地域において担っている役割
牡鹿地域唯一の急性期医療を担う病院として、内科、外科及び歯科の3診療科を標榜し、外来及び入院の一般診療のほか、24時間体制で救急患者の受入れに対応している。このほかにも、一般健康診断業務、予防接種業務を行うとともに、学校医として、学校健康診断及び乳幼児健康診断業務、更に各種施設の嘱託医として健康診断業務にも協力し、地域医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び医業収支比率の前年度比は、それぞれ2.8ポイント減、5.4ポイント減、当年度純損益は65,937千円、前年度繰越欠損金と合わせた未処理欠損金は557,564千円となり、累積欠損金比率は前年度比41.3ポイント増と経営状況は悪化している。病床利用率は微増傾向にあるものの、特別入院基本料への変更に伴い、入院収益が大幅に減少している。病院周辺地区の人口減少に伴う患者数の減少により安定的収益の確保は厳しさを増す中、女川原子力発電所1号機廃炉に伴う、電源立地地域対策交付金の減額により、収益環境はより一層厳しさを増すことが見込まれる。
老朽化の状況について
前年度に購入した高額医療機器等の減価償却開始により、減価償却費は約11,000千円増加し、器械備品減価償却率は前年度比6.2ポイント増となった。有形固定資産のうち、建物が全体の約8割を占めており、竣工から未だ16年目であることから、有形固定資産減価償却率は比較的低いものの、医療機器等の老朽化により、年々上昇傾向にある。1床当たりの有形固定資産は、平成15年の開院当初は50床であったが、患者数の減少等の理由により、25床まで減床したことから、有形固定資産額が高くなっている。今後は、空調設備、受電源設備等が耐用年数を超過し、部品の調達も困難となる見込みであることから、計画的に設備の更新及び修繕を行っていく必要がある。
全体総括
東日本大震災後における牡鹿地区の人口は減少傾向にあり、震災前の人口4,533人(平成23年2月末現在)に対し、現在は2,393人(令和元年11月末現在)と人口減少に歯止めがかからない状況になっている。これに伴い、来院患者数も減少の一途をたどっており、医療スタッフ等を安定的に確保していかなければならない課題もある。しかしながら、牡鹿地区にある唯一の病院として、地域医療を担う役割は大きく、救急医療をはじめ、地元住民が健康を維持し安心して暮らせるよう石巻市立病院と連携を図りながら、経常収支比率100%を目標に、地域医療提供体制を維持継続していくよう努めていく。