熊本県:電気事業

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経営比較分析表(2017年度)

経営の状況について

本県では、球磨川水系の3発電所(市房第一、市房第二、笠振)、緑川水系の3発電所(緑川第一、緑川第二、緑川第三)及び菊池川水系の1発電所(菊鹿)の7水力発電所と阿蘇車帰風力発電所の計8か所の発電所で発電を行い、九州電力株式会社に電力を供給している。なお、平成22年3月に運転を終了した藤本発電所(荒瀬ダム)については、平成29年度末にダム本体等撤去工事を完了した。○経常収支比率及び営業収支比率は、近年100%を上回っており、経営は堅調に推移している。○流動比率は、荒瀬ダム等撤去工事の未払金等が増加したことにより、昨年度より低下したものの、500%を超えており短期的な支払い能力を十分確保している。○供給原価は、分母となる供給電力量が天候等により大きく左右されることなどから年度間の変動が大きいが、平成29年度は、年間を通して雨量が少なかったとなどから、平成28年度より増額となったものの、全国平均値よりも低額となっている。○EBITDA(減価償却前営業利益)は、荒瀬ダム等撤去に係る特別損失額の影響等により、平均値を下回っている。平成29年度は、特に固定資産売却損(特別損失)の発生により平成28年度より減少している。

経営のリスクについて

○設備利用率・水力発電については、発電方式、天候、地域特性に大きく左右されるが、平成29年度は年間を通して降雨量が少なかったこと等により全国平均をわずかに下回った。・風力発電については、風況や立地に大きく左右されるが、平成29年度は2号機の異常音が確認(平成28年10月)されたことによる自主保安停止が長期化したことなどが影響し、利用率は全国平均を大きく下回った。〇修繕費比率・水力発電については、平成29年度に船津ダムゲートに係る修繕費が発生したことから、平成28年度よりも大きくなった。・風力発電については、平成29年度も多額の修繕費・点検費が発生したことから、全国平均を上回った。〇企業債残高対料金収入比率・水力発電については、平成28年度から老朽化した主要4発電所のリニューアル工事に着手し、平成29年度も企業債を発行していることから企業債残高は増加している。・風力発電については、建設時に発行した企業債の償還が順調に進んでいるが、平成29年度は自主保安停止による料金収入の大幅減のため全国平均を大きく上回った。〇有形固定資産減価償却率・主要発電所である市房発電所及び緑川発電所の4施設は、運転開始から40~50年が経過し、償却率は全国平均を大きく上回る78.9%となっている。このため、現在リニューアル工事に着手している。また、平成8年~13年に運転開始した笠振発電所等3施設の償却率は53.6%となり、全国平均を下回っている。・平成17年に運転開始した阿蘇車帰風力発電所の償却率は64.1%となり、全国平均を上回っている。〇FIT収入割合・水力発電については、7施設のうち小規模な2施設がFIT適用となっており収入割合は8.8%と全国平均を下回っている。今後、非適用5施設のうち主力の4施設については、リニューアル後にFIT適用となる予定である。・風力発電については、平成24年度途中から全収入がFIT適用となっており、FIT適用期間終了(H37)後は、収入が大きく変動するリスクを抱えている。

全体総括

電気事業全体では、主要水力発電所の老朽化や風力発電所の故障等の課題はあるが、これまでのところ経営は堅調に推移している。現在、平成27年3月に策定した「熊本県企業局経営基本計画(第四期)」に基づき、経営基盤の強化及び安定した事業継続のための計画的かつ効率的な事業運営を進めている。具体的には、以下のとおり。①安定した発電量の確保老朽化した主要水力発電所4施設の発電設備をリニューアルし、安定した運転を継続的に行う。なお、リニューアル工事完了後(平成31年度以降)は随時FITに移行する。また、設備の老朽化が進みつつある風力発電設備について、点検強化や設備の更新等により故障等による停止期間の短縮を図り、発電量を確保する。②電力システム改革への対応電力システム改革については、今後の制度改正の内容を注視しながら適切に対応する。③荒瀬ダム撤去への取組み、撤去費用の確保ダム本体の撤去工事については、平成29年度末で本体工事等を完了した。また、風力発電については、経営面で累積赤字が大きくなる中、当該地での風力発電事業の継続と企業局の経営改善を図るため、平成30年10月に民間譲渡先を公募し、平成30年11月に譲渡先を決定することができた。今後、諸手続きにかかる協議を経て平成30年度末を目途に引き渡す予定としてる。

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