地域において担っている役割
当院は、地域の中核病院として急性期医療を担っていることに加え、静岡県東部地域において数少ない救命救急センターや地域周産期母子医療センターの機能も併設しており、これらの役割も担っている。また、地域医療支援病院として、地域の医療機関との連携強化により国が進める地域完結型医療を推進する役割のほか、基幹型臨床研修病院として初期研修医を受け入れ、地域の医師確保を図る役割なども担っている。
経営の健全性・効率性について
指標のうち経常収支比率については、平成25年度以外100%を切っており、また類似病院の平均も下回っていることから、新改革プランに掲げる平成32年度の黒字化に向け、経営改善に資する諸施策を着実に実施していく必要がある。そのためには、常勤医師を確保し患者数の増加を図ることにより、病床利用率を引き上げていくほか、各種加算を確実に算定することなどにより、入院及び外来患者の1人1日当たり収益を増やしていくことが必要となる。一方、費用については、材料費対医業収益比率が類似病院の平均を上回っていることから、薬品費にあっては薬品納入業者と積極的に薬品価格交渉を行うとともに、ジェネリック医薬品の導入を図っていく。さらに、診療材料費についても、事業者の活用や共同購入の促進を図るなど、材料費の削減に努めていく。
老朽化の状況について
当院は、現施設建築後30年が経過しており一部に老朽化も見られることから、定期的な施設・設備改修が必要である。また、医療機器についても適宜更新を図ることにより、質の高い医療を確保していく必要がある。なお、指標においては、有形固定資産減価償却率のほか機械備品減価償却率について、類似病院の平均を上回っており、施設や機械ともに老朽化の傾向が見られることから、必要に応じ計画的な更新を実施していく。
全体総括
当院は、平成25年度決算において事業収支が黒字化したものの、平成26年度以降再び赤字決算となり、平成28年度においては累積欠損金が約55億円になるなど、近年は厳しい経営状況が続いている。このような中にあって平成28年度は、病床数を500床から426床に削減し、診療報酬減額影響の緩和などを図ったほか、患者数の増加を目的として、病院長の開業医訪問や病院広報誌の新規発行、市民参加型イベントの開催など、病院情報の発信に努めた。今後についても、地域の中核をなす急性期病院として「救急医療」や「専門医療」の提供のほか、地域医療を支援する役割などを果たしつつ、独立採算制の原則に基づいた病院運営ができるよう、収益の確保及び経費の削減に努めていく。