地域において担っている役割
市内には7つの病院が設置されているが、このうち当院を含む2病院が、令和3年度の地方独立行政法人へと移行し、1法人2病院による経営統合を行っている。運営にあたっては2病院間での役割分担を行いながらも、当院では特に救急医療、小児医療を始めとする不採算医療を担い、地域急性期、回復期を中心に地域における中核医療機関の役割を担っている。また、同一医療圏内には高度急性期機能を持った多数の病院が設置されており、高度治療を終えた方が地元に戻って安心して療養できる場所として、バックベッドの役割も担っている。
経営の健全性・効率性について
収入面では、入院・外来ともに前年と比較して平均単価の向上はあるが、受診控えの影響もあって病床利用率が以前の水準まで回復するには至っていない状況である。費用面では、給与費・材料費比率が平均値を下回るなど、一定の経費抑制が進んでいる状況となっている。全体で見ると、新たに開始した新型コロナウイルス感染症対応による収益増の影響もあり、経常収支比率・医業収支比率は前年度と比較し大きく改善をしているが、一時的な収益であることも踏まえ、引き続き経営の健全化・効率化を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
地方独立行政法人への移行に際して固定資産の再評価が行われたことにより償却率は平均値を大きく下回っているが、実質的には築40年以上が経過し、施設の老朽化が進んでいる状況である。現在、経営統合を行った2病院を集約する形での新病院建設を進めているところであり、開院予定の令和6年度に向けて、施設及び機器備品の更新を計画しているところである。
全体総括
令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う受診控えによる影響や、感染リスクへの徹底した対応に伴う医療従事者の疲弊が長期間にわたり継続するなど、厳しい状況が続いている。こうしたなか、経営面では入院・外来収益が以前の水準まで回復するには至っていないものの、新たに新型コロナウイルス感染症への対応を開始し、ワクチン接種や感染症患者の受け入れを積極的に行うなどした結果、医業収支比率や経常収支比率では前年と比較し改善の傾向となっている。今後、2病院が集約される新病院の建設が開始されることとなるため、さらなる効率的な病院運営と安定的な経営基盤の確立に努めることとしている。