経営の健全性・効率性について
今回から類似団体区分が変わったため単純な比較はできないが、本村での収益的収支比率や経費回収率は前年度までと大きく変わっておらず、比較的安定した状況となっている。また、汚水処理原価が大きく下がり、施設利用率が大きく上昇しているが、これは本処理施設を使用している復興事業作業員宿舎からの汚水処理水量が大きく増加したのが主因となっている。本村の漁業集落排水事業は、処理区域内接続率・人口別加入率が共に100%となっているため、今後は利用者の増加による使用料収入増を期待することが非常に難しい状況である。そのため、経営状態の更なる改善には、使用料の見直しや経営の効率化等の一層の努力が必要である。
老朽化の状況について
本村の漁業集落排水施設は、平成4年度から太田名部地区に整備を進め、平成13年7月に供用開始となっている。平成23年3月11日の震災による津波で処理施設が一部破損したが、災害復旧事業の実施により復旧し、以後故障もなく順調に稼働している。供用開始から16年目と、管渠の法的耐用年数にはまだ年数が残っているため、当面は計画的な機械類の更新を行いながら万全な維持管理に努める。
全体総括
漁業を主力産業とし、国立公園区域内に位置する本村では、産業経済面はもとより、自然保護や観光の面からも、水質保全に強い責任を持って取り組んでいる。その中でも下水道事業は、生活環境面及び産業振興面からも重要であり、本村唯一の集合処理施設である漁業集落排水施設は、欠くことのできない施設である。今後については、合併処理浄化槽の計画的な設置を継続・実施し、水洗化率の向上を図っていく。また、漁業集落排水施設使用料のみでは経営が成り立たない状況ではあるが、下水道事業の重要性からも、一般会計からの繰入を継続しながら経営の健全化・効率化に努める。