地域において担っている役割
過疎地である牡鹿地域唯一の病院として、急性期医療に対応し、外来・入院の一般診療のほか、24時間体制での救急患者対応、予防接種、乳幼児健診、学校健診、健康診断、さらには、地域内の住民及び各種施設への往診等を行っており、地域住民の医療不安を解消し、良質な医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
東日本大震災の影響等による地域内人口の減少に伴い外来収益が前年度より約20,000千円減額したほか、地方交付税の算出基礎を基に積算している一般会計繰入金の「経営基盤強化対策負担金」が減床分の特例措置終了に伴い約30,000千円減額したため、経常損失が約50,000千円発生し、経常収支比率、医業収支比率、累積欠損金比率及び職員給与費対医業収益比率の悪化に影響している。材料費対医業収益比率は、医薬品における後発品(ジェネリック医薬品)の割合が年々増加している影響もあり、前年度と比較し減少している。
老朽化の状況について
有形固定資産の約8割を占める建物の法定耐用年数は39年だが、竣工から15年しか経過していないため、有形固定資産減価償却比率については、類似病院平均値を下回っている。器械備品については約64,000千円の新規購入及び約43,000千円の除却により減価償却率が減少している。1床当たり有形固定資産については、平成15年の病院建設時には50床を有する病院であったが、患者数の減少により平成18年に40床、平成22年に25床に減床しているため、現在の病床数で比較した場合過大な建物となっており、類似病院平均値を上回っている。今後は、医療機器及び給排水・空調・受電源設備等の耐用年数経過による部品提供が順次終了する見込みから、計画的な更新と小規模修繕を行っていきたい。
全体総括
従来からの人口減少に加え、東日本大震災の影響により、さらに人口減少に拍車がかかり、収益環境は今後さらに厳しくなると予想される。また、例年医業外収益として電源立地地域対策交付金を財源とした一般会計繰入金(補助金)を計上していることから、経営は比較的安定しているものの、女川原子力発電所の立地に依存する財源であることから、将来的な安定財源として見込むことは難しい状況にある。しかし、東日本大震災からの復興が進む牡鹿地域唯一の病院として必要不可欠な医療機関であり、今後は、収支両面において、平成29年3月に策定した「石巻市新公立病院改革プラン」により、実施結果を検証し、平成32年度における経常収支比率100%達成を目指していく。