地域において担っている役割
当院は、肝付町の山間へき地に位置する内之浦地区において唯一の有床医療機関である。内之浦地区は過疎化が進み、令和4年3月末現在の高齢化率は56.2%と非常に高く、また公共交通機関も乏しく自家用車を保有しない高齢者が多数存在することから病院における患者無料送迎を実施している。常勤医、近隣医療機関からの派遣医師協力の下、様々な症例への対応は勿論のこと、救急病院指定による夜間、休日の患者受入も行っており、内之浦地区住民にとって必要不可欠な存在である。
経営の健全性・効率性について
前年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響で外来診療の受診控えや長期処方、積極診療が出来なかったことや地区人口の自然減少(年間120人減少)により外来収益が減少し、入院診療も外来患者減少に付随して減収となった。それに伴い①経常収支比率、②医業収支比率、④病床利用率がそれぞれ減少となり、③累積欠損金比率が増加となった。⑤、⑥の入院外来患者1人1日当たりの収益は、前述による積極診療が行えなかったことによる検査、手術の減少等により類似病院平均値を下回っている。⑦職員給与費対医業収益比率は、職員数の変動は無かったが医業収益の減少により増加となった。また不採算地区(過疎地等)病院の要因も増加の原因となっている。⑧材料費対医業収益比率は、平均値を下回っており効率的な調達や管理が行われている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、病院本体の建築から39年経過しており、増改築や修繕を重ねていることから老朽化は否めないが、器械備品減価償却率は、経年比較・平均比較から適正な投資ができているものと考えられる。また1床当たり有形固定資産についても経年比較で増加傾向にあるが、平均比較より低い数値であるので今後も継続して計画的な更新を実施していく。
全体総括
令和3年度の決算は、長引く新型コロナウイルスの影響等により、一般会計からの繰入金(法定外の繰入含む)を行ったにも関わらず赤字経営となった。今後も地域医療維持のため、常勤医師(3名体制の確保)を含めた医療体制の充実を図り、また収益減少の理由となった新型コロナウイルスの影響による以前の受診体制に戻し、地域ニーズに応じた公立病院として効率的な病院経営に努める。