経営の状況について
平成26年7月から「ぜんつうじ太陽光発電所(本市与北町)」、平成27年6月から「ぜんつうじ大麻太陽光発電所(本市大麻町)」が売電を開始し、平成28年度において年間を通じて初めて2つの発電所が稼働した。この事業では20年間の包括的施設リース契約をリース事業者と締結している。包括的施設リース契約には、施設の建設から完成後の維持管理、修繕、緊急事故対応、遠隔監視等が含まれている。リースで実施することにより、初期投資による多額の予算が不要になり、長期にわたる維持管理に対する経済的、技術的負担がなくなる。よって、本市自治体規模から判断し、予算の平準化が図られ、技術的負担が少ないリース方式での実施となった。売電収入は前年度と同水準を継続しているが、収益的収支比率は121.3%(17.5%減)、営業収支比率は134.1%(り、供給原価についても28,994.4事業の売電事業で積み立てた基金により平成28年度に自治会の所有する防犯灯をLED照明への交換工事を行い、平成29年3月から10年間は、防犯灯のうち照明灯具については、自治会に代わり市が維持管理を行うとともに同年4月使用分からは、防犯灯の電気代についても太陽光発電事業の収益により市が負担しているためである。この事業において、一般会計からの繰入金はなく、企業債の借り入れもない。売電収入が主な歳入であり、歳入から主な歳出である賃借料(リース料/年は20年間同額)等を差し引き、可能な額を基金に積み立てている。なお、賃借料の内容は、上記の包括的施設リース契約の内容で述べたことと同様で、施設の建設から完成後の維持管理、修繕、緊急事故対応、遠隔監視等である。
経営のリスクについて
設備利用率は14.5%(経年比較した場合、昨年度並を維持しているため、発電施設の効率的な運用を行えていると考える。修繕費比率については、リース事業者に支払う賃借料の中に施設の修繕費が含まれており、修繕費のみの把握はしていない。企業債について、借り入れ実績はなく、今後も借り入れる予定はない。売電収入は昨年度比0.6%増であり、天候によって左右されるとはいえ、当初のJISの計算値シミュレーションでは太陽光発電モジュールの経年劣化(0.5%/年)を考えても、今後も十分な収益を見込むことができると想定される。ただし、今後、電力会社による需給バランス維持のための太陽光発電の30日等出力制御が実施されることが想定され、売電収入の減収が考えられる。また、全収入がFITで占められており、FIT適用期間終了後は、収入が大きく変動するリスクを抱えているが、本市ではその時点での事業の廃止を検討している。撤去・廃棄費用としてぜんつうじ太陽光発電所とぜんつうじ大麻太陽光発電所ともに24,300千円を見込みリース契約の賃借料を原資とし積み立てている。
全体総括
現在のところ、経営状況は良好である。売電収入も天候によって左右されるとはいえ、当初のJISの計算値シミュレーションと比較して1.14~1.16倍の実績を残している。危惧されるのは、電力会社による需給バランス維持のための太陽光発電の30日等出力制御が実施されることによる売電収入の減収であるが、仮に電力会社が出力制御を想定している5月頃の最大30日分が減収となったとしても、今までの実績から考えると、収支が赤字になることはないと考えられる。また、FIT適用期間終了後は事業の廃止を検討している。よって、現状の良好な経営を継続していくためにも、平成32年度を目途に経営戦略を策定し、中長期的に安定した経営を行う。