地域において担っている役割
当院は、田野地域で唯一の入院施設・救急受入機関であり、指定管理者が宮崎大学という特性がある。また、県の地域医療構想では、令和7年において回復期病床の不足が見込まれているため、これらの状況を踏まえ、救急医療、回復期医療、在宅医療、専門医療及び総合診療の提供といった役割を担っている。これに加え、コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症から回復した患者が引き続き入院管理を必要とする場合に受入れを行う後方支援医療機関としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
健全性の面においては、「経常収支比率」が改善傾向にあるものの、「累積欠損金比率」は、類似病院平均値と比較し高い水準にある。この要因については、病院事業の附帯事業である介護老人保健施設事業の収支不足によるものである。また、効率性の面においては、類似病院平均値より「病床利用率」が高く、「材料費対医業収益比率」が低いため、効率性は高いと言える。「職員給与費対医業収益比率」が類似病院平均値より低い要因については、当院が回復期医療を中心とする病院でありながら、急性期医療の一部を担っていることによる。
老朽化の状況について
当院は、「有形固定資産減価償却率」が低い水準にあるものの、「器械備品減価償却率」が高い水準にあり、器械備品の老朽化が進んでいる状況にある。このため、令和3年度から老朽化している医療機器等の更新を優先的に実施している。なお、「1床当たり有形固定資産」が前年度と比較し減少している要因については、病院事業の附帯事業である介護老人保健施設事業の廃止に係る減損処理の実施による。
全体総括
本市病院事業は、医師不足等による医療提供体制の脆弱性と赤字経営の常態化という2つの課題を抱えていたが、平成27年度に指定管理者制度を導入したことで、医療提供体制の面では大幅に改善されてきている。しかし、経営面については、病院事業は大幅に経営改善が図られたものの、病院事業の附帯事業である介護老人保健施設事業の経営改善には限界があり、非常に厳しい状況が続いていたため、国の方針も踏まえ、令和4年4月1日に当該事業を廃止した。今後は、病院事業の安定的かつ継続的な運営により累積欠損金の解消に努めていく。