経営の健全性・効率性について
経常収支比率は類似団体の平均値と同等になっていますが、収益的収入への一般会計繰入金によるものであり、下水道使用料については、新型コロナウイルス感染症蔓延防止の為の外出自粛に伴う観光客減により、前年度比100,000,000円超の減となっており、台風や火山活動等の自然災害の影響を受けた令和元年度に引き続き、厳しい経営状況となっています。流動比率は100%未満となっており、短期的な支払能力が高くないため、高額の支出が重なる場合は、支出時期の調整等が必要となります。企業債残高対事業規模比率については減少傾向にあり、今後数年は企業債借入額が償還額を下回るため、減少していく見込みです。汚水処理原価については、地理的制約により処理場が二つあること、ポンプ場の数が多いことから高い水準となっています。施設利用率は50%前後で推移していますが、これは当町が観光を基幹産業としているため、将来的な観光客の増加にも対応できるよう、施設に余裕を持たせていることによります。水洗化率については、住民人口で算出されるため、当町に多く設置されているホテル、保養所、別荘等の数値が反映されておらず、全国平均及び類似団体平均値よりも低い水準となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、平成30年度に地方公営企業会計に移行したため、減価償却費の累積が少なく、低い数値となっています。管渠老朽化率についても低い水準となっていますが、管路布設延長が100㎞を超えているため、計画的に老朽化対策を推進していく必要があります。管渠改善率は類似団体平均値を上回っていますが、引き続きストックマネジメント計画に基づき、改築・更新を行っていく必要があります。
全体総括
当町は観光を基幹産業としているため、観光客の動向により、使用料収入が大きく左右されます。令和3年度以降も新型コロナウイルス感染症の影響による減収が見込まれる中、施設の老朽化対策と流域下水道への加入に係る建設費等、建設改良に係る経費については、今後増額していくため、経営環境は厳しい状況が続くと予測されます。今後も持続可能な下水道事業経営のため、公営企業会計における財務諸表により、経営状況や資産の状況を正確に把握し、適正な使用料の水準についても検討し、経営の健全化を図っていきます。