地域において担っている役割
市立伊丹病院は公立病院として地域に必要とされる急性期医療の提供に努め、市民の生命と健康を守ってきた。地域医療支援病院として地域の診療所からの紹介患者を受け入れると共に、救急病院として急性期患者の受け入れを中心に阪神北準圏域における伊丹市内の救急車の受け入れについて基幹的役割を担っている。指定病院として、地域における医療の質の向上や、完結率の向上、医師の研修体制の充実を図ってきている。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により入院及び外来患者数が減少したことに伴い、医業収支比率は前年度より減少したが、一般会計、および国・県からの補助もあり、経常収支比率は増加した。そのため、累積欠損金比率は減少しているが、なお30%を超える状態であるため、地域の医療機関との連携を強化し、患者数の増加を図ることや、安全で効率的な診療に努めて、収支の改善を図る必要がある。新型コロナウイルスによる減収の影響を最小限に留め、地域で求められる医療を提供するための診療体制の確保に努め、持続可能な経営ができるよう取り組む。
老朽化の状況について
当院の建物は昭和58年に建てられたもので、特に設備の老朽化が著しく進んでいる。そのため年次計画に基づく計画保全を実施しているが、経年劣化により想定外の故障・漏水等が発生している。また、高度急性期病床や回復期病床の不足などの地域医療の現状があることから、今後は地域医療構想における役割を果たすため、地域の基幹病院との統合再編を行い、統合再編基幹病院として建て替えを行っていくことになっており、令和2年度では基本設計を完了し、今後も計画的に整備を進めていく。
全体総括
施設の老朽化と医療機能の向上に対応するため、令和元年度において策定された「市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針」に基づき、令和7年度中の開院を目指し、統合再編基幹病院の整備に着手し、令和2年度では基本設計が行われた。今後も計画的に整備事業を進めるとともに、安定的・継続的に地域完結型医療を推進し、安全で質の高い医療提供体制を構築していくため、地域の医療機関と密に連携を図り、診療機能の充実と経営の健全化に努めていく。