岩手県:電気事業

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経営比較分析表(2018年度)

経営の状況について

平成30年度は、水力発電における出水率が前年度に比較して減少したものの、高森高原風力発電所の通年運転などにより電力量収入が増加した一方で、修繕費や高森高原風力発電所の通年運転に伴う減価償却費の増加等により、経常収支比率、営業収支比率ともに前年を下回りましたが、100%を超えており、引き続き安定した経営を継続しています。また、流動比率は100%を超え高い水準で推移しており、短期的な債務の支払い能力は確保されています。なお、流動比率が大きく増加した要因は、高森高原風力発電所(H30.1運転開始)の建設工事費の支払いが平成30年度で完了したことによる流動負債の減少となっています。供給原価は全国平均よりも低い一方で、減価償却前営業利益(EBITDA)は全国平均より高い水準で増加しており、事業の収益性は高く、効率的な経営を行っています。

経営のリスクについて

【水力発電】設備利用率は、全国平均よりも高く、40%を超え安定的に推移しており発電施設の効率的な運用が行われています。経営状況では、企業債残高対料金収入比率が順調に減少しており、企業債の償還は順調に進んでいます。一方で、有形固定資産減価償却率は全国平均と同様に増加傾向にあり、償却対象資産の減価償却が進んできていることから、胆沢第二発電所及び入畑発電所について施設の再開発を行うこととしています。そのほか、FIT適用発電所の適用満了(R16.6)までには期間があることや、FITの収入割合が6%程度と全体に占める割合は少ないことなどから、FIT収入が変動するなどによる経営のリスクは現在のところ少ないものと思われます。以上から、水力発電の経営のリスクは少ない状況にあります。【風力発電】設備利用率や修繕費比率などの経営指標は全国平均と比較して良好な状況です。また、企業債残高対料金収入比率が大きく減少しているのは、平成30年1月に運転開始した高森高原風力発電所が通年運転し、発電が好調だったことによるものです。なお、全収入がFITで占められていますが、稲庭高原風力発電所では、FIT適用期間が令和3年12月に満了するため、風車を更新する再開発を行うこととしています。【太陽光発電】平成26年11月に運転開始していることから故障は少なく、設備利用率は全国平均を上回っているなど収入は安定し、また企業債の発行もなく経営状況は良好であり、現在のところリスクは少ない状況にあります。なお、全収入がFITで占められており、FIT適用満了(R16.10)後は収入が大きく変動するリスクを抱えているため、今後、事業のあり方を検討する必要があります。

全体総括

平成30年度の岩手県の電気事業は、新規発電所の建設を進めたほか、長期経営方針(H22~R元)及び中期経営計画等に基づく取組を進め、安定した経営を維持するなど、現時点での経営リスクは少ないものと考えています。今後は、令和2年度からの新たな長期経営方針等に基づき、地域新電力を売電先に加えた新たな電力供給契約に基づく安定供給や、稲庭高原風力発電所、胆沢第二発電所及び入畑発電所の再開発の推進、新規発電所の建設を進め、本県の再生可能エネルギーの維持拡大に取り組むとともに、東北電力との共同の取組である「いわて復興パワー」などにより、震災復興及びふるさと振興に寄与する地域貢献にも取り組んでいきます。

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