地域において担っている役割
「患者の幸せを職員の幸せにつなぎ、地域から信頼される病院になります」という理念のもと、急性期医療を提供する地域の中核病院として、良質な医療を安定的かつ継続的に提供しています。新型コロナウイルス感染症への対応では、発熱外来、帰国者・接触者外来の設置をはじめとして、PCR検査の検体採取、重症を含む感染症入院患者を受け入れました。住民へのワクチン接種事業でも、医師、看護師、薬剤師が接種業務に加わり、市内唯一の公立病院として重要な役割を果たしています。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率について、新型コロナウイルス感染症関連補助金の増加等により前年度から0.4ポイント改善した一方、新型コロナウイルス感染症の影響により入院患者数が減少したことで、医業収支比率及び病床利用率は悪化しました。患者1人1日当たりの収益は入院・外来ともに改善しているため、患者数の増加に取り組むことで、経常収支比率100%以上を目指します。
老朽化の状況について
建物(昭和59年(1984年)竣工)の減価償却が進んでいることから、有形固定資産減価償却率が類似団体の平均値よりも高くなっています。また、老朽化が進んでいる器械備品も多く、器械備品減価償却率も類似団体の平均値よりも高くなっています。計画的な機器更新を図っていく必要があります。1床当たり有形固定資産が類似団体の平均値より高いのは、敷地面積及び床面積が類似団体より大きいこと及び許可病床が過去の480床から減少していることが要因であると考えられます。
全体総括
本院における赤字の要因は、医業費用に見合う医業収益が得られていないことにあります。中でも伸び悩む入院収益の改善に向けては、入院単価の向上と入院患者数の増加の両立が喫緊の課題となっています。令和2年度の入院単価は、平均入院期間短縮の取組により大幅に上昇した一方で、入院患者数については、新型コロナウイルス感染症の影響による患者の受診控え、新型コロナウイルス感染症患者の受入れによる救急患者の受入制限等により減少しています。今後、地域連携による紹介入院患者増の取組や外科系診療科の手術件数増等による入院単価向上策等により、入院収益の向上を図り経営改善につなげます。