地域において担っている役割
西尾市民17万人の命を守る地域の中核病院として、急性期医療と急性期を脱した患者の在宅に向けた医療を提供していく役割を担うとともに、地域の開業医と連携して、地域完結型医療に取り組んでいます。近年、増加基調である当院への救急車による搬送件数も年間約4,000台あり、近隣の公立病院を上回る水準となっています。また、災害時には、西尾市医師会、地域の医療機関と連携し、被災地への医療の確保、被災した地域へ医療支援を行うため、地域の災害拠点病院の中心的な役割を担っております。
経営の健全性・効率性について
①【経常収支比率】平成28年度は100%を超えており、これは国の繰出基準以上の繰入金に伴うので、長期的な経営改善(改革プランの実行)に努めてまいります。②【医業収支比率】医業費用は減少傾向にありますが、医師不足による入院及び外来患者数の減少に伴う医業収益の減少に伴うものです。③【累積欠損金比率】平成28年度を除き、毎年欠損金を計上しており、収益向上に向けた経営改善(改革プランの実行)が必要と考えております。④【病床利用率】毎年、入院患者数は減少傾向にあり、平成28年10月から地域包括ケア病棟への変更や一部病棟の休床を実施し、改善に努めております。⑤【入院患者1人1日当たり収益】常勤医師の不足により、平均値を大きく下回っており、改革プランに沿った常勤医師の確保が必要と考えております。⑥【外来患者1人1日当たり収益】適正な水準と考えます。⑦【職員給与費対医業比率】平均値より高く推移しており、平成28年10月から地域包括ケア病棟への変更や一部病棟の休床を実施し、職員配置の適正化に取り組んでおります。⑧【材料費対医業収益比率】平成27年度を除き、ほぼ平均値で推移しております。なお、平成27年度は高額医薬品(C型肝炎治療薬)による影響です。
老朽化の状況について
①【有形固定資産減価償却率】病院本体は、平成元年度に建設されており、27年を経過しており、法定耐用年数も残り12年となっております。今後、施設の長寿命化等の施設整備計画の策定に向け、検討する必要があると考えております。②【機械備品減価償却率】施設同様に、機械備品においても、平均値より老朽度合が高いですが、病院収益が減少傾向にあり、機器更新が出来ておらず、計画的な更新が必要であると考えております。③【1床当たり有形固定資産】平均値より低い水準で推移しており、将来的な収益的支出の増加傾向でないことがいえます。
全体総括
平成28年度は、国が2年ごとに実施する診療報酬改定があり、急性期病床における医療・看護必要度などの施設基準で厳格化が図られ、当初から医業収益は大幅に落ち込み、資金不足の問題が生じました。短期的な対応として、一般会計からの追加繰入れを図り、長期的な対応では、病床機能の見直しや病棟再編を検討し、1病棟の休床及び1病棟を地域包括ケア病棟への変更することで、段階的な人員調整を通じて、人件費の抑制を図ることとしました。また、最重要課題としている医師不足問題を抱えつつ、こうした外部環境の変化にも的確に対応し、西尾市民の健康を守ることを使命とし、西尾市民病院中期計画や西尾市民病院改革プランで計画した各取組みを着実に実行していきたいと考えております。