地域において担っている役割
山梨市立牧丘病院は平成18年度より、公益財団法人山梨厚生会が指定管理者となり医療業務の管理運営を行っている。牧丘病院では外来、入院患者に対する医療だけでなく、「高齢者が安心して住み慣れた家で質の高い医療が享受できるように」との医療理念のもと訪問診療等、在宅医療にも力を注ぎ、現在では医師が24時間365日対応できる体制を整えている。令和3年度実績で年間5,516件と前年度から372件増加(前年比7.2%増加)しており、月平均約460件の訪問診療を行っていることからも、地域にとって無くてはならない医療機関である。
経営の健全性・効率性について
山梨市立牧丘病院は平成18年度より、公益財団法人山梨厚生会が指定管理者となり管理運営を行っている。民間病院の経営ノウハウを活かし、地域の実情や医療需要を見据える中で、適切な医師、看護師等の配置を行うとともに、訪問診療にも力を注ぐなど、費用を極力削減し収益の確保に努めており、類似病院の平均値に比べてより良好な経営状態であるが、新型コロナウイルス感染症の影響による患者数の減少については、新型コロナウイルス感染症以前の水準に戻るには、まだまだ時間を要する見込みである。高齢化や人口減少の進む地域の実情を踏まえ病床機能転換や病床数の検討など更なる経営の効率化を検討することが必要である。
老朽化の状況について
山梨市立牧丘病院は昭和54年に建設されており、既に40年以上が経過している。類似病院に比べると老朽化の進行は遅いものの、経年劣化による施設設備の破損が所々に見られ、現在の病院機能を維持していくためには、今後計画的に修繕が必要である。
全体総括
山梨市立牧丘病院は、高齢化率の高い牧丘・三富地域に住む市民にとって重要な医療機関であり、現在行っている訪問診療を中心に医療業務を行うとともに、将来の人口動態や医療需要を見据える中で経営の健全化と効率化をさらに図っていくことが必要である。またコロナ禍での訪問診療、今後予定される医師の働き方改革への対応により在宅医療への取り組みも大きな岐路を迎えざるを得ない状況と考える。このため、平成30年度末に策定した「山梨市地域医療戦略」により、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を見据えて、公立病院が担うべき役割、病床数や診療科目の見直し等について取り組みを開始している。