地域において担っている役割
少子高齢化と人口減少が急激に進む山間へき地に立地し、地域に唯一の入院機能を有する医科医療機関として住み慣れた地域で暮らし続けることを支える医療を提供する役割を担っており、24時間の初期救急対応、入院から在宅医療、併設の老人保健施設や特別養護老人ホーム、訪問看護ステーションなど7つの介護事業の中核として、地域包括医療・ケアを推進、実践している。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は新型コロナウイルスによる受診行動の変容とインフルエンザ陽性者が皆無であったことから、医業収益が1.5%の減(13,087千円減)となった。患者数は、入院で3.4%減、外来で3.0%減であり、特に初診と時間外患者が減少している。医業費用は給与費を除く費用が6.8%減であるが、給与費が5.7%増で、医業費用としては0.4%の増(4,139千円増)であった。収益が減少し費用が増加したことから、平成25年度以来の経常損失22,402千円(前年比30,729千円減)となった。これにより経営指標の経常収支比率が100%を割り、類似病院平均値を下回った。なお、純損益では、26,153千円の利益で、これには病床削減支援給付金18,240千円が含まれており、地域社会の縮小に合わせて54床から44床にダウンサイズしている。
老朽化の状況について
病院建物が建築から28年を経過していることから有形固定資産減価償却率が類似病院を上回って老朽化が進んでいる。機械備品の減価償却は平成24年度の磁気共鳴診断装置(MRI)、平成27年度の64列CT、平成29年度の医療情報システムの償却期間が重なっていることが影響しているが、医療の質は向上し資産の有効活用によって収益に結びついている。今後は、建設から30年を経ようとしていることから、建物老朽化に対する具体的な長寿命化計画を立案する必要がある。指標における1床あたり有形固定資産の令和2年度の上昇は、54床から44床に減じたことによるものである。
全体総括
単年度収支では、経常損失となり運営の厳しさが増しているが、当院の役割である地域包括医療・ケアを実践して、累積欠損や不良債務の発生もなく良好な財務状態を維持している。しかし、地域の人口減少に加えて、新型コロナウイルス流行による受診行動の変容により、より一層経営環境が厳しくなっている。今後、令和2年度末にダウンサイズした病床44床での運営を行っていくが、経営規模の縮小と収支バランスの均衡という難しい課題に取り組んで行く必要がある。