地域において担っている役割
病院群輪番制病院として医療圏内の救急医療の一翼を担うとともに、医療圏の急性期医療や、地域がん診療連携拠点病院としての高度医療、公立病院として民間病院では限界のある精神・結核・感染症等の政策的医療を堅持しているところである。
経営の健全性・効率性について
平成28年度経常収支比率では、前年度からはやや改善したものの、依然として減価償却費の計上や材料費や経費の増加により収支赤字となっている。累積欠損金比率は、これまで多額の減価償却費が経常収支を圧迫し、収支赤字が続いた結果、平成28年度まで欠損金が積み上がった。平成29年度の収支は黒字に転じたため累積欠損金は減少しており、今後も収支改善を図り黒字経営を継続するため、地域医療ビジョンとの整合性をとりながら、さらなる医療の質の向上と経営の安定に取り組むこととしている。入院については、新規入院患者の確保に向けた取り組みを推進したことにより新規入院患者が増加し、手術件数も増加したことで単価が増加、1人1日当たり収益も増加した。外来では、患者数の減少などが影響し1人1日当たりの収益が若干減少したため、今後さらに地域医療機関との連携を強化し、紹介患者の増加につなげ、それによる収益増加を図っていく必要がある。病床利用率については平成27年度(平成28年3月)に一般病床33床減床、平成28年度に一般病床42床減床したことによって病床利用率の向上が効果として表れてきている。今後も新規入院患者の獲得に向け努めていく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率を見ても、全国平均、類似団体との比較で10ポイント以上超えており、平成12年度に建設した病院全体もさることながら、建設と同時に導入した医療機器等の老朽化も顕著に表れてきている。今後はこれらに対する修繕もこれまで以上に増大することが予想され、収支面では費用の増加が懸念される。1床当たり有形固定資産については、有形固定資産総額は毎年度減少しているが、病床数を平成27年度に33床、平成28年度に42床減床したことにより増加している。今後も当院の財政規模を考慮し、施設等の投資計画の見直しを適切なタイミングで行っていく。
全体総括
収益面では入院・外来患者1人1日当たりの収益が伸びており、収益構造は改善しつつあるものの、一方では医業収支比率は94.3%であり、政策的医療などの不採算部門以外の医業収益のさらなる確保のため、新たな収益(診療報酬加算)の検討など今後も収益体質の強化を図っていく必要がある。費用面では、職員給与費、材料費それぞれの医業収益比率が類似団体と比べポイントは低いが、さらなる費用削減について検討していく必要がある。一方で、有形固定資産等の減価償却率は類似団体より高ポイントであり、今後は老朽化による修繕費の増加が懸念されるため、計画的な修繕の実行により費用増加を抑制しつつ、一方で機器等の継続的・計画的な更新も実施し、当院の医療の質の維持・向上を図っていく必要がある。