地域において担っている役割
当院は、滋賀県における東近江2次医療圏(人口約22万人)に属しており、高度急性期及び急性期医療を中心とした医療を提供しています。当圏域においては、最大の病床規模、一定量の医療資源を有し、県内公立病院では唯一となる救命救急センターや地域周産期母子医療センター、災害拠点病院、地域医療支援病院などの指定を受け、基幹病院として急性期医療の充実を図り、地域医療の確保に貢献しています。
経営の健全性・効率性について
コロナ禍において感染症と急性期医療の対応を柔軟かつ積極的に進めたことにより④病床利用率は類似病院平均値を大きく上回り、高水準を維持しています。費用面では、特に薬価や材料価について、民間等の推移を踏まえ価格交渉を行うとともに、患者数の増減を加味しながら、適正な材料使用数の管理等を行った結果、①経常収支比率②医業収支比率ともに類似病院平均値を上回る数値を示しています。しかし、収益の根幹となる入院・外来の医業収益が落ち込んだため、新たな施設基準を取得するなど収益確保対策が急務となります。
老朽化の状況について
病院の建物は2006年に新築したもので比較的新しいため、①有形固定資産減価償却率は平均値を大きく下回っていますが、今後は耐用年数を経過する電気・機械設備の更新整備に取り組み、施設の長寿命化を図っていく必要があります。②器械備品減価償却率は令和2年度に総合医療システムの大規模更新を行った結果、平均値を下回る結果となりましたが、新築開院後からの主要な医療機器の更新時期を迎えているため、計画的な機器更新に取り組んでいきます。③1床あたり有形固定資産は、高度急性期医療の提供に高額な医療機器整備への投資が必要なため平均値を上回っており、一般医療機器と同様、計画的な更新が必要です。
全体総括
コロナ禍において感染者の対応に追われる中、入院・外来ともに患者数が減少し、医業収益は落ち込んだものの、感染症と急性期医療の対応を柔軟かつ積極的に進めたこと、さらにはコロナ関連補助金の交付を受けたことにより、経常収支比率は過去に比べ良化しています。しかしながら、当補助金は限定的な措置であることから、ウィズコロナ、ポストコロナにおける医療ニーズを展望し、次年度策定する「公立病院経営強化プラン」において、東近江医療圏域における当院の果たすべき役割や中長期を見据えた重点目標を設定し、地域連携による集患への取り組みや診療報酬加算等の確実な請求体制の強化など収益増加対策をより一層進めます。