地域において担っている役割
田村市で唯一の病院として、地域の医療・介護機関等と連携しながら住民に身近な医療を提供している。■入院機能:地域の医療機関や介護施設等と連携して、比較的軽症の患者を中心に入院受入■外来機能:地域で不足している診療科を中心に、10の診療科で外来患者を受入■初期救急:救急患者に対する重症度の判断及び振り分け、高度な治療を要しない患者の入院受入■予防啓発:企業等の健診対応、市の保健施策と連携した健康増進の予防啓発■感染症対策:新型コロナウイルス感染症地域(発熱)外来の運営、地域における対策拠点
経営の健全性・効率性について
経営収支比率は、前年度に比べて改善したものの、依然として低い水準となっている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外来患者数の減少や入院受入れ者数の縮小が主な要因となっている。その結果、病床使用率は低迷しており、地域の入院需要に十分応えられていない状況となっている。また、常勤医師の不足も継続した課題となっており、常勤医師の不足を補う非常勤医師に係る人件費が嵩み、職員給与費対医業収益比率も高い割合となっている。患者1人1日当たり収益は、外来・入院ともに前年度よりも上昇しているが、入院収益は類似病院平均値を大きく下回っている。材料費対医業収益比率は類似病院平均値を上回っているため更なる経費の削減が必要である。
老朽化の状況について
当院は民間病院から病院事業を継承し、当該民間病院の建物・設備等を借り受けて運営しているため、有形固定資産は新たに購入した医療機器のみとなっている。現施設は、昭和46年に建築、平成18年に増築・改築し耐震化を図っているが、築50年を経過し老朽化が顕著となっている。そのため、本市では令和7年度の開院に向けて、計画的に移転建替を進めている。
全体総括
病院経営の安定性を高めるために、常勤医師の確保に向けた具体的な取組みを強化する必要がある。また、医療の質の向上と収支の改善を図るために、施設基準の取得や看護基準の見直しに取り組み、後発医薬品の使用促進や診療材料の共同購入、適正管理の徹底により、指定管理者のスケールメリットを活かしながら費用削減を引き続き行っていく。病院事業の安定的運営と良質な医療の提供を目指すため、引き続き効率化を推進していく。