経営の状況について
・経常収支比率オーバーホール等により修繕費のバラつきはあるものの過去5年間において継続して100%以上であり、一般会計からの繰入金等もないことから、収益性は概ね良好である。・営業収支比率過去5年間において継続して100%以上であり、また更新投資等に充てる財源も確保しており、経営の健全性は確保されている。・流動比率過去5年間において継続して100%以上であり、企業債償還額も減少していることから、短期的な債務の支払能力は確保されている。・供給原価過去5年間において継続して平均値を下回っており、今後とも維持管理費の低減に努める。・EBITDAオーバーホール等により修繕費のバラつきはあるものの、過去5年間において継続して平均値を上回っており、収益性は良好である。
経営のリスクについて
【水力発電】・設備利用率令和2年度は少雨等の影響で平均値を下回っているが、令和3年度は平均値を上回り、概ね良好である。引き続き、発電停止を必要とする大規模修繕については、発電所の停止期間を極力短縮することなどにより、設備利用率の維持・向上を図るよう努めていく。・修繕費比率令和3年度は大規模修繕が少なかったこともあり、平均値を大きく下回ったが、需給のひっ迫により水車発電機等の設備費用が急激に高騰しており、修繕費は増加傾向にある。設備の更新や修繕工事などの実施にあたっては、機能・性能等の調査により保守管理コストも含めた費用対効果が高い機器等を選定し、工事費や維持管理費の低減に努める。・企業債残高対料金収入比率企業債残高は減少する傾向にあったが、4発電所のリプレースに係る起債により、今後は増加していく見込みである。・有形固定資産減価償却率過去5年間において継続して平均値を上回っており、耐用年数を超えている資産も多いことから、令和元年度に策定した長寿命化計画に基づき、効率的な更新や修繕工事を進める。また、現在実施中の4発電所のリプレースについて、計画工程どおり(令和3~10年度)の整備を着実に進める。・FIT収入割合令和2年度以降、少雨等の影響で平均値を下回っている。また、FIT適用を受けていた新大長谷第一発電所の調達期間が令和4年1月31日で満了となり、令和4年度以降の収入が減少する見込みである。現行契約満了後の売電契約については、引き続き、市場における電力や非化石価値の取引価格の推移、他の公営企業の対応状況等に留意して、安定的な収入の確保に努めるととともに、電力の地産地消など、地域貢献にも資する売電先の選定方法について検討していく。さらに、4発電所のリプレースにおいて、固定価格買取制度を活用して、単価増による収益増を図る。【太陽光発電】・設備利用率概ね良好であり、今後とも設備利用率の維持・向上を図るよう努めていく。・修繕費比率及び有形固定資産減価償却率平成28年3月から運転開始した施設であり、今後とも施設の状況の把握に努め、適切な整備を行っていく。・企業債残高対料金収入比率企業債の借入をしていない。・FIT収入割合FIT適用期間が令和18年2月で満了となることで、令和19年度以降の収入減少が見込まれることから、市場における電力や非化石価値の取引価格の推移、他の公営企業の対応状況等に留意して、安定的な収入の確保に努めるととともに、電力の地産地消など、地域貢献にも資する売電先の選定方法について検討していく。
全体総括
経営の状況は概ね良好であり、収益性は安定傾向にあるものの、固定価格買取制度の適用終了に伴う収入減や、電力システムの改革によって売電単価の不確実性が増すことも想定される。また、発電所の老朽化が進み、施設・設備の更新や修繕が必要となっているほか、令和3~10年度に実施する発電所のリプレースによる支出と、それに係る企業債償還も見込まれることから、着実に自己財源を確保していく必要があり、一般会計への繰出しについても長期的な視点で検討する必要がある。このような状況を踏まえ、令和4年7月に経営戦略(H29~R8)を改定したところであり、引き続き、経営基盤強化と財政マネジメントの向上を図っていく。