地域において担っている役割
新和町地域における初期医療・救急医療・回復期医療を担う(地域で唯一の医療施設)。施設健診事業を実施。通所リハビリ等の居宅介護サービス事業を実施。小中学校医、民間介護・福祉施設等協力医療機関としての役割を担う。地域独自の包括ケアシステムの構築に向けた核施設としての役割を担う。病床数については、人口減少等社会的変化から地域医療構想調整会議での承認を経て令和3年3月末に削減し、現在の30床にて入院医療の提供を行っている。令和3年度においては発熱患者の診療・検査、コロナワクチン個別接種、感染症から回復された患者の後方支援入院受入に積極的に取組んだ。
経営の健全性・効率性について
令和3年度の医業収支比率が平均値を若干上回っているのに対し、経常収支比率が大きく乖離しているのは、医業外収益となるコロナウイルス感染症対応に係る補助金が減少したことが要因である。入院収益では、早期の自宅退院や適切な施設等への退院調整など回復期医療を強化した結果、入院単価は上昇したものの、患者数は減少し病床利用率は横ばいとなっている。外来は、内科・整形外科が主であるため単価が低く、患者数は回復しつつあるものの収益への貢献度が低い。費用においては、給与費、材料費が前年度に比べ減少したものの、収益の大きな減少に伴い給与費比率が増加した。現在の医療提供体制により収支均衡を図るためには、病床使用率、外来患者数ともにコロナ渦前の数値レベルまで回復させる必要がある。
老朽化の状況について
平成9年にしゅん工し耐震基準を満たした建物であるが、経年劣化により防水塗装や壁面について補修等を行っている。また、電気設備についても省電力化を順次進めている。器械備品については、更新計画に基づき順次更新を行っているが、医療機能の将来性や導入・維持コストなど総合的に判断し機種の選定等を行っている。
全体総括
地域医療構想に基づき病床を削減し関係機関との連携を強化した結果、平均在院日数が減少するなど本格的な回復期医療に取組んだ。反面、病床使用率が低下することとなったが、年度末には単月90%以上を確保するなど回復を見せた。今後、さらに地域連携室の取組を強化し、入院基本料の上位を取得、医療の質の向上を図ることで医業収益の増を目指す。また、施設健診についても若年者の受診が増えつつあり、公立病院としての役割を果たすとともに治療が必要な患者の発掘にも努める。