経営の状況について
■経常収支比率・営業収支比率ともに100%を超えており、R元年度に低下している理由は水車発電機オーバーホールや風力発電所撤去など規模の大きな工事により費用が増加したためです。また、R2年度は出水期に平年値を大きく上回る降雨があり供給電力量が増加したことなどに伴い、水力電力料が増加したことにより数値が改善しています。■流動比率変動はあるものの100%を大幅に超えています。H28年度及びH29年度に流動比率が全国平均を下回っている理由は、ともに水車発電機オーバーホールなどにかかる未払金が増加したことによるものです。R元年度も水車発電機オーバーホールがありましたが、H28年度及びH29年度と比べ規模が小さかったことから影響が小さくなっています。■供給原価全国平均を下回っていますが、これは機器の長寿命化等による設備投資の効率化や経費削減等の経営効率化の取組を行っていることによるものです。R2年度の数値が低くなっている理由は、例年よりも供給電力量が増加したためです。■EBITDAR2年度に増加している理由は、供給電力量の増加による収益の増加が大きく寄与しているためです。
経営のリスクについて
[水力発電]■設備利用率施設がダム式及びダム水路式発電所であるため、全国平均より高い数値となっています。なお、H30年度は発電設備の被災、R元年度は水車発電機オーバーホールや点検による長期の発電停止期間の発生により低下しています。今後は豪雨等による災害への備えとして、施設の強靭化と管理体制の強化が重要となっています。■修繕費比率H28年度及びH29年度は水車発電機オーバーホールのほか、ダム洪水吐ゲートの不具合復旧工事等を行ったことなどから、また、H30年度は豪雨により被災した発電設備等の修繕、R元年度は水車発電機オーバーホールの実施により費用が嵩み、全国平均を超えている状況にありました。R2年度は大規模な修繕工事がなかったため、低い数値となっています。■企業債残高対料金収入比率計画どおりの企業債償還により低下傾向にあります。■有形固定資産減価償却率全国平均よりも高い割合となっており施設の老朽化が進んでいる状況と言えます。なお、水車発電機の修繕・改良は定期的に実施しており、施設の適切な管理に努めています。■FIT収入割合該当施設はありません。[風力発電]■設備利用率H30年度は長期間の発電停止がなかったことに加え、良好な風況により前年度比で約3割の増となっています。R元年度に大きく低下している理由は、FIT期間終了に伴う8月末での風力発電所(1,200kW)の廃止により供給電力量が減少したためです。R2年度は落雷による機器損傷やその他故障の影響を受けたことから、低い数値となっています。■修繕費比率自然災害や経年劣化による故障に伴い大規模修繕等を実施したH29年度は高い割合となっています。R元年度に大きく低下している理由は、廃止した風力発電所の当該年度の定期点検費用が減少したためです。R2年度は故障により修繕費が嵩んだため、全国平均値を超える数値となっています。■企業債残高対料金収入比率該当はありません。■有形固定資産減価償却率国内での風車導入の初期に建設されたことから減価償却が進んでおり、全国平均よりも高い割合となっています。■FIT収入割合運転開始後20年が経過した1風力発電所(250kW)について、FIT適用終了後も一定期間運転を継続していたことから、H28年度は全体として100%を僅かに下回っています(H28年9月に廃止)。
全体総括
電気事業の経営状況については、安定的な売電料金収入の確保と、経費削減や業務の効率化などに努めており、全体的には健全な経営が行えています。風力発電所については、安定した電力供給の確保に向け、施設の適切な維持管理を行うとともに、故障の際には停止期間の短縮を図ります。なお、FIT適用終了(R6)後の事業継続については、H29年度に実施した試算では厳しい結果となっていますが、FIT適用終了時期までに改めて検討します。今後も、経営の効率化と施設の適切な維持管理に努め、有利な条件の下での水力発電の売電料金の確保に取り組むなど、営業利益の安定確保を目指すとともに、H30年度に策定した経営戦略に基づく取組の推進により、引き続き健全な経営が行えるよう取り組んでまいりたいと考えています。