中部上北広域事業組合：公立七戸病院

地域において担っている役割

当院においては、組合構成町である七戸町・東北町の地域住民のためにも救急受入体制の保持が必要不可欠である。今後の体制としては急性期機能は縮小するものの保持しつつ、回復期機能を充実させていくことにより、地域住民の健康と生活を守る重要な役割を担っているものと思われる。そのため、人間ドック・生活習慣病予防健診を実施している健康管理センターの機能を充実させ、さらに訪問診療・訪問看護に関しても、高齢者比率が高く、多雪地域のため交通弱者が今後も増加すると予想されることから、対象者の拡充に取り組んでいき、医療・保健・福祉（介護）の連携体制を強化し、地域包括ケアシステムの更なる構築を図る。

経営の健全性・効率性について

令和3年度は入院患者数の減少により入院収益が減収となったが、新型コロナウイルスワクチンの集団接種及び個別接種を積極的に実施したことにより医業収益が増となり、医業収支比率は5.1ポイント上昇した。しかし、病床利用率は3.2ポイント減となり年々減少していることから、入院患者の増に努めるとともに許可病床の削減について検討する必要がある。常勤医師及び看護師の減少により職員給与費対医業収益比率が4.4ポイント減少したが、職員の減少に伴う業務量の偏りがないよう人員配置を考慮する必要がある。次年度以降も安定した医療体制を確保するための医師確保対策として、引き続き県や弘前大学等に積極的に働きかけ、健全な経営に努めていく必要がある。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率が4年前に比べ4.3ポイント上昇し、類似病院平均値より高めの数値となっており老朽化が進む一方であるが、改築等に関しては現在の収支状況を考慮すれば当面の間は難しいものと思われる。器械備品減価償却率については、令和元年度は電子カルテシステムの導入により、多少改善が見られたが、令和3年度は前年度に比べ1.4ポイントの上昇した。次年度からは新たな器械備品の更新等については慎重に協議を重ね、計画的・効率的に進めていく。

全体総括

令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大の収束の兆しが見えないことにより、前年度に引き続き入院・外来患者数の抑制及び症状が安定している患者への長期処方を継続せざるを得ない状況であった。こうした中、新型コロナウイルスワクチンの集団接種及び個別接種や、無症状者に対する抗原定量検査及び保健所からの要請によるPCR検査の検体採取を積極的に実施し地域住民の社会活動の回復に向け取り組んだ。しかし、持続可能な病院運営を行うためには病床利用率の上昇が必要不可欠であることから、職員の意志統一を図り入院患者数の増加に努める必要がある。また、安定的に継続して質の高い適切な医療を提供していくため、的確な病院経営強化プランを新たに作成し、業務運営を効率的に実施するとともに、適切な予算執行管理を行い健全運営に努めていく必要がある。