地域において担っている役割
旧御津町時代に開設された町立金川病院が合併により岡山市に引き継がれ、現在も御津地域を中心とする地域医療を担っている。「再編・ネットワーク化」の一環として、平成24年4月に新築移転し、国立病院機構(岡山医療センター)が指定管理者としてして運営している。患者ニーズに合わせ、平成30年1月より全床を地域包括ケア病床としている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率については、平均値より高い値を維持しているものの、新型コロナの影響による急性期病院からの紹介患者数の減少もあり、引き続き減少傾向にある。ただし、令和3年度は入院・外来とも患者1人1日当たり収益は上昇し、外来患者数の増加などもあり経常収支比率、医業収支比率ともやや改善した。また、職員給与費対医業収益比率、材料費対医業収益比率は、指定管理者の効率的な運用により、類似病院平均値より低い水準にある。
老朽化の状況について
新築移転から10年が経過したが、有形固定資産減価償却率は類似病院平均値に比べ低いものとなっている。また、新築移転前に市が保有していた備品類については、使用可能なものを指定管理者へ無償貸与しているが、これらについては償却済であるため器械備品減価償却率は95%となっている。建設を低コストで行ったことや高額な医療機器を保有していないことなどから、1床当たり有形固定資産については、類似病院平均値より低いものとなっている。
全体総括
指定管理者制度による運営を行っているが、一般的な公費負担(繰出基準)の考え方とは異なる運用をしていることもあり、統計資料に基づく類似病院との比較などによる経営分析では判断が難しい側面がある。指定管理者による運営は効率的に行われていると判断するものの、周辺地域の人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響等に加え、新築移転から10年が経過し、老朽化に伴う修繕需要の増加も見込まれることから、今後の病院経営は厳しさを増している状況にある。