経営の健全性・効率性について
漁業集落排水事業においては、平成20年度に全ての整備事業が完了していることから、新規接続及び使用料収入が伸び悩んでいる状態である。経費回収率については平成28年度実施の統廃合により漁業集落の一部が公共に統合されたこと等により平成28年度は26.15%となり、前年度より3.0%良化している。汚水処理原価606.58円/㎥についても、統廃合により前年度より良化しているが、それでも使用料単価158.63円/㎥に対して約3.8倍のコストが掛かっており、この差が財源の不足となっており一般会計補助金の繰出金に依存している状態である。平成28年度の施設利用率が21.37%と前年度より悪化していることを見ると地理的要因による多大な施設投資経費に見合うだけの有収水量が無いこと、又、将来の人口推計等によっても使用料収入の増加は見込めないため、経営基盤の強化として既存施設の有効利用、並びに人口規模に応じた施設のダウンサイジング等による将来の維持管理費削減、施設更新費用の縮小を図ることにより、今後の経営戦略において、使用料単価と汚水処理原価との差の縮小により自主財源率を高め、将来の施設更新が充分に可能な下水道事業を構築する必要がある。
老朽化の状況について
平成4年度から建設事業を開始しているため、管渠等の老朽化は未だ見受けられないものの、本格的な人口減少社会の到来による使用料収入の減少が予測され、将来的な投資余力は減退の方向にある。今後の対策としては、老朽化施設の改築更新工事等のストックマネジメント手法の導入・実践により、個々の施設ではなく施設全体を計画的に最適化することにより効率的な施設維持管理と長寿命化を図り、既存施設の有効利用に努める。
全体総括
持続可能な下水道事業を構築するためには、使用料水準の見直しによる経営基盤の強化、施設維持管理の効率化による有効利用が必要である。①使用料水準の見直し:消費税増税といった市民負担の増加に加え、過疎化と高齢化が進行する現状を考慮すると、使用料金の値上げは非常に困難である。しかし、自主財源を確保するためには避けては通れない問題であることから、今後の『経営戦略』の重要な検討課題である。②施設維持管理の効率化:『下水道事業統廃合基本計画』に基づき、平成28年度より処理区の統廃合を開始。また、ストックマネジメント手法による長寿命化対策を行うことにより、効率的な維持管理を目指す。