資産税等の税収の伸びにより204百万円増加し、国県等補助金についても667百万円増加し、本年度差額を453百万円圧縮することとなったが、本年度末純資産残高は754百万円減少し50,320百万円となった。全体会計では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税、介護保険料を計上している等により、一般会計等に比べて税収等が4,472百万円、下水道事業特別会計、農業集落排水整備事業特別会計等の国県等補助金を計上している等により、一般会計等に比べて国県等補助金が5,822百万円多くなっており、本年度差額は87百万円減少するため、純資産残高は72,835百万円となった。連結会計では、茨城県後期高齢者医療広域連合への保険料収入及び国県補助金等を計上していることなどにより、一般会計に比べ財源が15,959百万円多くなっており、本年度差額は215百万円減少するため、純資産残高は74,134百万円となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等では、国民体育大会実行委員会への補助金等の減により移転費用支出が減少(-283百万円)した一方、公立幼稚園解体事業等により物件費が増加したことにより業務費用支出は204百万円増加した。他方で税収等収入及び国県等補助金収入等が増加したことから業務収入が増加(640百万円)し、令和元年台風19号被害により災害復旧事業費支出等の臨時支出が238百万円増加した結果、業務活動収支としては前年度609百万円増となる1,358百万円となった。投資活動収支については、前年度において国民体育大会実行委員会への補助金支出等により不足する財源を基金取崩して対応したことから、基金積立により積戻ししたため減少(-628百万円)1,785百万円となった。全体会計では、一般会計等に比べ国民健康保険税や介護保険料、下水道料金の使用料及び手数料収入などを計上していることから業務活動収支は、一般会計等より1,584百万円多い2,942百万円となった。投資活動収支は、水道事業会計の浄水場更新及び下水道事業会計の管路布設などの公共施設整備等支出が増加している等により一般会計等より1,186百万円少ない▲2,971百万円となった。連結会計では、一般会計等に比べて茨城県後期高齢者医療広域連合や大宮地方環境整備組合における収入等を計上していることから業務活動収支は一般会計等より1,524百万円多い2,882百万円となった。投資活動収支については、後期高齢者医療広域連合における基金取崩収入を計上した結果全体会計より43百万円多い▲2,928百万円となった。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は類似団体平均を大きく下回っている。主な要因として、当市の地形によりインフラ資産(工作物)のうち橋りょう・トンネルが類似団体より少なく、有形固定資産の総額が低くなっているためである。歳入額対資産比率は類似団体平均を下回っている。市税収入等の増により財源は増加している一方で、資産形成は行っているものの、減価償却により資産額が減少していることに加え、社会保障給付や物件費等の増により行政コストが増加していることから比率が減少していることによるものである。有形固定資産減価償却率は類似団体とほぼ同水準となっている。老朽化する公共施設等については、市の公共施設等マネジメント計画に基づき、施設の実態や利用状況、維持管理コスト等を考慮しながら長寿命化を計画的に行い、財政負担の軽減と平準化を図る。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均から2.1ポイント下回る水準となっている。税収等の伸びにより財源は増加しているものの、物件費や社会保障給付等の増により純行政コストが増加したことに加え、財源の一部を起債により調達したことから純資産残高が減少したものである。施設の維持補修費が増加していくことが見込まれるため、徹底した経費の節減や公共施設のマネジメントにより行政コストの圧縮を進めていくことで、将来世代が利用可能な資産の確保に努めていく。将来世代負担比率は類似団体平均を下回る水準となっている。これは過去に起債残高の圧縮に取り組んできた成果である。しかしながら、建設事業債の起債等財源を起債に求めてきていることから、微増の傾向にあり、引き続き公共施設のマネジメントに取り組むことにより、将来世代負担比率を適切に推移させていくよう努めてい

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を下回る水準となっている。当市では前年度より0.9万円の増加となったが、これは、公立幼稚園解体事業等による物件費の増や社会保障給付費の増加に加え、本年度については台風19号被害による臨時損失が発生したことが主な要因となっている。人口減少が穏やかに続いており、施設の老朽化等による維持補修費の増加傾向を考慮すると、今後も住民一人当たり行政コストは増加していくことが見込まれるため、経費の節減及び公共施設のマネジメントに取り組むことで行政コストの圧縮を進めていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は類似団体平均を下回る水準となっている。しかしながら臨時財政対策債や公共施設の集約化、長寿命化の財源として地方債を起債しており、負債合計としては前年度より278百万円増加している。当市の起債方針として基本的に交付税措置のある地方債を起債する方針としているため、負債額の増加が単純に将来負担に結びつくわけではないが、今後とも投資支出や維持補修費の増加が見込まれるため、適切に地方債を発行していくよう努めていく。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担については、類似団体を下回っており、前年度より0.4ポイント下回っている。施設の大規模改修、令和元年台風19号被害による避難所として利用した期間があったことから、経常収益が例年より減少している。下水道や農業集落排水の元利償還金に対する繰出も今後ピークを迎えるため、施設の長寿命化等による経営経費の圧縮が求められる。当市では平成21年度及び令和元年度に使用料及び手数料の見直しを行ったため、即時の費用転嫁は困難な状況にあるが、施設利用率等の向上を図り、引き続き経常収益の改善に努めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,