地域において担っている役割
当院は,気仙沼地域の中核的病院として,救急医療,周産期医療及び小児医療などを担っているほか,当地域にはない診療科なども標榜し,他の医療機関などと連携して地域医療を支えている。また,東日本大震災では,災害拠点病院としてその役割を果たした。
経営の健全性・効率性について
【経常収支比率,医業収支比率】経常収支比率は平成13年度の101.5%,医業収支比率についても平成13年度の100.5%を最後に,どちらも100%を下回っている状況が続いている。また,経常・医業収支比率ともに各種平均値を下回っている要因としては,人口減少や医療ニーズの変化に対応しきれず,収益の減少に歯止めが掛からないことや,人件費や委託料といった経費の抑制が進んでいないことが挙げられる。【累積欠損金比率】平成2年度決算において累積欠損金が発生して以降,赤字計上が常態化し,平成28年度決算で102.5%まで悪化している。【病床利用率】稼働病床の336床ベースでは利用率75.3%となるものの,許可病床404床での稼働率は表記のとおり62.7%と平均値を下回っている。新病院では,許可病床340床となるほか,ニーズのある回復期病床も設定されることから相応の改善を見込む。【入院・外来患者1人1日当たり収益】入外ともに各種平均値を下回っている状況。要因としては,看護配置10:1を標榜している点や,他院との在院日数の差が挙げられる。【職員給与費対医業収益比率】各種平均値より良好なものの,50%を超えており改善が必要。また,委託料自体も増加しているので注意を要する。【材料費対医業収益比率】後発医薬品の導入促進などによる抑制効果であり,今後も継続していく。
老朽化の状況について
【有形固定資産・機械備品減価償却率】機械備品は定期的に更新されており,各種平均値と同水準となっている。有形固定資産全体では,各種平均値より見劣りするものの,新病院の建設及び新病院建設に伴う医療機器の更新により,大幅な改善が見込まれる。【1床当たり有形固定資産】有形固定資産減価償却率が低位であるため,本決算期における各種平均値も良好な状況にあるが,前述のとおり,新病院の建設により1床当たりの有形固定資産額は上昇するので,今後の収益的支出には注意を要する。
全体総括
慢性的な医療従事者の不足や人口減少など,当院を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いている。そうした中で,当院は新病院の建設のほか,医療機器の更新など,ハード面での充実が進められている。今後は,公立病院の使命である,地域住民への「安定的な医療の提供」と,「持続可能な病院経営」を両立すべく,ソフト面での充実が喫緊の課題と捉えている。平成29年3月に策定した「気仙沼市立病院新改革プラン」に基づき,各種経営課題に職員一丸となって取り組み,地域住民の方々に信頼され,選ばれる病院を目指していく。