地域において担っている役割
過疎地である牡鹿地域唯一の病院として、急性期医療に対応し、外来・入院の一般診療のほか、24時間体制での救急患者対応、予防接種、乳幼児健診、学校健診、健康診断、さらには、地域内の住民及び各種施設への往診等を行っており、地域住民の医療不安を解消し、良質な医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
毎年度、医業外収益に電源立地地域対策交付金を財源とした一般会計繰入金(補助金)を130,000千円程度計上していることから、経常収支比率は例年100%前後と安定している。累積欠損金比率についても同様の理由により110%前後と安定している。医業収支比率及び病床利用率については、過疎地指定されている地域であり、人口の自然減に加え、東日本大震災以降、人口流出に伴う社会減も多く、患者数が減少していることが影響していると思われる。外来患者1人1日当たり収益は、近隣に調剤薬局がなく、院内処方している影響から類似病院平均値を上回っているものと思われる。材料費対医業収益比率についても院内処方の影響により類似病院平均値を上回っているものと思われる。
老朽化の状況について
有形固定資産の約8割を占める建物の法定耐用年数は39年だが、竣工から13年しか経過していないため、有形固定資産減価償却比率については、類似病院平均値を下回っている。機械備品については、法定耐用年数経過後も使用可能な場合が多く、年々減価償却率は上昇傾向にあるものの、類似病院平均値と同数値となっている。1床当たり有形固定資産については、平成15年の病院建設時には50床を有する病院であったが、患者数の減少により平成18年に40床、平成22年に25床に減床しているため、現在の病床数と比較し過大な建物となっており、類似病院平均値を上回っている。今後は、医療機器及び給排水・空調・受電源設備等の耐用年数経過による部品提供の終了に伴い、計画的な更新と小規模修繕を行っていきたい。
全体総括
過疎地に立地する病院であり、従来から人口減少傾向にあったが、東日本大震災の影響により人口減少に拍車がかかっており、今後、医業収益が大きく増加することはないと思われる。また、例年医業外収益として電源立地地域対策交付金を財源とした一般会計繰入金(補助金)を計上していることから、経営は比較的安定しているものの、女川原子力発電所の立地に依存する財源であることから、将来的な安定財源として見込むことは難しい面もある。しかしながら、東日本大震災からの復興が進む牡鹿地域唯一の病院としてて必要不可欠な医療機関であり、今後は、収支両面において、平成29年3月に策定した「石巻市新公立病院改革プラン」に掲載した各種取組みを実行し、平成32年度における経常収支比率100%達成を目指していく。