経営の状況について
本県の電気事業は、令和3年度は15の水力発電所、1つの風力発電所、4つの太陽光発電所を運営しました。近年は、FIT制度を活用した小水力発電所の開発や、老朽化した既存水力発電所のリニューアル工事に積極的に取り組んでいます。各指標は令和2年度より総じて改善していますが、これは令和3年度中に3カ所の水力発電所のリニューアル工事が完了し、運転を再開したことが主な要因です。令和5年度までに発電所のリニューアル工事が完了する予定ですので、今後も各指標は改善していく見込みです。
経営のリスクについて
水力発電については、令和3年度中に3カ所の水力発電所のリニューアル工事が完了し、運転を再開したことから、発電電力量が増加し、「設備利用率」が上昇しました。「修繕費比率」は、老朽化した発電所のリニューアル工事を順次行い、機器が新しくなったため、低下しました。令和3年度中に水力発電所3カ所の運転を再開したことから、料金収入が増加し「企業債残高対料金収入比率」は減少しました。また、新規固定資産が増加したため「有形固定資産減価償却率」は減少しました。FIT制度を活用し、長期的に安定した発電を行い経営基盤の強化を図るため、水力発電所のリニューアル工事や小水力発電所の新規開発に積極的に取り組んでおり、今後も「FIT収入割合」は高い水準が続きます。風力発電については、引き続きメンテナンス体制強化による故障停止時間の縮減に取り組んだことにより「設備利用率」は改善しました。一方、一部の風車でブレードや主軸受の修繕工事を実施したために修繕費が増加し、「修繕費比率」は上昇しました。全国水準に比べても高い水準となっています。太陽光発電については、故障が少なく、日照条件も良かったため、「設備利用率」はこれまでの水準を維持しました。「修繕費比率」は、故障が少なかったことから、これまでの水準を維持しました。設置年次が新しいことから、「企業債残高対料金収入比率」は全国平均値より高く、「有形固定資産減価償却率」は全国平均値より低くなっています。水力、風力、太陽光ともにFIT収入割合が高いなかで、FIT適用期間終了後の電気料金制度の動向は不透明なため、留意が必要です。
全体総括
電気事業は、リニューアル工事の完了による運転再開が進み各指標が改善しています。「島根県企業局経営計画」に基づき、地域の資源である水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電の維持拡大に取り組んでいきます。併せて経費の縮減と安定的な収入の確保に努め、引き続き経営基盤の強化に努めます。水力、風力、太陽光発電のFIT適用期間終了後の施設のあり方については、現時点で定まっていませんが、今後、再生可能エネルギーの普及状況や市場の動向などを踏まえて検討していきます。